犬が寝る音楽や落ち着く音楽は?犬の睡眠とリラックス効果について
犬を落ち着かせる方法はいくつかありますが「音楽」もそのうちの1つです。
犬の睡眠は、子犬や老犬であれば18~19時間程度、成犬でも12~15時間程度と、人間よりも長い睡眠時間が必要だと言われています。
落ち着かず、睡眠時間が短くなってしまうと体調不良にも繋がるため、快適な睡眠環境を提供してあげましょう。
ここでは犬の良質な睡眠を確保するために、どんな音楽が良いのか、そして、落ち着く理由や音楽を聞かせる際の注意点を解説します。
目次
犬は音楽で落ち着く
犬に対して、音楽はリラックス効果があると研究で報告されています。
コロラド州立大学の研究で、犬にクラシック音楽を聞かせることで1日の睡眠時間が長くなり、リラックスしている様子がうかがえたという報告があります。
またシドニー大学の研究では、心拍数を減らし、ストレスの指標になる「尿中に含まれる成分が減らす効果」があることや犬に好みの音楽ジャンルがある可能性も報告されました。
一方で、ヘビーメタルなどの激しい音楽を聞かせると、犬が寝ている際の体の揺れが増えて落ち着かない様子が見られたという報告もあります。
これらのことから、犬にとって音楽はリラックス効果があり、睡眠時間も長くできる一方、音楽のジャンルによっては逆効果になる場合があることが分かります。
犬が音楽で落ち着く理由
音楽が犬に及ぼす影響については、詳しいメカニズムは判明していません。
しかし、いくつか考えられている説があります。
音楽が副交感神経を働かせるから
人と同じように、犬にも活動時に働く「交感神経」とリラックス時に働く「副交感神経」があります。
副交感神経が働くと、「α波」という脳波が生じ、眠りに入りやすくなります。
犬にとっても、好みの音楽を聞くことで副交感神経が働き、寝る準備ができるわけですね。
しかし、どんな音楽でも同じような反応が出るわけではなく、反対に交感神経が活発になる可能性もあります。
自然界の音と似ているから
自然界は、ゆったりとした音であふれています。
草や木がゆれる音。風が吹く音。川が流れる音。
犬はこれらの音を野性の本能として記憶していて、それがリラックス効果を生んでいるという考えです。
そのためか、実際に犬たちは比較的ゆったりとしたテンポを好む傾向が多く見られます。
好みの音楽ジャンルは?
研究で主にリラックス効果のある音楽ジャンルとして紹介されているのが、「クラシック」「レゲエ」「自然音」です。
クラシックは自然から着想して作曲されたものが多いです。
そのため、ゆったりとしたテンポが多く、犬にとって落ち着く音楽だと思われます。
同じように、レゲエもゆったりとしたものが多く、自然音と類似していることが、音楽で落ち着く理由として挙げられます。
しかし、犬にとってクラシックやレゲエがリラックス効果があるとされていても、犬種や性格、経験してきたことによって好みの音楽ジャンルが異なることが分かっています。
そのため犬の好みの音楽ジャンルは〇〇と、一概に述べることはできないのです。
犬がリラックスしている証拠
では、愛犬の好みの音楽ジャンルを見つけるのはどうしたら良いでしょうか。
それを知るためには、愛犬がリラックス出来ているかどうかをしっかりと観察する必要があるでしょう。
そこで判断の材料となるのが、愛犬の「寝相」を見ることです。
お腹を上に向けて寝ている
「へそ天」と呼ばれるこの寝相は、完全にリラックスしていると言えるでしょう。
大切な臓器を上にして見せているのは、警戒心を解いている証拠です。
足を投げ出して横向きで寝ている
このような寝相もリラックスしている証拠になります。
もし警戒心がある場合は「うつぶせ」など、いつでも動ける姿勢を取っています。
足を投げ出して寝ている場合、すぐに立てる状態にないため、リラックスしていると言えるでしょう。
他にも、丸まって寝るといった寝相がありますが、これは場合によって異なります。
丸まって寝る目的は、臓器を守り、体温を逃がさないようにするためです。
寒い季節の冬に多く見られ、比較的リラックスしている状態でもみられますが、温かい夏場にもこのような寝相が多いと緊張や不安をかかえていたり、体調不良を起こしていたりなど注意が必要です。
音楽を聴かせるときの注意点
犬は人間に比べ、はるかに高い聴力を持っています。
人間が聞こえる可聴範囲は20〜2万Hzと言われていますが、一方の犬は65〜5万Hz。
人の日常会話は250〜4000Hz程度、ジェット機の飛ぶ音は7000〜1万3000Hzといわれ、数字が小さいほど低く、大きいほど高い音域になります。
つまり犬たちは、私たちよりも広い範囲の音域を聞くことができ、中でも高い音域では人間の倍以上もの高さの音を聞きとることが出来るというわけです。
また、一説では音の強弱も人と比べて10倍以上、音の方向も人が16方向を聞き分けるのに対し、犬は32方向を聞き分けることができるという説があります。
では、このことを踏まえて、音楽を聴かせるときの注意点を見ていきましょう。
音量は小さめにする
犬の聴力は高いため、大きい音はかえってストレスになり、落ち着くことができなくなります。
愛犬が雷や花火の音にびっくりしていた経験はありませんか?
人も同じですが、犬も突然の大きな音には、驚いてしまいます。
飼い主さんにとっては小さめに聞こえるかもしれませんが、犬にとってはちょうどいいこともあるため、注意して音楽を流すようにしてあげましょう。
犬の好みの音楽ジャンルを聞かせる
クラシックや自然音は、リラックス効果があると考えられていますが、犬の性格や経験によってはストレスになることがあります。
例えば自然音に川の流れなどの「水の音」が入っているとき、水が嫌いな犬にとってはストレスになります。
クラシック音楽も、曲によってテンポが早かったり、曲調が変わって突然大きな音が鳴ることがあります。
愛犬に合わせて、音楽を変えるようにしましょう。
犬を観察してストレスになっているものは止める
ストレスになっていないか、リラックスしているかをしっかり観察してあげることが大切です。
犬は話せず、伝えることができないので、行動や仕草から飼い主さんが見極めてあげるしかありません。
先に解説した寝相などで確認し、愛犬がリラックスしているかどうかをこまめにチェックしましょう。
好みの音楽を一緒に探そう
犬が落ち着く音楽は、それぞれの性格や個体、経験してきたことによって異なります。
「他の人が飼っている犬は、クラシックが好きだけど、私の愛犬はレゲエが好き」といったことも多々あります。
もしくは、ベビーメタルのような激しい音楽が、むしろ犬に元気を与えて、リラックスする可能性も否定できません。
好みの音楽ジャンルは一様ではないということです。
愛犬の好みの音楽を一緒に探すことは楽しいものです。
一緒に好きな音楽を楽しむこともできるかもしれません。
犬が落ち着いて睡眠を取れるよう、一緒に好きな音楽を探してみてくださいね。