パピヨンがかかりやすい6つの病気。症状や治療法、治療費の相場について
小さな顔と大きな耳が魅力的なパピヨンは、しつけのしやすさでも人気が高い小型犬です。
ここではパピヨンがかかりやすい病気と症状、一般的な治療法と治療にかかる費用について解説します。
病気の進行具合や動物病院によって治療費は変わりますが、大体の相場感を知っておきましょう。
目次
小型犬に多い「膝蓋骨脱臼」
後ろ足の膝蓋骨(膝のお皿)が外れてしまい、脱臼している状態のことです。
膝蓋骨脱臼は小型犬に多く、大腿骨の溝が先天的に浅かったり、膝蓋骨を支える靱帯の力が弱いことで発症します。
軽度のうちは痛み止めやサプリなど内科的治療を行うのが一般的ですが、悪化した場合は手術が必要です。
主な症状 | 足をかばって歩く、跛行(足を引きずるような歩行)、内股歩きなど |
治療法 | 鎮痛剤の投与、グルコサミンなど関節サプリの服用、レーザー治療、外科手術 |
治療費 | 1~2万円程度(診察、検査、内服薬代として)※外科手術の場合は片足10~40万円程度が相場 |
失明の危険性が高い「進行性網膜萎縮」
網膜の異常により徐々に光を感知できなくなる病気で、発症から2年ほどで完全に視力がなくなります。
進行性網膜萎縮症は遺伝性の疾患であり、両親や親せきなど犬の血統によって発症するかどうかが決まります。
有効な治療法はまだ見つかっておらず、ルテインやアスタキサンチンを含むサプリメントを服用などの民間療法が一般的です。
主な症状 | モノにぶつかりやすくなる、つまづきやすくなる、動きが鈍くなる、失明、白内障など |
治療法 | 有効な治療法はなし(ルテインやアスタキサンチンを含むサプリメントの服用、白内障の進行を遅らせる点眼) |
治療費 | 1~2万円程度(診察、検査、内服薬、サプリメント、点眼代として) |
合併症が引き起こされやすい「眼瞼内反症(逆さまつげ)」
まぶたが内側に巻き込まれることで、まつげが眼球に触れ、角膜が炎症を起こします。
軽度であれば、眼球に触れているまつげを抜いたり、点眼薬を使用したりすることで改善することが多いでしょう。
なお、根本的な完治を目指すのであれば、外科手術によってまぶたの矯正を行う必要があります。
主な症状 | 目の痛み、不快感、痒み、流涙、目ヤニ、角膜炎、結膜炎など |
治療法 | 眼球に触れているまつげを抜く、点眼薬で目を保護する、まぶたを矯正する外科手術 |
治療費 | 5千~1万円程度(診察、検査、処置、点眼薬代として)※外科手術の場合は15~20万円程度が相場 |
部分的に毛が抜けたら要注意!「脱毛症」
犬の脱毛は季節の変わり目の換毛期に全体的に毛が抜けるのが一般的ですが、部分的な脱毛には注意が必要です。
パピヨンは、生まれつき皮膚がデリケートなことが多く、アレルギー物質が原因の脱毛症が起こりやすいといわれています。
治療法は脱毛症の原因によって様々ですが、アレルギー性の脱毛症の場合には原因となる物質の除去が重要です。
主な症状 | 耳、指間、脇、股、関節、口、足先などの痒み、赤み、湿疹、脱毛など |
治療法 | 原因物質の除去、ステロイドや痒み止め、免疫抑制剤の投与、保湿、インターフェロン療法、減感作療法、療法食治療 |
治療費 | 1~2万円程度(診察、検査、内服薬、外用薬、薬用シャンプー、サプリメント代として)※外部の検査機関は1回2~3万円程度 |
重度の場合は失明する「白内障」
遺伝や老化、外傷などが原因で目の奥にある水晶体が濁ってしまい、視力が低下する病気です。
発症しても痛みはありませんが、進行するほど視野が狭くなるため、壁や障害物にぶつかりやすくなるなどの症状が現れます。
症状の進行は点眼薬によって抑えることができますが、根治には人工水晶体の移植など外科手術が必要です。
主な症状 | 目が白く見える、モノにぶつかることが増える、散歩に行きたがらなくなる、物音に敏感になるなど |
治療法 | 進行を遅らせる点眼薬の投与、外科手術(人工水晶体の移植手術、眼内レンズ挿入術) |
治療費 | 1万円程度(診察、検査代として)点眼薬代は月に5千円ほど。外科手術の場合は20~25万円程度が相場 |
原因不明の脳炎「壊死性髄膜脳炎」
犬の脳内の「大脳皮質」という大脳の表面部分に、原因不明の炎症が起こる病気です。
炎症がはじまると、犬の脳内の広範囲に渡って壊死が起こり、組織が部分的に死んでしまいます。
パグの発症率が高いため、別名「パグ脳炎」とも呼ばれていますが、パピヨンにもみられることがあります。
主な症状 | けいれん・昏睡・旋回運動・歩行困難・斜頸・性格の変化・壁などの障害物に頭を押しつけるなど |
治療法 | 有効な治療法はなし(けいれん発作を軽減させるために、抗けいれん薬やステロイドを投与することがある) |
治療費 | 5~6万円程度(診察、検査、投薬、入院代として) |
異変を感じた時はすぐに動物病院に相談しよう
パピヨンは遺伝病などのリスクが低く比較的丈夫ですが、こまめな健康チェックは大切です。
病気の進行を抑えるためには早期発見が大切ですので、ぜひそれぞれの病気の特徴を覚えておいてくださいね。
もし愛犬の様子がおかしいな?と感じたら、できるだけ早く動物病院を受診するようにしましょう。