フレーメン反応ってなに?犬がにおいを嗅いだ後の様子が可愛い!
お散歩中、しきりに「におい」を嗅いでいた愛犬が、突然口をパクパクさせたり、表情や体の動きが固まってしまったという経験はありませんか?
飼い主さんにとっては、あまり見たことのない珍しい仕草だと思います。
もし見たことのある方は、なんとも可愛らしい仕草に見えたことでしょう。
これらの行動は、犬がフェロモンを感じ取っている時に起こる「フレーメン反応」とよばれるものです。
あまり聞き馴染みのない言葉だと思いますが、今回はこのフレーメン反応がどういったものなのか説明していきたいと思います。
目次
フレーメン反応はなぜ起こるか
フレーメン反応は、犬がフェロモンを感じ取っている時に起こる反応です。
犬の口の中には、「ヤコブソン器官」(日本語では鋤鼻器(じょびき))という嗅覚器官があり、そこでフェロモンを感じ取ります。
ヤコブソン器官は通常のにおいを感じとる「嗅覚」とはまったく別の器官で、本来は口の中の食べ物のにおいを感じ取るものでした。
犬は人間に比べて、このヤコブソン器官が発達しており、人間では感じ取ることの出来ないフェロモンを嗅ぎ分けることが出来ます。
フレーメン反応をしている時の犬は、鼻からも口からも「においの情報」を得ようとしています。
その為、口をパクパクさせる・歯をカチカチさせる・口を開けてポカーンとする・笑った表情になってしまうなど、「変顔」とも呼べるなんとも言えない表情になります。
この表情を見て、「うちの子はどうかしちゃったのではないか?」と不安になる飼い主さんもいるかとは思いますが、これはフレーメン反応をしている犬のごく自然な行動ですので、心配しないで大丈夫ですよ。
そもそもフェロモンとは何?
フェロモンとは、一般的に「体外に分泌され、同種の他個体に作用して、ある特定の行動や生理的変化を起こす化学物質」のことです。
犬の例でいうと、発情中のメスのおしっこにはフェロモンが含まれています。
おしっこに含まれているフェロモンは、オスをひきつけ、ひきつけられたオスは時に、数キロも先のにおいを感じとれるそうです。
オス犬を飼っている飼い主さんは、メス犬のにおいをしきりに嗅ぐ愛犬の仕草をよく見るのではないでしょうか?
あれはきっとメス犬から分泌されているフェロモンを感じ取っているのでしょう。
同じメス犬を求めて、オス同士が喧嘩したりする場合もあります。
また、相手が人間の場合でも、オス犬は男性よりも女性によく反応してにおいを嗅ぐ習性があります。
犬はもともと嗅覚によって多くの情報を得ていますが、加えてヤコブソン器官でフェロモンも感じているのでしょう。
おしっこ以外にもフェロモンは出ている?
結論から言うと、犬はおしっこ以外でもフェロモンを発しています。
犬でも人間でも、皮膚には汗腺(かんせん)と呼ばれる「汗を出す管状の腺」があり、「エクリン腺」と「アポクリン腺」の2種類が存在します。
犬のエクリン腺は、主に鼻先や肉球にあり、そこから分泌される汗はサラサラとしています。
よく犬の鼻先が濡れているのは、このエクリン腺から分泌された「汗」というわけですね。
ではフェロモンが分泌されているのはどちらの腺かというと、アポクリン腺の方です。
犬のアポクリン腺は、全身に張り巡らされており、そこから出る汗はエクリン腺の汗と違ってベタベタとしています。
この汗には、アンモニア・たんぱく質・皮脂などが含まれており、空気に触れることで酸化してにおいを放ちます。
愛犬が地面に体をこすりつけている仕草を見たことはありませんか?
あの仕草は、アポクリン腺から分泌された様々な汗を地面につけて、他の犬に対して自分の存在をアピールしているといわれています。
または、他の犬のにおい(フェロモン)を自分の体に染み込ませて、家に持って帰ろうとしているのかもしれませんね。
犬以外の動物でもフレーメン反応はみられるの?
実は、犬はあまりフレーメン反応を起こさない動物だといわれています。
では、どんな動物がよくフレーメン反応を起こすかというと、馬や猫です。
馬のフレーメン反応として分かりやすい例といえば、「歯ぐきを出してブルブルと顔を震わせる行動」ですね。
みなさんも馬のイメージとして、思い浮かぶのではないでしょうか?
また、猫もよくフレーメン反応を起こすそうです。
猫のフレーメン反応は、体が固まってボーっとした顔になったり、耳を立ててびっくりした表情になったりするものです。
なぜ犬に比べて馬や猫のほうがフレーメン反応をよく起こすかというと、馬や猫のヤコブソン器官が、犬より発達しているからなんです。
他にも牛や羊などもヤコブソン器官が発達していて、フレーメン反応を起こす動物といわれています。
ですので、犬のフレーメン反応を見たことがある飼い主さんはラッキーなのかもしれません。
人間もフレーメン反応をする?
人間はフェロモンを嗅ぎ分けるヤコブソン器官がすっかり退化しているので、動物のようなフレーメン反応は見られません。
そもそもみなさんは何かのにおいを嗅いで、口をポカーンと開けたり、歯をカチカチさせたりはしませんよね?
フレーメン反応ではありませんが、例えば何か臭いものを嗅いだ時の人間の反応として、「くさい!」と言ったり、嫌な表情をしたりします。
私たち人間は、フェロモンを嗅ぎ分けることは出来ませんが、こうした言葉や表情で表現する能力があります。
そう考えると、フェロモンを嗅ぎ分ける能力がない人間が、フェロモン入りの香水の匂いなど嗅ぎ分けられるわけがありませんよね?
愛犬ににおいをたくさん嗅がせてあげて、いろんな情報を与えてあげよう
犬は、猫や馬に比べてヤコブソン器官が発達していないので、フレーメン反応をすることはあまりありません。
もし飼っているわんちゃんが、何かのにおいを嗅いで口をパクパクさせたり、表情が固まってしまったりしたら、きっと人間には感じ取れない「フェロモン」に反応しているのでしょうね!
それは非常に珍しい行動ですから、ぜひ見逃さないようにしましょう。
また、普段と違う行動をとってしまった愛犬のことが心配になる飼い主さんもいると思います。
しかし、これはフェロモンを感じ取っている「わんちゃん特有のフレーメン反応だということ」を頭に入れておけば、不安になることもないと思います。
愛犬を散歩させる時には、周りのにおいや他の犬のにおいをたくさん嗅がせてあげて、いろんな情報を与えてあげましょう。
犬にとっては何よりも刺激になるはずです。