犬のアンダーショットやオーバーショットとは?犬種別で見る歯の噛み合わせ
愛犬を動物病院に連れて行った際に、歯について「アンダーショットですね」などと言われたことのある飼い主さんもいるかと思います。
「アンダーショット」や「オーバーショット」と耳にすることはよくあるけれど、実際どのようなことを言うのでしょうか。
今回は、犬の歯の噛み合わせについて犬種なども併せてご紹介します。
目次
犬のアンダーショットとは?
まずは、犬の「アンダーショット」からお話していきます。
アンダーショットは「下顎突出咬合」や「アンダーバイト」と呼ばれることもあり、下顎が上顎よりも出ている状態を指します。
「受け口」や「しゃくれ」というとイメージしやすいかもしれません。
上顎と下顎のずれが少しであれば、それほど問題はないので心配もいりません。
しかし、5mm以上のずれであると口の中を傷つけやすかったり、歯垢や歯石が溜まりやすかったりして歯周病につながってしまうというデメリットもあります。
見た目を気にする飼い主さんもいるかもしれませんが、「受け口がかわいい」と思う愛犬家だってたくさんいるのが事実です。
生活に支障がない場合に、アンダーショットのメリットやデメリットを決めるのは飼い主自身なのかもしれませんね。
アンダーショットの主な犬種
犬のアンダーショットについて詳しくお話しましたが、このアンダーショットが「正常な噛み合わせ」だという犬種もたくさんいます。
- ブルドッグ
- フレンチブルドッグ
- パグ
- ペキニーズ
- ボストンテリア
他にもさまざまなアンダーショットの犬種がいますが、これを見てお分かりいただけるようにほとんどの子が鼻の低い犬種です。
すべての場合ではありませんが、多くの短頭種の犬ではアンダーショットが理想とされています。
犬のオーバーショットとは?
次に、犬の「オーバーショット」について解説していきます。
オーバーショットは先ほどのアンダーショットとは反対に、上顎が下顎よりも出ている状態のことです。
「上顎前出咬合」や「オーバーバイト」とも呼ばれていて、いわゆる「出っ歯」をイメージするとわかりやすいかもしれません。
アンダーショットのように目で見てすぐわかるようなものではありませんが、こちらも噛み合わせがうまくできないため口の中を傷つけてしまうというデメリットがあります。
オーバーショットが正常咬合の犬種はいない?
先ほどのアンダーショットでは、ブルドッグやパグなどはその噛み合わせが「理想」だとお話してきました。
それならば「オーバーショットが理想」とされる犬種もいるのか・・・と思ってしまいますが、実はオーバーショットは全ての犬種で「ふさわしくない」とされている噛み合わせなのです。
でも、だからと言って「オーバーショットのすべての犬に矯正が必要なのか?」と聞かれればそうではありません。
先ほどもお話したように、オーバーショットであることによって犬が口の中を傷つけてしまうなど、生活をする中で何らかの支障が出てきたのであれば歯科矯正も視野に入れた方が良いでしょう。
しかし、オーバーショットの犬であっても生活に支障をきたすほど歯のずれが激しいと言う子は、実際にはそこまで多くはありません。
オーバーショットのほとんどの子が問題なく生活できているのが現状ですので、飼い主さんはそこまで過敏になる必要はないでしょう。
犬のクロスバイトとレベルバイト
犬のアンダーショットとオーバーショットについてお話してきましたが、あと二つよく聞く犬の噛み合わせがあるのでそちらもご紹介します。
クロスバイト
「クロスバイト」は上下の顎の骨は正常なものの、一部の歯列に異常が見られる状態のことを言います。
多くの場合の原因が、子犬から成犬になるタイミングでの歯の生え変わりがうまくいかなかったことだと言われています。
歯の生え変わりがうまくいかなかったために、本来歯の生えるべき箇所ではないところに歯が生えて、上下の歯が入り組んでしまうようです。
レベルバイト
「レベルバイト」は「切端咬合」や「水平咬合」とも呼ばれており、歯を噛み合わせた時に上下の切歯の先端がピッタリと合わさる状態のことを指します。
小型犬の場合、ほとんどの犬種では「シザーズバイト」と呼ばれる上顎と下顎がほんの少し接触してハサミのように噛み合う状態が理想とされています。
そのため、このレベルバイトも「不正咬合」とされてはいますが、オーバーショット同様にそこまで大きなデメリットがないのが事実です。
野生時代の犬であれば「噛む力が弱く獲物を捕まえづらい」などあったかもしれませんが、家庭で飼育されていることがほとんどの現代では、そうして困ることもほとんどないでしょう。
飼い主さんはそこまで気にする必要はありません。
犬の噛み合わせは矯正が必要なことも
犬のアンダーショットやオーバーショットなどの噛み合わせについて詳しくお話しました。
どの噛み合わせであっても、そこまで大きな歯のずれがなければ過度の心配はありません。
しかし、先ほども少しお話したように口の中を傷つけてしまうなど日常生活に支障がある場合には歯科矯正が必要なケースもあります。
犬の歯科矯正は人間のように器具を装着する方法ではなく、全身麻酔を使っての外科的措置となります。
犬の体にも大きな負担となりますから、かかりつけの獣医師と相談しながら「愛犬に矯正が必要かどうか」を見極めてくださいね。