高齢犬の介護は無理せず楽しく。元気に長生きしてもらうために
獣医療やペットフードの発達により、犬の寿命が延びています。
一般社団法人日本ペットフード協会の調査によると2010年は13.9歳だった犬の平均寿命が、2017年は14.19歳となりました。
また2017年の飼育頭数は約8,920千頭で、そのうち7歳以上の犬が占める割合は58.9%となっています。
寿命が延びてきた分、長く一緒にいられるという喜びもありますが、一方で介護を必要とする高齢犬も増えてきています。
今回は負担が大きくなりがちな、高齢犬介護を乗り切る準備やコツについてお伝えします。
目次
大型犬は5歳、小型犬・中型犬は7歳になる頃に準備しておく
犬は人間の4倍の速さで年を取ると言われています。
小型犬・中型犬の7歳は、人間の年齢に換算すると約44歳、大型犬では約54歳にもなります。
そろそろ健康に今まで以上に注意をし、体を気遣う年齢であることは犬も同じです。
大型犬では人間の40歳と同じくらいにあたる5歳頃から、小型犬・中型犬では7歳頃から高齢期に入る準備と心構えを始めましょう。
歳を取ったせいだと思いがちなことも、病気が原因だったということもあるので、まずは健康診断を受けに動物病院に行きましょう。
食欲が落ちた、と思ったら実は歯が弱っていたということもあります。
歯のチェックもお願いし、歯みがきなどのデンタルケアの習慣もつけておきましょう。
犬が暮らす環境を見直す
滑りやすい床や大きな段差は、高齢犬にとって足腰の負担になります。
床にはマットを敷いて、滑りにくくしておきます。
毛足の長いじゅうたんやループ状のじゅうたんは、爪が引っかかりケガのもとになるので毛足の短いものに取り換えておきましょう。
ソファや玄関など高い段差があるところには、ステップやスロープを置くと上り下りが楽になります。
また視力も低下してくるため、家具の角にクッション材などを貼って、ケガ防止をしてあげましょう。
ただし、大がかりな模様替えをすると高齢犬は混乱してしまうので、模様替えが必要なときは老化の兆候がでていないうちに行います。
散歩のときにトイレをする犬は、今のうちに家の中でできるようにしておくと、歩くのが困難になったときのお世話が楽になります。
犬の食生活を見直す
高齢期になると若い頃より代謝が落ちてくる上、運動量もだんだん減ってきます。
年齢や状況に応じたフードに少しずつ切り替えましょう。
どのようなフードが合っているかは犬によって異なるので、動物病院で受診してアドバイスを受けましょう。
また以前より食べることが遅くなったときは、食器を置いている場所を見直してみてください。
年をとると犬は首をかがめるのが苦痛になることがあります。
食器の位置を少し高くするだけで、食べやすくなります。
嗅覚も衰えてくるのでドッグフードを少し温めて、香りを出してあげると食いつきが良くなります。
散歩やマッサージは認知症予防や筋肉のためにも必要
外を歩くことは犬にとって刺激になり、認知症の予防にもなります。
また体を動かすことで、筋肉の衰えも防止できます。
家の中では飼い主さんとおもちゃで遊んだり、かくれんぼなどのゲームをしたりして、刺激を与えてあげるようにします。
高齢になると運動量が減るので、マッサージやブラッシングで体の血行をよくしてあげましょう。
優しく声をかけながらマッサージをすると、犬とコミュニケーションをとることができ、絆も深まるのでおすすめです。
犬が寝たきりになったら床ずれ・排泄・食事のケアを
いろいろと対策をしても、寝たきりになってしまうことはよくあります。
特にひじや腰、頬など骨が出っ張っているところに床ずれができやすくなるので、床ずれ予防のベッドに寝かせて2時間ごと程度に寝返りを手伝ってあげましょう。
血行を良くするために、マッサージやブラッシングは今まで通り続けることも大切です。
お尻周りは排泄物で汚れやすくなります。
お尻周りの毛は刈っておき、ふさふさのしっぽにはゆるく包帯を巻いておくと汚れもつきにくく、洗うのも楽になります。
また、場合によってはオムツも必要になるでしょう。
人間の赤ちゃん用オムツは、ペット用のオムツより比較的安く手に入ります。
しっぽの位置に穴を開けてテープで止める手間はかかりますが、犬にも十分使えます。
さらに尿漏れパットを中に入れると、汚れたらパットを取り換えればいいので処理も楽になります。
中型犬や大型犬の場合は、人間のパンツタイプのオムツを使うのもおすすめです。
食事を食べさせるときは、誤嚥を防ぐためなるべく体を起こして少しずつ食べさせてあげるようにします。
歯が弱って固いドライフードが食べにくくなった犬には、ふやかしてあげるかウェットフードを食べさせてあげましょう。
無理をしないことが一番大切
犬の介護は、飼い主さんが頑張りすぎて大きな負担になることがあります。
夜鳴きをする犬もいるので、寝不足になってしまう飼い主さんも少なくありません。
介護中は家族や犬の飼い主仲間、かかりつけの獣医さんや動物看護士さんにこまめに相談しましょう。
話すだけでも楽になったり、解決策が見つかったりします。
疲れがたまったり、ストレスがたまったりする前に動物病院や老犬シッターに預かってもらって時々休憩しましょう。
なにより飼い主さんが元気でいることが、犬にとって最も大切です。
自分ができる範囲で無理をしないことが、犬の介護を乗り切るコツです。