セントバーナードが首につけている樽にはどんな意味がある?中身は何?
アルプスの少女ハイジのヨーゼフ、セントバーナードは温和な性格が魅力的な犬種です。
セントバーナードのシンボルといえば、首から下げている小さな樽ですが、一体どんな意味があるのでしょうか?
今回は、セントバーナードの樽の中身や、遭難救助犬としてセントバーナードの活躍についてご紹介します。
目次
セントバーナードはスイスの国犬
がっしりした骨格を持つセントバーナードは、体重50kg以上にもなる超大型犬です。
性格はとても穏やかで辛抱強く、広い敷地と涼しい環境さえ用意できれば、一般家庭でも飼育できるでしょう。
セントバーナードの原産国はスイスで、かつては番犬や荷車犬、遭難救助犬として活躍していました。
なお、セントバーナードの先祖犬は、ローマ帝国が連れていた軍用犬だとされています。
当初は番犬として飼われていたセントバーナードですが、徐々に優れた探索能力が認められるように。
一時は絶滅寸前まで数が減ってしまったものの、他犬種との交配によって現在は安定した頭数を保てています。
アルプスの雪山で遭難した人々の救助犬として活躍
セントバーナードは長い間、アルプスの雪山で遭難救助犬として活躍していました。
アルプスの冬はマイナス30℃になることもあるほど寒さが厳しく、馬を使うことはできません。
そのため、人々は徒歩で山を越える必要があったのですが、やはり遭難者が出ることも多々あったそうです。
セントバーナードはそんな状況下で、2000人以上もの遭難者を救助してきた、いわばエリート犬!
現在では救助犬として活躍する機会も減りましたが、当時はレスキュー犬の代名詞だったといえるでしょう。
分厚い被毛とがっしりした足腰を見ても、セントバーナードの体力や力強さが伝わってきますね。
セントバーナードの樽にはお酒が入っている
遭難した人を探しに行く際、セントバーナードは首に小さな樽を下げていました。
この樽には薬や通信機などが入っていると思っていた方も多いと思いますが、実は中身はお酒。
ラム酒やブランデー、スコッチなど、体をポカポカ温めてくれる高いアルコール度数のお酒が入っているのです。
遭難時にもっとも大切なのは体を温めることなので、樽の中にお酒を入れるようになったのでしょう。
セントバーナードは2頭1組で行動していた
セントバーナードは、遭難者の探索時に2頭1組で行動していたようです。
遭難者を見つけた場合、1頭は大きな体と樽に入ったお酒で遭難者の体をできるだけ温めます。
その間にもう1頭が助けを呼びに行き、遭難者は残ったセントバーナードと一緒に救助を待っていたのです。
遭難者の生存率をより高めるためには、2頭1組での行動が必須だったといえるでしょう。
犬種存続のための交配で、遭難救助犬として起用されなくなった?
現在、救助犬として起用されているセントバーナードはほとんどいません。
救助犬として活躍するセントバーナードが減った理由は、セントバーナード自体が絶滅の危機にあったから。
長い間、近親繁殖が繰り返されたことで、重い遺伝病にかかる個体が増えてしまったのです。
また、遭難救助犬として働く中で命を落とすこともあり、一時は犬種の存続も危ぶまれる事態に…。
そこでラブラドールレトリーバーの先祖「ニューファンドランド」と交配を行い、なんとか危機を脱したのです。
なお、ニューファンドランドとの交配により、セントバーナードの外見は変化しました。
セントバーナードが遭難救助犬として働いていた時は、今よりも一回り小さく、被毛は短い短毛タイプ。
しかし、交配によって長毛になり、体に雪が付きやすくなったことで、救助犬としての需要も減っていったのですね。
その他、体が大きくなって体重が増え、救助用ヘリからの上げ下げが大変になったから、という説もあります。
セントバーナードの樽はネットで購入できる
セントバーナードのシンボルである樽は、現在も飾りとして販売されています。
昨今では、ペットとして飼っているセントバーナードの首に樽を下げ、ファッションとして楽しんでいる方も。
樽付きの首輪も売られているので、当時のセントバーナードの姿に近い姿を見ることもできます。
セントバーナードの樽は、ネットショッピングで購入すると良いでしょう。
樽のなかに飲み水を入れて持ち運べるものもあるので、お散歩時の水筒として使うのもおすすめ。
実際に使用している人の評判をよく確認し、犬に過度な負担がかからないかチェックしておいてくださいね。
あまり多くの商品があるわけではありませんが、基本的に1~2万円程度で購入できますよ。
セントバーナードの樽は、遭難した人の命をつなぐもの
セントバーナードが首から下げている樽の中身、少し意外でしたか?
セントバーナードの樽には、ラム酒やブランデーなど、度数の強いお酒が入っています。
極寒の中で遭難してしまった人の命を守るために、セントバーナードはお酒を運んでいたのですね。
セントバーナードは寒さに強く、過酷な状況下でも諦めず前に進める、タフな犬種です。
今でこそ遭難救助犬としての活躍は減ってしまいましたが、現在は家庭犬としてその魅力を発揮中。
持ち前の穏やかさと辛抱強い性格で、今もなお愛され続けている犬種といえるでしょう。