ワイマラナーってどんな犬?歴史・性格・飼い方について

ワイマラナー

お散歩目安 1日60分×2回
ブラッシング頻度 週に1回
トリミング 不要
Weimaraner

ワイマラナーってどんな犬?歴史・性格・飼い方について

ワイマラナーの基本情報

英名 Weimaraner
愛称・別名 グレーゴースト
原産国 ドイツ
寿命 10歳〜12歳
サイズ 大型犬
体重 オス:約30kg〜40kg
メス:約25kg〜35kg
体高 オス:59cm〜70cm
メス:57cm〜65cm
分類 7G:ポインター・セター

※当サイトの犬種データのサイズは、犬種標準としてJKC(ジャパンケネルクラブ)が明確に定めている場合はそちらを元に、その他の場合は「目安」としてKC(イギリス)やAKC(アメリカ)などの情報を参考に算出し、掲載しております。
犬種標準は「犬種の理想像を作りあげて記述したもので、ドッグショーの出陳並びに計画繁殖する犬の参考にするもの」とされており、個体差の大きい犬種では本データのサイズから外れるケースも多くあります。
しかし、犬種標準から外れていても、その犬種の一般家庭におけるパートナーとして問題があるわけではありません。サイズに関しましてはあくまでも目安として、飼育を検討する際のご参考になれば幸いです。

ワイマラナーの歴史

ワイマラナーの歴史

「グレーゴースト(灰色の影)」の異名を持ち、灰色の被毛が特徴的なワイマラナーは、ドイツを原産とする大型狩猟犬の一種です。
その猟犬種としての能力は非常に高く、過去には「幻の猟犬」といわれていました。

ワイマラナーの誕生の歴史には諸説ありますが、有力なものとしては19世紀初頭にザクセン=ヴァイマル=アイゼナハ大公カール・アウグストにより作出されたという説です。
この時代にはすでに多くの優秀な猟犬種が活躍していましたが、ワイマラナーにはこの猟犬種たちとは一線を画す、優雅さや華麗さ、人目を惹く存在という理想が求められました。
詳しい血統に関する資料は公開されていないものの、ワイマラナーにはこれらの目的によりブラッドハウンドやジャーマン・ポインターの血統が取り入れられていると推測されています。

作出当初、貴族の狩猟に同行しイノシシやクマ、シカなどの大型獣を対象とした狩猟犬として活躍していたワイマラナーですが、時代の変化とともに次第にウサギなどの小動物も狩猟の対象になっていきます。
この流れにより、ポインターやセッターとの交配がさらに進められたワイマラナーは、より万能な猟犬としての基盤を作っていきました。
こうして培われた高い狩猟能力に加え、森林などの狩猟場では保護色となる灰色の被毛を持つワイマラナーは、獲物に気付かれず高い精度を誇る狩りを実現し「グレーゴースト(灰色の影)」の異名を持つようになります。

1897年、ドイツの都市エアフルトで「ワイマラナー・クラブ」が結成されると、ワイマラナーの所有、管理、繁殖はすべてクラブの厳密な管理下に置かれます。
その後約40年もの間、ワイマラナーの飼育はドイツの一部に限定され、クラブの会員以外には犬種の情報すらほとんど開示されず、ワイマラナーは「幻の猟犬」として、その存在を確固たるものにしていきました。

1930年代後半、ワイマラナーが初めてアメリカへと渡ると、1941年には「アメリカン・ワイマラナー・クラブ」が設立され、その2年後にはアメリカ・ケンネルクラブで正式に犬種が登録されます。
しかし、アメリカへと渡った後もワイマラナーはドイツから輸入されていたこともあり、その飼育管理は依然厳しく、ドイツ同様ごく一部のクラブ会員にしか認められませんでした。
世界に数ある犬種の中で、これ程までに厳密に飼育管理が行われてきた犬種は他に類を見ないといわれる程に、この犬種がたどった歴史は非常に稀有なものです。

日本では2000年代に入った頃、テレビCMにワイマラナーが登場したことで一躍話題を集めます。
それまでペットとして全く知名度がなかったことから、珍しい毛色、スマートな体型、澄んだ瞳の色は高級車のイメージモデルとして最適な存在でした。
このCMをきっかけに国内でも飼育頭数が微増しましたが、かなりの運動量が必要なこともあり、日本では現在でも一部の愛好家による飼育にとどまっています。

ワイマラナーの特徴や性格

ワイマラナーの特徴や性格

ワイマラナーは非常に知能が高く、飼い主にも従順な性質を持っています。
元々が有能な猟犬種であり、ハンターでもあったことから主従関係を十分に理解し受け入れることが可能です。
大型犬ゆえに子犬の時期はいたずらややんちゃな性格で手を焼くこともありますが、次第に落ち着きを見せ、日々の生活では無駄な動きがない大変スマートな成犬へと成長するでしょう。
ただし、少し繊細な一面を持っているため、他の犬や小さな子供との生活を苦手とする個体も多く、同居の際には相性を十分に見極める必要があります。

ワイマラナーの飼い方

ワイマラナーの飼い方

ワイマラナーは猟犬種のエキスパートという特性から大変運動量が豊富で活発な犬種です。
日々十分な運動をする機会を与え、筋力の維持とストレス発散が出来る環境を提供してあげることが必要不可欠です。
ワイマラナーのスリムな体型は短距離走や瞬発力を必要とする運動に適しています。
ボール投げやフリスビーなどのドッグスポーツを習得させると効率的に運動量が消費出来るでしょう。

ワイマラナーの被毛は短く、非常にスリムな体型は皮下脂肪が少ないため、日本の寒冷地での生活や屋外飼育、室内と室外の気温差などにはとても敏感です。
そのため飼育環境に応じた保温を心がけ、体力の温存をしてあげるようにすることが大切です。

また皮膚はとてもデリケートで、寒い時期による乾燥や皮膚トラブル、食物によるアレルギーなどにも注意が必要です。
ワイマラナーの食事は特に、そのデリケートな皮膚への負担を軽減するためにも良質で安全性の高いものを選び与えるようにしましょう。

日々のお手入れはラバーブラシで全身をこするようなブラッシングと爪切り、耳掃除などが基本です。
大きく垂れた耳は通気性が悪く、外耳炎が慢性化しやすいため、週に数回の耳掃除を習慣化するようにします。
爪は常に短めに切り揃え、皮膚や外耳を自傷してしまうことのないように、また不意に人間に飛びついてしまった際に怪我を負わせてしまうことのないように注意しましょう。

ワイマラナーの毛色

ワイマラナーの毛色

ワイマラナーの被毛はグレーをはじめ、シルバー、ノラジカ、地色に白班などの毛色が認定されています。
日本ではテレビCMの影響もあり、グレーが最も人気があります。
基本的にワイマラナーはスムース状の短毛種ですが、ごく稀に長毛の個体が誕生するケースもあります。
長毛のワイマラナーも同じ毛色が認定されていますが、その希少性から売買はとても高額になりがちです。

ワイマラナーの気をつけたい病気や怪我は?

ワイマラナーの気をつけたい病気や怪我は?

ワイマラナーは犬種が固定化される過程で、非常に厳密に繁殖、血統を管理されてきた犬種です。
そのため先天性の疾患も少なく、犬種特有の持病もみられません
しかし、大型犬全般に多くみられる「股関節形成不全」は先天的に患うこともあり、子犬のうちから定期的な経過観察は欠かせません。
股関節形成不全の症状は手術という処置が難しく、対策方法は自身の筋力で足腰を支えるということが最適であると考えられています。
そのため日々の十分な運動は必ず習慣化するよう心がけておきましょう。

また、首が長くスリムな体型を持つ犬種は食後の胃捻転・腸捻転の発症率が高いため、ワイマラナーも類にもれず食後の最低30分程は運動や興奮を避け、安静に過ごさせるようにすることが大切です。

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