犬の歯の構造は?本数・種類・噛み合わせについて解説
大切な家族である愛犬の歯について、あなたはどのくらい知識を持っていますか?
犬の歯の数や咬み合わせは人間とまったく違っており、歯の持っている役割もそれぞれです。
今回は、犬の歯の構造や役割、乳歯から永久歯への生え変わりについて解説します。
目次
犬の歯の基本構造は人間と同じ
犬の歯自体は人間と同じ構造をしており、正常な歯は白く、ツルツルしています。
目視で見える分は歯冠、顎の骨の中にある部分は歯根、その間の部分は歯肉溝と呼ばれます。
歯冠を構成するエナメル質・象牙質はとても固く、特にエナメル質は体内でもっとも硬い組織です。
エナメル質は水晶よりも固いといわれており、健康な犬であればある程度の年齢まで硬度を増していきます。
【外面の名称と概要】
歯冠 | 一般的に歯と呼ばれる部分。食べ物を噛んだり切ったりする役割がある |
歯肉溝 | 歯冠と歯肉の境目の溝部分。炎症などで歯肉溝が深くなると「歯周ポケット」と呼ばれる |
エナメル質 | 歯冠の表面を覆っている外装。非常に硬い組織だが、強い衝撃には弱い |
【歯内部の名称と概要】
セメント質 | 象牙質を覆う組織で、歯の根元にある |
象牙質 | 歯を内側から支えることで、強度を持たせる役割がある |
歯髄 | 歯の中心部にある神経と血管の総称。虫歯菌が歯髄に達すると強い痛みが出る |
歯槽骨 | 歯がはまり込んでいる顎骨の穴のこと。歯を支える骨性組織 |
犬の歯には種類ごとに役割がある
犬の歯の名称は、切歯・犬歯・前臼歯・後臼歯の4つに分類されます。
切歯と前臼歯は獲物をしっかりと捕らえる役割があり、犬歯はこれに引き裂く機能を併せ持っています。
後臼歯は物をすりつぶす働きを持っているため、骨や食べ物を噛み砕くことに長けています。
切歯 | 前歯。上6本、下6本 |
犬歯 | 糸切り歯。上2本、下2本 |
前臼歯 | 前側の奥歯。上8本、下8本 |
後臼歯 | 後ろ側の奥歯。上4本、下6本 |
犬の歯の数は乳歯28本、永久歯42本
犬の歯の本数は、乳歯が合計28本、永久歯が合計42本あります。
生まれたての子犬はまだ歯が生えていませんが、離乳期になると少しずつ乳歯が生え始めます。
個体差はありますが、基本的には生後2ヵ月ほどで乳歯が生え揃い、4~7か月で永久歯へ生え変わります。
なお、犬の歯が生え揃うまでの早さは生まれた時期や体のサイズによって異なります。
冬生まれの犬よりも夏生まれの犬、小型犬より大型犬のほうが早く乳歯が生えてくる傾向があります。
また、オスよりもメスのほうが乳歯の生え揃いが早いことが多いことも覚えておきましょう。
永久歯への生え変わり時は「乳歯遺残」が起こりやすい
乳歯遺残とは、乳歯が抜けていないのに永久歯が生えてきた状態のことです。
特に小型犬に多くみられる問題で、上顎の切歯・前臼歯で発生しやすい傾向があります。
乳歯遺残を起こすと歯並びが悪くなり、乳歯と永久歯の間に食べかすが詰まりやすくなってしまいます。
永久歯が乳歯の半分程度伸びているにも関わらず乳歯が抜けない場合は、動物病院で抜歯をしてもらいましょう。
犬の歯の咬み合わせは4種類
犬の歯には、以下4種類の咬み合わせがあります。
なお、咬み合わせのことは医学用語で「咬合」と呼びます。
シザーズバイト(鋏状咬合)
上の歯がわずかに前へ出ている、犬の正しい咬み合わせ
下顎の犬歯は上顎の犬歯の前にしっかりとはまっており、バランスが良い
レベルバイト(切端咬合)
上下の前歯がきっちりと咬みあっている
ボルゾイ・ウィペット・ダックスフンドなどの長頭種に多くみられる
アンダーショット(反対咬合・下顎突出咬合)
いわゆる受け口のことで、短頭種に多い
下の前歯が突出しており、上の前歯よりも前に出ている
オーバーショット(被蓋咬合・上顎前出咬合)
いわゆる出っ歯のことで、すべての犬種において欠点である
上の歯が前に出ていることで舌が外に出てきてしまい、頭部の形状も退化している
正しい咬み合わせではない状態のことを「不正咬合」といいます。
不正咬合は遺伝や乳歯遺残、怪我などの外傷によって引き起こされるもの。
乳歯遺残による不正咬合であれば抜歯で対処しますが、それ以外のケースでは特に処置はされません。
短頭種は生まれつき歯並びが悪い
パグやフレンチブルドッグなどの短頭種は、基本的に歯並びが悪いです。
これは、顎の面積が生まれつき狭いことが原因で、歯同士が常に詰まった状態になります。
歯並びの乱れは短頭種の宿命ともいえるため、歯磨きは特に念入りに行ってあげることが大切です。
子犬の頃から習慣的に歯磨きを行い、口腔内の環境を清潔に維持できるようにしましょう。
犬の歯の正しい知識を身につけよう
犬の歯の基本構造は、人間とほとんど変わりません。
しかし、歯の本数や役割、噛み合わせはまったく違っています。
犬にとって歯は唯一の武器であるため、常に健康かつ丈夫でなければいけません。
ぜひ犬の歯の正しい知識を身につけ、その重要性について考えてみましょう。