パグがかかりやすい6つの病気。症状や治療法、治療費の相場について
犬には700~800種類の犬種がありますが、それぞれの犬種ごとに発症しやすい病気が異なります。
今回は、短頭種として人気が高い犬種「パグ」がかかりやすい病気や症状、主な治療法や費用について解説します。
病気の進行具合や動物病院によっても治療費は異なりますが、ぜひ大体の相場を知っておきましょう。
目次
パグに多くみられる「壊死性髄膜脳炎」
犬の脳内の「大脳皮質」という大脳の表面部分に、原因不明の炎症が起こる病気です。
炎症がはじまると、犬の脳内の広範囲に渡って壊死が起こり、組織が部分的に死んでしまいます。
パグの発症率が高いため、別名「パグ脳炎」とも呼ばれており、確実な治療方法は今のところ確立されていません。
主な症状 | けいれん・昏睡・旋回運動・歩行困難・斜頸・性格の変化・壁などの障害物に頭を押しつけるなど |
治療法 | 有効な治療法はなし(けいれん発作を軽減させるために、抗けいれん薬やステロイドを投与することがある) |
治療費 | 5~6万円程度(診察、検査、投薬、入院代として) |
いわゆるドライアイの状態「乾性角結膜炎」
目の表面部分が乾燥し、角膜と結膜に炎症が起きている状態のことで、ドライアイとも呼ばれています。
正常な犬の眼は「涙膜」という薄い涙の層で覆われていますが、乾性角結膜炎の場合は涙膜を維持することができません。
治療は点眼薬を使って行うことがほとんどですが、重症の場合は耳下腺管を結膜に移植して涙の代替とします。
主な症状 | 結膜が濁る、出血、目ヤニ、角膜に穴が開く、まぶたがくっつく、失明(重度の場合)など |
治療法 | 人口涙液や免疫抑制剤の点眼薬を投与、副交感神経を刺激する内服薬の投与、軟膏の塗布、外科的手術 |
治療費 | 1万円程度(診察、検査、点眼薬、軟膏、内服薬代として)※外科手術の場合は別途費用がかかる |
鼻ぺちゃな犬種特有の疾患「短頭種気道症候群」
短頭種気道症候群は、生まれつき気道が狭く、呼吸の通りが悪くなりやすい短頭種にみられる呼吸器系症状の総称です。
短頭種気道症候群を引き起こす病気としては、鼻腔狭窄や軟口蓋過長症など様々なものがあり、いずれも短頭種のリスクは高め。
肥満は短頭種気道症候群の発症リスクを高めるため、パグのように太りやすい体質の犬種は特に注意が必要です。
主な症状 | ガーガーというアヒルのような呼吸音、いびき、呼吸時に鼻水が出る、少しの運動で息が上がる、呼吸困難など |
治療法 | 投薬、一時的な呼吸困難に対する酸素吸入、外科手術(鼻孔拡張術や軟口蓋切除術など) |
治療費 | 5~15万円程度(診察、検査、手術、入院代として) |
夏場は特に注意!「熱中症」
高温多湿の場所に長時間いることで、様々な症状があらわれる病気です。
パグをはじめ、フレンチブルドッグなどの短頭種は呼吸による体温調整が苦手なため、熱中症にかかりやすい犬種といえます。
重症の場合は、後にショック症状や脳炎を起こし、命に関わることがあるため、獣医師の判断によっては2~3日入院する場合もあります。
主な症状 | よだれが多い、ぐったりしている、呼吸が荒い、ふらつき、嘔吐・下痢、痙攣など |
治療法 | 濡らしたタオルや氷などで体温を下げる、脱水を補うための点滴治療、ステロイド剤の投与 |
治療費 | 5千~1万円程度(診察、処置代として)※入院の場合は1日につき5千~1万円程度が追加される |
パグは皮膚病全般を引き起こしやすい
たるみや皺が多く、菌が繁殖しやすい皮膚を持つパグは、皮膚病になりやすい犬種として知られています。
マラセチア性皮膚炎、膿皮症、アレルギー性皮膚炎など、パグがかかりやすい皮膚病は複数あり、原因によって症状は異なります。
高温多湿の環境では皮膚病のリスクがさらに高まるため、夏場の室温・湿度管理には十分注意するようにしましょう。
主な症状 | 皮膚の痒み、湿疹、脱毛、フケなど(皮膚病の種類によって異なる) |
治療費 | 5千円~3万円程度(皮膚病の種類、治療法、皮膚の状態によって異なる) |
尿道に石ができる「結石症」
なんらかの原因で尿道に結石ができてしまい、排尿が困難になる病気です。
結石症は、尿毒症や膀胱破裂、腎機能障害などを引き起こすこともあり、完全に閉塞してしまうと命にかかわることもあります。
膀胱内に尿が留まる時間が長かったり、十分な水分を摂取しなかったりすると、尿石症を起こす可能性が高まります。
主な症状 | 血尿、排尿時に痛そうに鳴く、何度もトイレに行く、尿が出ない、食欲不振など |
治療法 | 尿道にカテーテルを挿入し結石を膀胱まで押し戻す、抗生剤の投与、食事療法、外科手術による結石摘出 |
治療費 | 5千~3万円程度(診察、検査、処置、投薬代として)※外科手術を行う場合は10~20万円が相場 |
異変を感じた時はすぐに動物病院に相談しよう
パグをはじめ、短頭種の犬種は呼吸器系の疾患を起こしやすく、夏場は熱中症にも注意する必要があります。
また、皮膚がデリケートで皮膚病を起こしやすい犬種でもあるため、皮膚の状態はこまめにチェックするようにしましょう。
愛犬の様子に異変を感じた場合には、できるだけ早くかかりつけの動物病院で相談するようにしてくださいね。