犬のフィラリア予防はいつからいつまで?対策の基礎知識と対策期間
フィラリア症とは、犬糸状虫という寄生虫が肺動脈や心臓に寄生する病気のことです。
寄生虫の媒介役は暖かくなると発生する「蚊」で、進行すると咳や食欲不振など様々な症状を示します。
フィラリア症は放っておくと命に関わるため、シーズン中はしっかりと予防を行いましょう。
今回は、フィラリア予防の時期と予防薬の種類、投薬時の注意点について説明します。
目次
薬は毎月きっちり、確実に飲ませましょう
フィラリア症は命に関わる病気ですが、きちんと予防すれば防ぐことができます。
一般的なフィラリア症の予防薬は1ヵ月効果が持続するため、投薬は月に1回が基本です。
毎月1日、毎月30日など投薬日を決めておけば覚えやすいので、投薬忘れを防ぐことができますよ。
予防するのを忘れてしまったとしても、数日から1週間程度ならそのまま投薬して大丈夫です。
もし、2週間以上たって投薬忘れに気付いたら、念のため動物病院で感染の有無を確認しましょう。
すでにフィラリアが寄生していた場合、安易に投薬すると血管に幼虫が詰まってしまうこともあります。
フィラリアが心臓や肺に移動するまでには2ヵ月くらいの期間がかかりますが、油断は禁物です!
必ずフィラリアが体内で移動を始める前に投薬をして、フィラリア症の発症を未然に防ぎましょう。
投薬を始めるタイミングと終わりのタイミング
フィラリア症の予防薬を投与するのは、具体的にいつからいつまでなのでしょうか?
通常、フィラリア予防薬の投与期間は蚊の発生する時期によって決まります。
投与を始めるタイミング | 蚊が出始めてから1ヵ月後 |
投与を終えるタイミング | 蚊がいなくなってから1ヵ月後 |
発生した蚊が吸血をはじめるのは、平均気温が15度以上になる頃です。
吸血活動が活発なのは26~30度くらいで、32度を超えると物陰などの涼しいところに移動します。
蚊が発生する時期は地域によって差がありますが、一般的には初夏から秋口ごろでしょう。
そのため、関東の動物病院では5~12月までのフィラリア予防を推奨しています。
フィラリア予防薬のタイプについて
フィラリアの予防薬には様々な形状があり、投薬の方法も異なります。
フィラリア予防薬のタイプ
- 錠剤タイプ
- 顆粒タイプ
- チュアブルタイプ
- 滴下タイプ
- 注射タイプ(薬剤は牛や馬などの家畜用)
もっとも一般的なのは錠剤タイプで、顆粒タイプと同じくフードに混ぜ込むなどして投与します。
また、チュアブルの予防薬は薬嫌いの犬にも無理なく投薬できるので、多くの飼い主さんが高評価。
以前は経口ゼリータイプなどもありましたが、現在はこの4種類がフィラリア予防薬の主流といえますね。
投薬のしやすさは予防薬の形状によって違うので、愛犬に合ったものを選んであげてくださいね。
フィラリア予防薬の種類
フィラリアの駆除に効果があるのは、マクロライドと呼ばれる薬剤です。
マクロライド系の薬剤にはいくつかの種類があり、どの薬剤が含まれているかは製品によって違います。
なお、イベルメクチンを使用した製品は、コリー犬種への使用は避けたほうがよいとされています。
というのも、ボーダーコリーやシェルティなどの犬種は、予防薬の投与で重い神経症状を起こすリスクがあるから。
特定の薬剤が脳に侵入するのを防ぐ遺伝子が欠損しているために、脳にダメージが及ぶ可能性があるのです。
フィラリア予防薬程度の量で問題が起こることは少ないですが、念には念をいれておきましょう。
以下は、イベルメクチン以外の有効成分を使用したフィラリア予防薬です。
いずれもフィラリア予防薬としてポピュラーな製品なので、多くの動物病院で取り扱われています。
錠剤 | チュアブル | 滴下 | |||
製品名 | ミルベマイシンA | システック | ネクスガードスペクトラ | インターセプターS | レボリューション |
有効成分 | ミルベマイシンオキシム | ミルベマイシンオキシム/フェヌロン | アフォキソラネル/ミルベマイシンオキシム | ミルベマイシンオキシム/プラジクアンテル | セラメクチン |
ノミへの有効性 | なし | 〇 (卵・幼虫・サナギ) |
〇 6時間以内に駆除※効果1ヶ月持続 |
なし | 〇 48時間で99% |
マダニへの有効性 | なし | なし | 〇 24時間以内に駆除※効果1ヶ月持続 |
なし | なし |
年齢制限 | 生後2週齢から | 生後4週齢から | 生後8週齢から | 生後1ヵ月以上 | 生後6週齢から |
体重制限 | 2.5kg以上 | 2kg以上 | 1.8kg以上 | 1.0kg以上 | なし |
錠剤 | ||
製品名 | ミルベマイシンA | システック |
有効成分 | ミルベマイシンオキシム | ミルベマイシンオキシム/フェヌロン |
ノミへの有効性 | なし | 〇 (卵・幼虫・サナギ) |
マダニへの有効性 | なし | なし |
年齢制限 | 生後2週齢から | 生後4週齢から |
体重制限 | 2.5kg以上 | 2kg以上 |
チュアブル | ||
製品名 | ネクスガードスペクトラ | インターセプターS |
有効成分 | アフォキソラネル/ミルベマイシンオキシム | ミルベマイシンオキシム/プラジクアンテル |
ノミへの有効性 | 〇 6時間以内に駆除※効果1ヶ月持続 |
なし |
マダニへの有効性 | 〇 24時間以内に駆除※効果1ヶ月持続 |
なし |
年齢制限 | 生後8週齢から | 生後1ヵ月以上 |
体重制限 | 1.8kg以上 | 1.0kg以上 |
滴下 | |
製品名 | レボリューション |
有効成分 | セラメクチン |
ノミへの有効性 | 〇 48時間で99% |
マダニへの有効性 | なし |
年齢制限 | 生後6週齢から |
体重制限 | なし |
投薬後はしばらく様子に気をつけて
フィラリア症の予防薬は安全性が高いものばかりですが、まれに愛犬との相性が合わない場合があります。
錠剤やチュアブルなど飲み込むことで効果を発揮する薬の場合は、投薬後の吐きだしや嘔吐に注意しましょう。
胃の消化能力には個体差がありますが、投与してから約3時間たてば成分のほとんどは吸収されています。
予防薬を投与した後はしばらく安静にして、できるだけ嘔吐や吐き戻しが起こらないようにしてくださいね。
予防薬を正しく投与して、フィラリア症の感染を防ごう
フィラリア症は目に見えないところで症状が進行するため、どうしても軽く考えられがちです。
感染しても初期のうちはほとんど症状が出ないので、飼い主さん自身も気づきにくい病気といえるでしょう。
海外にくらべて、日本で暮らす犬たちのフィラリア感染率の高さは目を疑うものがあります。
大切な家族がフィラリアで苦しむことのないように、シーズン中は必ず予防薬を使うようにしてくださいね。