ジャーマンシェパードってどんな犬?歴史・性格・飼い方について

ジャーマンシェパードドッグ

お散歩目安 1日60分×2回
ブラッシング頻度 2〜3日に1回
トリミング 不要
German Shepherd Dog

ジャーマンシェパードってどんな犬?歴史・性格・飼い方について

ジャーマンシェパードドッグの基本情報

英名 German Shepherd Dog
愛称・別名 シェパード
原産国 ドイツ
寿命 10歳〜13歳
サイズ 大型犬
体重 オス:30kg〜40kg
メス:22kg〜32kg
体高 オス:60cm〜65cm
メス:55cm〜60cm
分類 1G:牧羊犬・牧畜犬

※当サイトの犬種データのサイズは、犬種標準としてJKC(ジャパンケネルクラブ)が明確に定めている場合はそちらを元に、その他の場合は「目安」としてKC(イギリス)やAKC(アメリカ)などの情報を参考に算出し、掲載しております。
犬種標準は「犬種の理想像を作りあげて記述したもので、ドッグショーの出陳並びに計画繁殖する犬の参考にするもの」とされており、個体差の大きい犬種では本データのサイズから外れるケースも多くあります。
しかし、犬種標準から外れていても、その犬種の一般家庭におけるパートナーとして問題があるわけではありません。サイズに関しましてはあくまでも目安として、飼育を検討する際のご参考になれば幸いです。

ジャーマンシェパードドッグの歴史

ジャーマンシェパードドッグの歴史

警察犬としても有名な「ジャーマン・シェパード」は、19世紀後期に誕生したドイツを原産とする大型犬の一種です。
1880年代後半、原産国であるドイツでは優秀な軍用犬を作出する計画が立てられていました。
この作出計画によってドイツの軍人マックス・フォン・シュテファニッツ氏が軍用犬に適した犬種を探し出し、各地の作業犬種が基礎犬としての候補に上がる中、選ばれたのは当時牧羊犬として活躍していたジャーマン・シェパードでした。

このジャーマン・シェパードは、その後原種の意味も込めて「オールド・ジャーマン・シェパード」と呼ばれるようになり、作業性の向上や訓練性能の向上を目指して改良・繁殖を繰り返し、誕生したのが現在の「ジャーマン・シェパード・ドッグ」です。
1899年には作出者であるシュテファニッツ氏による指導のもと、ジャーマン・シェパードには厳格な犬種標準(スタンダード)が定められ、後の世界大戦では多くのジャーマン・シェパードたちが軍用犬として活躍しました。

第二次世界大戦後のドイツでは「ナチスの軍用犬」というレッテルが貼られてしまい、一時不遇の時を迎えてしまいます。
しかし、戦時中に海外へと渡ったジャーマン・シェパードたちは、終戦後もその高い知能や汎用性を存分に発揮し、現在では軍用犬としてだけでなく「警察犬」「災害救助犬」「麻薬探知犬」などワークドッグのエキスパートとして、世界中で活躍しています。

警察犬での訓練のイメージが強く「怖い犬種」として誤解されてしまっていることも多いジャーマン・シェパードですが、実際には厳しい訓練に耐えられるだけの忍耐力と服従心を持ち合わせている犬種です。
そのため、しっかりと訓練を行うことが出来れば、家庭犬としても大変優秀で信頼のおけるパートナーとして暮らしていくことができます。
ただ、日本でジャーマン・シェパードが広く普及した当時は、しつけトレーニングなどの知識が乏しい飼い主が多く、十分なしつけを行えなかったことで度重なる近隣トラブルが発生し、一時社会問題化してしまいました。
これによりジャーマン・シェパードを飼育する際には、今でもこの当時の事例に基づき、自治体によっては「危険犬種」として檻の使用を義務付けられている場合があります。

ジャーマンシェパードドッグの特徴や性格

ジャーマンシェパードドッグの特徴や性格

ジャーマン・シェパードは数ある犬種の中でも最も知能が高いとされる犬種です。
そのため的確な状況判断を行うことができ、無駄な行動がない洗練された能力を持っています。
高度なしつけを行うことで、人間にとって最良のパートナーとも言える存在になりますが、一般家庭でペットとして生活をする上では、飼い主のしつけレベルや行動を瞬時に把握してしまう能力が逆効果となり、激しいいたずらや反抗、強い態度に出ることも多々あります。

知能が高いゆえ、無駄吠えや条件反射的な噛みつきを行うことはありませんが、それは必ずしも「誰に対してでも友好的」という意味ではありません
持ち前の忍耐強さで、多少嫌なことがあっても堪えているに過ぎないため、過度な接触や刺激によっては激しい反撃を受ける場合があるため注意が必要です。
飼育を決める際は、決して「かっこいいから」など安易な気持ちで飼育できるペット向けの犬種ではないことを重々承知しておく必要があります。

多頭飼いを行う場合は犬同士で明確な序列が必ずできるため、お互いの相性だけでなく、体格差や運動量なども踏まえてパートナーを選ぶようにしましょう。

ジャーマンシェパードドッグの飼い方

ジャーマンシェパードドッグの飼い方

ジャーマン・シェパードは警察犬をはじめ、災害救助犬、麻薬探知犬、介助犬、盲導犬といった様々な高度使役訓練を習得することができます。
強靭な体と高い知能は他の犬には到底真似のできないレベルのものです。

ペットとして生活をする場合は、毎日十分な量の運動や高度なトレーニングを施し、家族との主従関係を明確に理解させることが大切です。
運動は飼い主の歩調に合わせて歩くという程度では大幅に不足してしまうため、必ずドッグランの活用や訓練所への訪問なども必要になってきます。

一見、一般的なイメージの大型犬らしい落ち着きや寛容さを持ち合わせているように見えますが、元は軍用犬であり、牧羊犬だということを忘れないようにしましょう。
小さな子供や小型犬などを獲物として考えてしまい、突発的な攻撃に出てしまうことがありますので、十分な注意が必要です。

しつけや訓練は素人の飼い主が安易にできるレベルではありません
必ずジャーマン・シェパードの訓練実績を持つプロのドッグトレーナーに指導を仰ぎましょう。

日々のお手入れは、密集度の高い被毛は抜け毛が多く、通気性も良くないため、週に数回のブラッシングを習慣化し、定期的なシャンプーも行います。
抜け毛の残留やシャンプー後の生乾きは皮膚のトラブルを招く原因にもなりますので、注意しておきましょう。

ジャーマンシェパードドッグの毛色

ジャーマンシェパードドッグの毛色

毛色は最も有名なブラウン&ブラックをはじめ、グレー、ブラック、レッドタンなどが存在します。有色の場合、マズルを中心としたマスク部分には黒い差し毛があることが原則となっています。

また、近年白色の被毛を持つシェパードを見る機会が増えてきていますが、白色のジャーマン・シェパードは本来犬種標準から外れるため、淘汰されてきた歴史を持ちます。
ただアメリカやカナダでも白色のシェパードは人気があり、毛色が白いというだけで特に何の問題もなく、性格や能力もジャーマン・シェパードと変わりありません。

なお、JKCにも登録されているスイス原産の「ホワイト・スイス・シェパード・ドッグ」は、このジャーマン・シェパードの白色のみを固定化し、改良が加えられた犬種です。

ジャーマンシェパードドッグの気をつけたい病気や怪我は?

ジャーマンシェパードドッグの気をつけたい病気や怪我は?

ジャーマン・シェパードは、大型犬特有の「股関節形成不全」を先天的に患っているケースが多々あります。
ジャーマン・シェパードの特徴である「腰の下がった体型」でこの疾患を抱えている場合、症状の悪化とともに歩行や生活に支障をきたす場合もあります。
生後数ヶ月の時点から継続的に検査を受け、発現してしまった場合はその後の対策への注意が必要です。

また、ジャーマン・シェパードは胃捻転や腸捻転を引き起こすケースが、他の犬種に比べ格段に高いことも特徴です。
特有の体型が原因となる症状ですので、予防のためにクレート内で食事をさせ、食後30分程度はクレート内で安静に過ごさせるといった方法が効果的です。
万が一、食後に激しく苦しんでしまっている場合は即座にかかりつけの動物病院に連れて行き処置を施してもらうようにしましょう。

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