犬のにきび!膿皮症ってどんな病気?原因や症状、治療費・予防法について
膿皮症とは、皮膚の常在菌「ブドウ球菌」が過剰に増えたことで起こる皮膚病です。
膿皮症は犬の皮膚炎の中でも特に多い病気で、皮膚の抵抗力が下がった時などに発症します。
今回は、犬の膿皮症の原因や症状、治療法や予防について解説していきます。
治療費の目安についても触れているので、ぜひ参考にしてくださいね。
目次
犬の膿皮症の原因は皮膚の常在菌「ブドウ球菌」
犬の膿皮症は、皮膚の常在菌であるブドウ球菌によって皮膚が化膿することで起こります。
ブドウ球菌は犬の皮膚上に存在する菌ですが、ただ存在するだけでは特に悪さはしません。
しかし、皮膚の免疫力が下がっていたり、間違ったスキンケアによって皮膚バリアが壊れてしまうと、ブドウ球菌は異常に増殖し始め、悪さをするようになります。
もともと犬は人の6分の1ほどしか皮膚の厚みがなく、かつ皮膚pHが弱アルカリ性で細菌繁殖を起こしやすいため、膿皮症リスクが高い動物といえます。
なお、何度も膿皮症を繰り返してしまう場合には、ホルモンバランスや代謝異常などを起こしている可能性があります。
犬の膿皮症の症状は炎症の深さによって違う
犬の膿皮症の主な症状としては、以下のようなものが挙げられます。
膿皮症の症状
- 皮膚が局所的に赤い
- ニキビのような赤い発疹ができる
- 膿を持った発疹ができる
- 発赤を中心として環状に黄色いフケが出る(皮膚がめくれる)
- 皮膚の痒み、痛み、脱毛、黒ずみ
- 左右対称性の外耳炎
軽度のうちは、皮膚が局所的に赤いだけということもありますが、悪化すると膿疱ができたり、発疹がつぶれて液体が出てくることもあります。
なお、膿皮症には炎症が起こる部位によって「表在性膿皮症」と「深在性膿皮症」の2種類に分けることができます。
表在性膿皮症は病変が表皮内に限られているため、それほど重い症状は見られません。
しかし、深在性膿皮症の場合は真皮部分まで病変が及んでおり、痒みよりも痛みのほうが強く感じられるでしょう。
また、膿皮症の初期症状は一部分のみに現れるのが一般的。
ですが、犬が患部を掻いたり舐めたりしているうちに病原菌は全身に広がってしまうので、徐々に症状が出る範囲も広がっていきます。
犬の膿皮症の治療法には、どんなものがある?
一般的に、犬の膿皮症は抗生物質の内服で治療します。
表在性膿皮症の場合は、抗生物質を2~3週間ほど服用し、過剰に増えてしまったブドウ球菌を減らします。
深在性膿皮症であれば、1~3ヵ月間は抗生物質の服用が必要になる場合もあるでしょう。
抗生剤には飲み薬と塗り薬がありますが、基本的には併用して治療します。
なお、服用の回数や期間については、獣医師の指示を必ず守ることが大切です。
見た目はすっかり良くなったから、と自己判断で抗生物質の服用を止めてしまうと、薬剤耐性菌(抗生物質が効かない菌のこと)ができてしまい、完治が遅れてしまうかもしれません。
そもそも膿皮症は完治までに時間がかかる皮膚病なので、治療はできる限り効率的に行うようにしましょう。
その他、膿皮症の治療としては、抗菌作用のある薬用シャンプーを使って薬浴を行ったり、皮膚・被毛の風通しを良くするために患部の毛刈りを行ったりします。
膿皮症の治療費の目安
膿皮症になってしまった場合、いったい治療費はいくらかかるのでしょうか?
動物病院や症状の重さ、犬の体重によっても治療費は変わりますが、基本的に膿皮症は完治まで2~3万円ほどかかります。
治療を続けてもなかなか効果がみられない「難治性膿皮症」の場合は、更に多くの検査・通院が必要になるため、治療費が通常の1.2~1.5倍ほどかかる可能性もあるでしょう。
治療費の内訳としては、診察・検査(皮膚検査、細菌培養検査など)代で1万円ほど、薬用シャンプーの購入や毛刈りなどを行った場合は各2,000円ほどかかります。
抗生物質の処方は2,000~3,000円ほどで、皮膚バリアを高めるためのサプリメント代がこれにプラスされるイメージですね。
また、犬が掻き壊してしまった患部を消毒しなければいけない時には、自宅用の消毒液代なども別途かかるかもしれません。
犬の膿皮症は皮膚の抵抗力を高めて予防しよう
膿皮症予防のポイントは、普段から皮膚の免疫力を高めておくことです。
ブドウ球菌は主に皮膚の抵抗力が下がった時に増殖するため、常に健康的な皮膚バリアを維持すること。
具体的な方法としては、以下のようなものが挙げられます。
愛犬の皮膚バリアを高める方法
- 栄養バランスの整った食事を与える
- 快適な温度・湿度の管理
- 定期的なシャンプーで汚れ・余分な皮脂を落とす
- 愛犬の生活環境を清潔に保つ
- 良質な睡眠をとれるよう、睡眠時間を確保する
また、散歩中にできた小さな傷口からブドウ球菌が侵入することもあるので、砂利道や草の多い場所はできるだけ散歩コースから外すとよいでしょう。
こまめに皮膚の状態をチェックし、何か気になることがあればすぐにかかりつけの動物病院に相談することも大切なポイントです。
梅雨時期や夏場は膿皮症がもっとも起きやすいので、この時期は特に注意してくださいね。
完治のカギは早期発見・早期治療
犬の膿皮症は様々なきっかけが原因で発症するため、普段から皮膚の抵抗力を高めておくことが大切です。
もし発症してしまった場合には、きちんと時間をかけて適切な治療を受けましょう。
基礎疾患や体質が原因の膿皮症では、途中で治療を止めてしまうと何度も再発してしまったり、抗生物質が効かなくなってしまうことがあります。
もし愛犬に気になる症状がみられた時は、できるだけ早くかかりつけの獣医さんに診てもらってくださいね。