犬のしっぽの形は種類が豊富!16のタイプと代表的な犬種について
犬のしっぽとひとくちにいっても、それぞれ形が違いますよね。
犬が感情を表現するうえで大切な役割を持つしっぽですが、実はその数は16種類もあります。
しっぽの種類と代表的な犬種、しっぽの構造などを知って、より深く愛犬について理解を深めてみましょう。
今回は、犬の骨格やしっぽの構造、しっぽの種類や断尾など、しっぽに関する知識を解説します。
目次
犬の骨は人間より120本も多い
しっぽについて知る前に、まずは犬の骨格について考えてみましょう。
犬の骨格は私たち人間とよく似た構造をしており、人間がそのまま四つん這いになったような作りです。
人間も昔は四足歩行をしていた動物であるため、基本的な構造はあまり変わらないのですね。
とはいえ、現在の人間と犬では歩き方が違いますし、異なる点も多々あります。
例えば人間には胸の上に鎖骨がありますが犬には無く、代わりにしっぽの骨である尾椎を持っています。
尾椎の数は犬種や遺伝によって違いますが、基本的には20個ほど存在しています。
全身の骨の数は犬が約320本、人が200本で、犬のほうが120本も骨が多いのには驚きですね。
犬のしっぽは筋肉・骨・神経で出来ている
しっぽの断面図をみてみると、犬の尾椎の周りには多くの筋肉と神経が存在することが分かります。
犬のしっぽ周りの筋肉
- ・内背側仙尾筋
- ・外背側仙尾筋
- ・尾横突間筋
- ・外腹側仙尾筋
- ・内腹仙尾筋
- ・直腸尾筋 など
これらはしっぽを持たない人間には無い構造であり、しっぽをあらゆる方向へ動かすために必要不可欠なもの。
犬がしっぽで感情を表現することができるのは、しっぽが多数の筋肉と神経に包まれているからなのです。
犬のしっぽの種類は分かっているだけで16種類もある
牧羊犬や狩猟犬など、犬は昔から様々な目的に合わせて改良されてきました。
そのため、しっぽの形には犬種によって大きな違いがあり、犬種特有の個性として認められています。
ここでは、犬のしっぽの形として知られている16種類のしっぽと代表的な犬種をご紹介します。
垂れ尾(ブラッシュテイル、セーバーテイル)
自然な状態で下に垂れ下がっているしっぽ。
代表犬種:シベリアンハスキー、セントバーナード、ジャーマンシェパードなど
立ち尾(フラッグポールテイル、ゲイテイル)
お尻から垂直にピンと立ち上がったしっぽ。
代表犬種:ビーグル、スコティッシュテリアなど
飾り尾(フラッグテイル)
しっぽ全体がふさふさしており、長い毛が垂れ下がっているしっぽ。
代表犬種:ゴールデンレトリバー、ミニチュアダックスフンド(ロングヘアー)など
鎌尾(シックルテイル)
鎌のように緩やかな曲線を描いているしっぽ。背中までは巻き込まない。
代表犬種:チワワ、ミニチュアピンシャーなど
リス尾(スクワーラルテイル)
鎌尾によく似ているが、先端が背中に接触しているしっぽ。
代表犬種:パピヨンなど
巻き尾(カールドテイル)
背中に向かってクルンと巻いているしっぽのこと。
代表犬種:柴犬、秋田犬、バセンジーなど
輪尾(リングテイル)
円を描くように丸くカーブしているしっぽ。
代表犬種:アフガンハウンドなど
鞭尾(ウイップテイル)
背中と水平にまっすぐ伸びているしっぽ。
代表犬種:ダルメシアン、イングリッシュポインター、イングリッシュセッターなど
かぎ尾(フックテイル)
先端が上向きに曲がっている垂れたしっぽ。
代表犬種:ブリアードなど
オッターテイル
根元が丸くて太い、カワウソのようなしっぽ。
代表犬種:ラブラドールレトリバーなど
ラットテイル
根元に太く柔らかい巻き毛が生えており、先端ほど毛がない細いしっぽ。
代表犬種:アイリッシュウォータースパニエルなど
ブルームテイル
長い羽状の飾り毛が垂れ下がった形のしっぽ。
代表犬種:チャイニーズクレステッドドッグなど
キンクテイル
根元からよじれたように曲がっている短いしっぽ。
代表犬種:フレンチブルドッグなど
スクリューテイル
ワインの栓抜きのようにらせん状に巻いたしっぽ。もとは骨の形成異常として生まれた。
代表犬種:パグ、ブルドッグ、ボストンテリアなど
クランクテイル
短い下向きのしっぽ。先端はやや上向きで曲がっている。
代表犬種:スタッフォードシャーブルテリアなど
ボブテイル
とても短く、ほとんど生えていないしっぽ、またはごく短く断尾されたしっぽ。
代表犬種:ウェルシュコーギーペンブローク、オールドイングリッシュシープドッグなど
ちなみに、犬のしっぽの形は犬種標準書を基本としています。
つまり、犬種標準書では「本来この犬種のしっぽはこうあるべき」という形が決められているのですね。
しっぽの位置はもちろん、形状も犬によってそれぞれ違いますが、犬種特有の形を覚えておいて損はありませんよね。
なかには断尾が基本の犬種も存在する
様々な種類があるしっぽですが、なかには慣習的にしっぽを断尾される犬種も存在します。
慣習的に断尾される主な犬種
- ・ウェルシュコーギーペンブローク
- ・ドーベルマン
- ・ボクサー
- ・アメリカンコッカースパニエル
- ・シルキーテリア など
これらの犬種は、生まれてすぐにしっぽを切り落されてしまうことが多い犬種です。
断尾をする理由は「宗教的・医学的・美観的」という3つで、基本的には人間のエゴによるもの。
犬種標準書ではしっぽが無い個体が望ましいとされていますが、近年では反発の声も多くあります。
断尾は犬が生まれ持った個性を人為的に捻じ曲げる行為であり、けっして許されるものではありません。
現在は断尾反対派のブリーダーも増えていますが、できるだけ早く断尾の慣習がなくなることを願うばかりです。