ボーダーコリーってどんな犬?歴史・性格・飼い方について

ボーダーコリー

お散歩目安 1日60分×2回
ブラッシング頻度 2〜3日に1回
トリミング 不要
Border Collie

ボーダーコリーってどんな犬?歴史・性格・飼い方について

ボーダーコリーの基本情報

英名 Border Collie
愛称・別名 ボダ
原産国 イギリス(イングランド)
寿命 12歳〜15歳
サイズ 中型犬
体重 13kg〜24kg
体高 45cm〜55cm
分類 1G:牧羊犬・牧畜犬

※当サイトの犬種データのサイズは、犬種標準としてJKC(ジャパンケネルクラブ)が明確に定めている場合はそちらを元に、その他の場合は「目安」としてKC(イギリス)やAKC(アメリカ)などの情報を参考に算出し、掲載しております。
犬種標準は「犬種の理想像を作りあげて記述したもので、ドッグショーの出陳並びに計画繁殖する犬の参考にするもの」とされており、個体差の大きい犬種では本データのサイズから外れるケースも多くあります。
しかし、犬種標準から外れていても、その犬種の一般家庭におけるパートナーとして問題があるわけではありません。サイズに関しましてはあくまでも目安として、飼育を検討する際のご参考になれば幸いです。

ボーダーコリーの歴史

ボーダーコリーの歴史

ボーダー・コリーはイギリスを原産とする犬種で、そのルーツは8世紀後半、海賊・バイキングがスカンジナビア半島からイギリスへと持ち込んだトナカイ用の牧畜犬であるとされています。
イギリスへと持ち込まれた祖先犬は、その後土着していた在来犬種との交配を繰り返して現在に近い姿となり、主に羊毛の生産を支える牧畜犬として活躍していました。

一般的な犬の知能は人間の2歳〜3歳程度のものとされていますが、ボーダー・コリーは7歳かそれ以上という研究結果もあるほど賢い犬種として知られ、犬の知能研究の第一人者であるスタンレー・コレン博士の発表でも、ボーダー・コリーは知能が高いとされる犬種の代表格であるゴールデン・レトリバーやジャーマン・シェパードなどを抑え、最も知能指数が高い犬種と評されました。
状況判断能力に優れ、主人への忠誠心だけでなく人間的な思考で自ら考えて行動をすることが出来るボーダー・コリーは、まさに牧羊犬として最適で、追いかける羊に対してストレスを与えることなく、コントロールしながら群れを追い込むことが可能です。

しかし、そのずば抜けて高い知能を持つがゆえに、ボーダー・コリーは他の牧羊犬に比べ、貴族に寵愛されていたなどの記録は少なく、常に牧羊犬としての高い能力を発揮することを求められてきました
その結果、外見やサイズの統一性よりも作業性を最も重視した交雑が進められ、犬種の固定は他犬種に比べると大幅に遅れる形となりました。
犬種名としての「ボーダー・コリー」という名が使われるようになったのは、現在から約100年前の1915年頃からですが、原産国であるイギリスで犬種が正式に公認されたのは、それから約60年も経った1976年のことで、国際畜犬連盟の公認は1987年に行われました。
そのためボーダー・コリーは、公認犬種としてはまだ50年に満たない歴史の浅い犬種となっています。

日本でも2000年代のペットブームによりボーダー・コリーの飼育頭数は類にもれず大幅に増えました。
フリスビーをする姿が印象的で、その高い知能からしつけが簡単で扱いやすく、飼い主に従順といった誤解が広まったためです。
しかし、ボーダー・コリーの特性や身体能力、知能レベルに関する正しい情報は不足しており、想像以上に困難なしつけに根をあげてしまう家庭が続出し、次々と飼育放棄が起こり社会問題化されました。
近年でもボーダー・コリーの飼育には様々な課題が残る一方で、情報不足のまま飼育を始めてしまう家庭が多く見られ、問題となることも多々あります。

ボーダーコリーの特徴や性格

ボーダーコリーの特徴や性格

ボーダー・コリーは、一見飼い主に従順で常に冷静さを保ち、知的な印象を受ける犬種です。
しかし、その賢さから常に周囲を観察し相手の力量を見極めているので、一旦力量不足と判断されてしまうとその後の指示には一切反応を示さず、拒絶や反抗、威嚇といった強い態度に出ることも珍しくありません。

また、ボーダー・コリーは遊びや散歩の最中に不意にスイッチが入ってしまい、過度な興奮状態に陥ることもしばしばあります。
この状態になってしまうと飼い主でもコントロールが効かず危険が伴う場合もあります。
日頃から愛犬がどのような事態に反応をするのかをしっかりと把握し、スイッチが入ってしまわないよう接することが大切です。

ボーダー・コリーには遺伝的な疾患である「セロイドリポフスチン症(CL病)」という問題が常に伴います。
この病気は中枢神経に支障をきたし、致死率が高く治療法も確立されていません。
しかし、近年では繁殖前のDNA検査で遺伝を回避することが出来ることから、子犬の販売や譲渡前にこの検査・証明を行うケースが増えています。
日々の生活の中で、原因不明の突発的な行動や、過度な凶暴性がみられる場合は、この遺伝的疾患との関係性を疑うことも必要です。

基本的に家族への愛情は深い犬種ですが、上記のように力量不足の飼い主であったり、知らない人や犬への関心は薄く、リーダーとして認められる飼い主との作業を好む性質を持っています。

ボーダーコリーの飼い方

ボーダーコリーの飼い方

ボーダー・コリーのしつけには家族だけでなく、プロのドッグトレーナーの協力が必須です。

一見従順でしつけの覚えが早いと感じる場面も多々ありますが、ふとしたタイミングで反撃や激しい反抗を受けることもあり、子犬であっても油断は禁物です。
特にオス犬の場合は、3、4歳頃を境に激しい反抗期に突入することが多く、それまでとは全く別の態度や行動を見せることも多々あります。

本来、ボーダー・コリーは広大な牧場の中で自己判断を行いながら家畜を取りまとめ、外敵から家畜を守る突出した能力を持った犬種です。
そのため、体力に合った運動と知能に合ったトレーニングを行うことは必須事項となり、それらが満たされないとストレスで気が荒くなってしまったり、飼い主の言うことを聞かなくなってしまいます。

散歩は最低でも毎日朝夕それぞれ1時間程度は必要です。
それでも若いうちは体力が有り余ってしまうため、時間が取れるときには出来る限りトレーニングやフリスビーなどを使用した遊びを取り入れ、しっかりと運動させてあげましょう。

ボーダーコリーの毛色

ボーダーコリーの毛色

ボーダー・コリーの毛色は、ブラック&ホワイトが元来のものです。
しかし近年では、レッドやチョコレート、ブルー、ブルーマール、セーブルといった新たな毛色の認定も進んでいます。

色素の薄い個体を親として繁殖させる場合は、子供の色素異常や先天的異常を回避するため、ペアにはブラック&ホワイトの個体を選ぶのが基本となります。

ボーダーコリーの気をつけたい病気や怪我は?

ボーダーコリーの気をつけたい病気や怪我は?

ボーダー・コリーの特筆すべき病気は、先に挙げた「セロイドリポフスチン症(CL病)」という遺伝性疾患をはじめ、股関節形成不全や肘関節異形成などがあります。

股関節形成不全や肘関節異形成などについては、発症の程度は個体差があり、成長とともに悪化するケース、筋力の発達でカバー出来るケースと様々です。
歩行姿に異変を感じた場合は、レントゲン検査を受け今後の対処法を検討する必要があります。

またボーダー・コリーを含むシェットランド・シープドッグ、ビアデッド・コリーなどのコリー系犬種は、主にフィラリアの予防薬に使用される「イベルメクチン」という成分が体質に合わず、危険とされています。
フィラリアの予防薬は他にも「ミルベマイシンオキシム」や「モキシデクチン」という2種類が存在します。
医師によってはイベルメクチンを処方してしまう場合もあるため、毎年の予防時にはこの点を獣医師と確認し、万全を期すと安心です。

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