犬のカーミングシグナルとは?あくび・鼻をなめるなどの代表例

犬のカーミングシグナルとは?あくび・鼻をなめるなどの代表例

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あなたは犬のカーミングシグナルについて、どこまで知っているでしょうか?
犬は私たち人間のように言葉を持たないため、自分の気持ちをボディランゲージで表現します。
犬のボディランゲージやカーミングシグナルについて正しい知識を持ち、愛犬の気持ちを理解しましょう。

犬に生まれつき備わっているカーミングシグナル

犬に生まれつき備わっているカーミングシグナル

犬の「カーミングシグナル」とは、自分と相手を落ち着かせるために出す信号・合図のことです。
犬はボディランゲージで自分の感情を相手に伝えますが、カーミングシグナルもこのボディランゲージの一種。
カーミングシグナルはボディランゲージのうち、ストレスを軽減するために発するもののことをいいます。

カーミングシグナルは犬が生まれつき持っている反応のひとつで、誰に教えられなくても自然に習得しているもの。
不安や緊張・興奮など、犬が何らかの感情を持った時に「体の動き」で表され、犬種や年齢によって違いはありません。
犬のカーミングシグナルは現在30種類ほどに分類されており、研究によってそれぞれの意味が判明しています。

カーミングシグナルが多い=ストレスがかかっている?

カーミングシグナルが多い=ストレスがかかっている?

犬がカーミングシグナルを発している時は、少なからずストレスがかかっていると考えられます。
私たち人間もそうですが、苦手な相手と向き合う時は、犬も視線を外したり、まばたきが多くなったりするのです。
つまり、犬のカーミングシグナルが多いということは、犬がストレスを感じる機会が多いということですね。

カーミングシグナルを見れば「犬がどんなストレスを感じているか」について、ある程度は理解することができます。
また、犬の気持ちを理解するためには、口角、目、しっぽ、耳、鼻など体の各部位の様子も合わせて判断することが大切です。
「しっぽを振っているから喜んでいる」など、体の一部分だけを見て判断してしまうと、犬の本当の気持ちに気付くことができません。

主なカーミングシグナルの種類と意味

主なカーミングシグナルの種類と意味

では、実際にどんなカーミングシグナルがあるのか、頻度が多い順から見ていきましょう。
ここでは、数あるカーミングシグナルのうち、特に頻度が高いものを9種類ほどご紹介します。

1.あくびをする

嫌だなぁ…困ったなぁ、と思っている時、犬はあくびをしてストレスを緩和しようとします。
また、嬉しいことがあって興奮している時も、犬は自分を落ち着かせようとしてあくびをします。
※ただし、犬のあくびにはストレスの他にも、リラックスしている・退屈・眠いなど様々な理由があります。

2.自分の口や鼻をなめる

緊張や不安を緩和し、なんとか自分の気持ちを落ち着かせたい時に見せるシグナルです。
犬にとって口元をなめる行為は、人間でいう「つばを飲み込む」ようなイメージで、緊張と不安の表れ。
いたずらが見つかった時や動物病院の待合室など、犬が緊張する場面でよくみられる行動です。

3.体をブルブルと振る

興奮した気持ちを落ち着かせたり、ストレスを感じたりすると、犬は身震いします。
犬にとって体をブルブル振る行為は人間でいう「頭を掻く」ようなもので、無意識なストレス発散法です。
犬は頭や体を思いっきりブルブルすることで、気持ちをリフレッシュしたい!と思っているのです。

4.顔や目線をそらす

顔や目線をそらすのは、相手に敵意がないことを伝える合図です。
「自分は怪しいものではないので、よろしくお願いします」と初対面の相手に表現しているのですね。
犬の世界では「面と向かって目線を合わせる=威嚇・攻撃」を意味するため、そっぽを向くのが礼儀なのです。

5.地面のにおいを嗅ぐ

地面のにおいを嗅ぐことで、犬は自分の気持ちを落ち着かせることができます。
初めての場所や慣れない環境で犬が地面のにおいばかり嗅いでいる場合は、犬が緊張している証拠です。

6.小首をかしげる

主に人間に対して行うカーミングシグナルで、「何を言っているのかわからない…」という時に発します。
犬は何かよくわからない指示をされた時、小首をかしげて耳の角度を変えることで、音の内容を正確に知ろうとします。
上目遣いのように見える可愛いしぐさではありますが、あまり過剰にさせるとストレスがたまってしまいます。

7.立ったり、座ったりする

私たち人間もそうですが、犬も不安な時は落ち着きがなくなります。
犬は本能で「お尻を地面に付けることで興奮を抑えられる」ことを知っているため、こうした行動を繰り返すのです。
この行動は、興奮しすぎてケンカにならないよう、遊びの最中にもみられることがあります。

8.前足を宙に浮かす

そわそわする気持ちを表現するカーミングシグナルです。
人間でいうと、大きな発表の前に胸に手を当てて深呼吸するようなものだと考えると分かりやすいですね。

9.間に割り込む

人と人の間や、人と犬の間など、誰かの間に割り込むことで、犬は相手の行動をけん制します。
イメージ的には「まぁまぁ、落ち着いて」というような争い防止が目的で、犬もややストレスを感じています。

しつけ中にカーミングシグナルが見られたら

しつけ中にカーミングシグナルが見られたら

しつけ中にカーミングシグナルがみられた場合は、犬が困惑しているメッセージです。
しつけ自体に不快感がある可能性もありますし、飼い主さんの言っていることが理解できずにストレスを感じているのかもしれません。
カーミングシグナルを発している犬に無理やりしつけをしようとしても、手間と時間がかかるばかりでしょう。

しつけ中、犬が頻繁にカーミングシグナルを発しているなら、いったん休憩をはさむなど気持ちのリフレッシュをさせましょう。
犬の自信を取り戻させるために、できるしつけを再度復習させるのも効果的です。

カーミングシグナルについての正しい知識を持って、愛犬との生活をより良いものにしてくださいね。

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