犬の血液型は何種類?診断方法と輸血、供血犬について

犬の血液型は何種類?診断方法と輸血、供血犬について

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突然ですが、あなたは愛犬の血液型を知っていますか?

私たち人間と同じく、犬にも血液型という概念が存在します。
普段は気にする機会がない犬の血液型ですが、万が一に備えて知識を持っておくことは非常に大切です。
今回は、犬の血液型の数や種類、性格との関連性や輸血に関する知識について解説します。

犬の血液型は8種類以上ある

犬の血液型は8種類以上ある

犬の血液型は、DEA式という方法で分類されています。
DEAとは「Dog Erythrocyte Antigen」の略で、犬赤血球抗原という意味があります。
数は8種類あり、それぞれ陽性(+)・陰性(-)に細分化されるため、人間よりもかなり複雑な分類になります。
犬は血液中に複数の抗原を持つことができ、異なる種類の型が混じっていることも珍しくありません。

なお、8種類というのはあくまでDEAの数です。
そのため、組み合わせとして考えた場合、実際の犬の血液型は13種類以上あります。

犬では血液型と性格に関連性がない

犬では血液型と性格に関連性がない

現在の研究では、犬の血液型と性格の関連性はないといわれています。
犬の性格には、飼育環境や社会化期の過ごし方、犬種、しつけの影響が大きく関わっています。
そもそも犬の血液型は13種類以上もあるため、性格と関連性があると考えると、とても複雑な性格診断が必要ですよね。
人間の場合、血液型で性格が分かれるといわれることもありますが、犬の場合はまったく関係ありません。

犬の血液型を知っておくメリット

犬の血液型を知っておくメリット

犬の血液型を知っておくメリットは、輸血時に迅速な処置が受けられるということです。
怪我や病気で大量の輸血が必要になった時、DEA1.1と呼ばれる抗原が(+)か(-)か確かめる必要があります。
この抗原は輸血時の急性溶血反応という副反応に関連しており、合わない血液型を輸血すると命に関わることも。
あらかじめ愛犬の血液型を知っておけば、適合検査にかかる時間5~30分を短縮することができます。

ちなみに、初めての輸血では血液型が完全に一致していなくても大丈夫です。
というのも初回は体内に抗体が作られていないため、別の血液型の血でも拒絶反応が出ないのです。
ただし、2回目以降は必ず適合する血液を輸血する必要があるので、覚えておいてくださいね。

犬の血液型は血液型判定キットや交差適合試験で調べる

犬の血液型は血液型判定キットや交差適合試験で調べる

犬の血液型を調べる時は、犬血液型判定キットや交差適合試験を行います。
犬血液型判定キットは国際的に認められており、一般の方でも入手することは可能です。
ただし、ドナーと患者の血液が適合するか、正確に調べたい場合には、交差適合試験を行う必要があります。
交差適合試験(クロスマッチ)は動物病院で行う検査で、ドナーと患者の血液を混ぜて判定します。

なお、交差適合試験には「肉眼で実際の血液反応を確認できる」という利点があります。
犬血液型判定キットはあくまで犬の血液型を判定するものであり、実際の適合性を調べることはできません。
ただ、そのぶん検査にかかる時間が短いため、緊急性が高い場面では使用されるケースもあります。

大量の輸血時に活躍する供血犬(ドナー犬)

大量の輸血時に活躍する供血犬(ドナー犬)

供血犬という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
大量の輸血が必要になった時、輸血用の血液を提供してくれるのが供血犬です。
基本的には、飼い主さんの好意(ボランティア)でドナー登録を行ってもらい、緊急時に採血を行います。
動物病院によっては、動物病院内やスタッフの自宅で供血犬を飼育していることもあります。

人間と違い、犬では輸血用の血液が販売されていません
そのため、安定した供給が難しく、いざという時に十分な血液を確保できないことも多いのです。

ドナー登録犬は健康診断やワクチン代が無料になることも

ドナー登録犬は健康診断やワクチン代が無料になることも

ちなみに、動物病院によっては、ドナー登録の特典を設けているところもあります。
必ずではありませんが、年1回の健康診断費用や混合ワクチン代が無料になるケースもあります。
ドナー犬は健康状態が良い必要があるため、こうした取り組みを行っている動物病院も多いのですね。

なお、ドナー登録できる犬の条件は各動物病院が決めており、年齢や飼育環境、出産経験の有無などが問われます。
基本的に7歳くらいまでの中型犬・大型犬で、室内飼い&出産経験がなければ、登録できるケースが多いです。
もし興味がある方は、かかりつけの動物病院に話を聞いてみてはいかがでしょうか?

※献血依頼の連絡は、夜中や早朝でもかかってくる可能性があります。
大量の血液が必要になるケースは滅多にありませんが、もちろん絶対にないとはいいきれません。

犬の血液型や輸血について知っておこう

犬の血液型や輸血について知っておこう

犬の血液型は人間の倍以上あり、とても複雑です。
そのため、あらかじめ愛犬の血液型を知っておくことで、万が一の時に迅速な処置を受けることができるでしょう。

最近は犬血液型判定キットを備えた動物病院も多いため、健康診断の一環で血液型を調べてみるのもおすすめです。
ぜひこの機会に、愛犬に関する知識を積み重ねておき、いざという時のために備えておいてくださいね。