ダックスフンドがかかりやすい7つの病気。症状や治療法、治療費の相場について
胴長・短足がチャームポイントのダックスフンドは、常に人気ランキング上位の犬種です。
明るい性格で運動好き、短い足で飛ぶように走る姿がとても魅力的ですよね。
ここでは、そんなダックスフンドがかかりやすい病気と症状、一般的な治療法や治療費について説明します。
病気の進行具合や動物病院によって治療費は変わりますが、ぜひ大体の相場観を知るために役立ててくださいね。
目次
胴長・短足の犬種は要注意「椎間板ヘルニア」
椎間板ヘルニアは、首の骨とお尻の骨の間にある衝撃吸収材「椎間板」が、本来あるべき場所から飛び出し、神経を圧迫する病気です。
もし愛犬が散歩を嫌がるようになったり、腰回りを触ると嫌がるようなら、椎間板ヘルニアの可能性があるかもしれません。
重症化すると排泄が困難になり、最終的には後ろ足が全く動かせなくなることもあるため、早期発見・治療が必要です。
主な症状 | 痛み、足の麻痺、歩く際にふらつく、足先がひっくり返る、排泄障害、歩行困難など |
治療法 | 安静にする、鎮痛剤やステロイド剤の投与、鍼治療、コルセット装着、脊髄を圧迫している背骨を削る外科手術 |
治療費 | 1万円程度(診察、検査、内服薬代として)※外科手術の場合は20~50万円程度が相場 |
様々な発症原因がある「白内障」
白内障は、遺伝や老化、外傷などが原因で目の奥にある水晶体が濁ってしまい、視力が低下する病気です。
発症しても痛みはありませんが、進行するほど視野が狭くなるため、壁や障害物にぶつかりやすくなるなどの症状が現れます。
症状の進行は点眼薬によって抑えることができますが、根治には人工水晶体の移植など外科手術が必要です。
主な症状 | 目が白く見える、モノにぶつかることが増える、散歩に行きたがらなくなる、物音に敏感になるなど |
治療法 | 進行を遅らせる点眼薬の投与、外科手術(人工水晶体の移植手術、眼内レンズ挿入術) |
治療費 | 1万円程度(診察、検査代として)点眼薬代は月に5千円ほど。外科手術の場合は20~25万円程度が相場 |
遺伝性の眼病「進行性網膜萎縮症」
進行性網膜萎縮症は、網膜の異常により徐々に光を感知できなくなる病気で、発症から2年ほどで完全に視力がなくなります。
進行性網膜萎縮症は遺伝性の疾患であり、両親や親せきなど犬の血統によって発症するかどうかが決まります。 有効な治療法はまだ見つかっておらず、ルテインやアスタキサンチンを含むサプリメントを服用などの民間療法が一般的です。
主な症状 | モノにぶつかりやすくなる、つまづきやすくなる、動きが鈍くなる、失明、白内障など |
治療法 | 有効な治療法はなし(ルテインやアスタキサンチンを含むサプリメントの服用、白内障の進行を遅らせる点眼) |
治療費 | 1~2万円程度(診察、検査、内服薬、サプリメント、点眼代として) |
指の間に炎症が起きてしまう「指間炎」
指間炎とは、その名の通り「指と指の間に炎症が起こっている状態」で、患部への違和感や痒み、痛みなどの症状がみられます。
指の間は赤く腫れ、常に足を気にして舐めることで唾液成分が被毛に沈着し、毛色が赤茶色に変色することもあります。
悪化すると炎症部位にしこりができてしまい、手術で取り除かなければいけないことも。
指間炎の主な治療法は、痒み止めや抗生剤などの服用、薬用シャンプーによる雑菌のコントロール、指間の蒸れを抑えるための毛刈りなどが挙げられます。
主な症状 | 指間の違和感、痒み、痛み、赤み、脱毛、炎症によるしこりなど |
治療法 | 痒み止めや抗生剤の投与、薬用シャンプーを用いた薬浴、指間の蒸れを抑えるための毛刈り |
治療費 | 5千~1万円程度(診察、検査、内服薬、外用薬、薬用シャンプー代として) |
皮脂が多い犬種の発生率が高い「マラセチア性皮膚炎」
免疫力の低下や皮脂の過剰分泌が原因で、皮膚の常在菌「マラセチア菌」が過剰に増殖して起こる皮膚病が「マラセチア性皮膚炎」です。
ダックスフンドをはじめ皮脂が多い体質の犬種は特にかかりやすく、糖尿病やホルモン疾患の合併症で起こることもあります。
マラセチア性皮膚炎は非常に再発しやすい皮膚病のため、完治した後も皮膚を清潔に保つよう心掛けるようにしましょう。
主な症状 | 皮膚の痒み、赤み、べたつき、独特の甘い体臭、フケなど |
治療法 | 抗真菌薬や痒み止めの投与、薬用シャンプーを用いた薬浴、患部の毛刈り |
治療費 | 1~2万円程度(診察、検査、内服薬、外用薬、薬用シャンプー代として) |
ヒザが外れる「膝蓋骨脱臼(パテラ)」
パテラとは、後ろ足の膝蓋骨が外れて、脱臼している状態のことです。
ダックスフンドをはじめ、小型犬では先天性の内方脱臼(膝蓋骨が内側にズレた状態)が多く、初期段階では見過ごされやすい病気です。
生まれつき大腿骨の溝が浅かったり、膝蓋骨を支える靱帯の力が弱いことで発症し、膝の痛みや歩きづらさなどの症状が現れます。
なお、軽度のうちはグルコサミンなどのサプリメントや痛み止めの服用で対応できますが、症状が進行すると手術が必要になります。
高齢になると症状が悪化しやすいため、手術は骨が成長する前の若い時期に行ったほうが良いでしょう。
主な症状 | 足をかばって歩く、跛行(足を引きずるような歩行)、内股歩きなど |
治療法 | 鎮痛剤の投与、グルコサミンなど関節サプリの服用、レーザー治療、外科手術 |
治療費 | 1~2万円程度(診察、検査、内服薬代として)※外科手術の場合は片足10~40万円程度が相場 |
ホルモンの過剰分泌が原因「副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)」
副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)は、副腎皮質から「コルチゾール」というホルモンが過剰に分泌されてしまい、犬の体に悪影響が出る病気です。
主な原因は、下垂体の腫瘍化などによる副腎皮質刺激ホルモンの過剰分泌・副腎腫瘍・ステロイド剤の副作用の3つが挙げられます。
副腎皮質機能亢進症は、糖尿病など様々な合併症を併発するリスクがあり、場合によっては命に関わることもあります。
主な症状 | 多飲多尿、お腹の膨れ、左右対称性の脱毛、皮膚の黒ずみ、呼吸が早い、動きが鈍くなるなど |
治療法 | ホルモン分泌を抑える薬を投与、ステロイド剤の中止、外科手術による腫瘍の切除(副腎や脳下垂体の腫瘍が原因の場合) |
治療費 | 月に1~2万円程度(診察、検査、内服薬代として)※入院を伴う場合は最大7万円程度、外科手術は15~25万円程度が相場 |
異変を感じた時はすぐに動物病院を受診しよう
ダックスフンドに多くみられる病気には、先天性(遺伝)のものと後天性のものがあります。
今後もしダックスフンドをお迎えしようと考えているのであれば、ぜひダックスフンドのかかりやすい病気について基礎知識を身につけておくと良いでしょう。
もし愛犬の様子に異変を感じた場合には、できるだけ早くかかりつけの動物病院で相談するようにしてくださいね。