イングリッシュセッター
お散歩目安 | 1日60分×2回 |
ブラッシング頻度 | 2〜3日に1回 |
トリミング | 不要 |
イングリッシュセッターってどんな犬?歴史・性格・飼い方について
イングリッシュセッターの基本情報
英名 | English Setter |
愛称・別名 | セッター |
原産国 | イギリス(イングランド) |
寿命 | 12歳〜13歳 |
サイズ | 大型犬 |
体重 | 25kg〜36kg |
体高 | オス:65cm~68cm メス:61cm~65cm |
分類 | 7G:ポインター・セター |
※当サイトの犬種データのサイズは、犬種標準としてJKC(ジャパンケネルクラブ)が明確に定めている場合はそちらを元に、その他の場合は「目安」としてKC(イギリス)やAKC(アメリカ)などの情報を参考に算出し、掲載しております。
犬種標準は「犬種の理想像を作りあげて記述したもので、ドッグショーの出陳並びに計画繁殖する犬の参考にするもの」とされており、個体差の大きい犬種では本データのサイズから外れるケースも多くあります。
しかし、犬種標準から外れていても、その犬種の一般家庭におけるパートナーとして問題があるわけではありません。サイズに関しましてはあくまでも目安として、飼育を検討する際のご参考になれば幸いです。
目次
イングリッシュセッターの歴史
イングリッシュ・セッターの名称にある「セッター」は「セター」とも呼ばれ、その語源は「伏せ」を意味する「セット、セッティング」からきています。
日本ではセッター種の犬種だとアイリッシュ・セッター(レッド・セッター)の方が有名ですが、通常海外で単に「セッター」と呼ぶ場合、このイングリッシュ・セッターを指すことが一般的です。
イギリスでは14世紀頃からその繁殖が確認されており、スペインから渡ってきたスパニエル犬種を祖先犬とするイングリッシュ・セッターは、その高い狩猟能力を受け継ぎハンター御用達の狩猟犬として活躍してきた歴史を持ちます。
この頃はまだイングリッシュ・セッターの名称ではなく、狩猟の際に主人であるハンターが獲物を見つけやすいように、鳥などの獲物を確認するとその場で「セッティング(伏せ)」をするよう訓練されていたことから「セッティング・スパニエル」と呼ばれていました。
15世紀に入ると狩猟に特化した犬たちの需要は高まり、セッティング・スパニエルも流行するようになります。
さらに高い狩猟能力を求められるようになると、セッティング・スパニエルたちは「ポインター」や「ウォーター・スパニエル」、「スプリンガー・スパニエル」などの犬種と交配されるようになり、徐々に現在のイングリッシュ・セッターの形になっていきました。
イングリッシュ・セッターが現在の名称で呼ばれるようになるのは、19世紀に入ってからのことです。
イギリスの「エドワード・ラヴェラック氏」が熱心な繁殖を重ね作出したセッターは、後に「ラヴェラック・セッター」と呼ばれるようになりますが、現在のイングリッシュ・セッターとほぼ同様の美しい見た目を持っていました。
白地の被毛に細かい班模様があしらわれた通称「ベルトン」と呼ばれる模様はこの時ラヴェラック氏が名付けたものです。
この「ラヴェラック・セッター」を基礎犬とし、より狩猟能力を高めた「ルーウェリン・セッター」という犬種が登場すると、ラヴェラックとルーウェリンは人気を二分するほどの人気セッター種となり、この二種が統合される形で「イングリッシュ・セッター」が誕生しました。
19世紀半ばになり、狩猟よりもドッグショーに出場する犬種の人気が高くなると、美しい見た目を持つイングリッシュ・セッターも人気犬種の筆頭へとなっていきました。
イギリスからアメリカへと渡った後もその美しい見た目と運動能力は高い評価を受け、現在でも上位に入るほどの人気犬種となっています。
日本へは明治時代以降に輸入されましたが、高い狩猟能力を持つことから国内でも猟犬として重宝されました。
現在でも多くのイングリッシュ・セッターが猟師のパートナーとして狩猟の場で活躍しています。
イングリッシュセッターの特徴や性格
イングリッシュ・セッターは主に「フィールドタイプ」と「ショータイプ」に分けられます。
前者は狩猟や競技用の犬として飼育され、後者はペット向きの犬として扱われています。
フィールドタイプは「ルーウェリン・セッター」が元となっており、体毛が短く、高い運動能力を活かせる容姿が特徴的です。
対してショータイプのイングリッシュ・セッターは、「ラヴェラック・セッター」が元で、本来狩猟犬とは思えないほどの落ち着きと気品に満ち溢れた佇まいが魅力となっています。
どちらも賢く、非常に冷静で人の言うことをしっかりと聞いてくれる性質を持ち、人懐こい性格も相まって全世界でペットやパートナーとして親しまれています。
ボール遊びなど狩猟感覚を楽しむゲームや遊びが大好きな子が多く、公園などでははしゃぎ回る姿がよく見られます。
運動量も豊富で、非常にアクティブな犬種です。
イングリッシュセッターの飼い方
イングリッシュ・セッターは体高が60cmを超え、さらに体重も重い個体なら30kgを超える大型犬です。
そのため多くの運動消費量を必要とし、毎日の散歩や運動は欠かせません。
散歩は1日に朝晩2回しっかりと行う必要があり、1回あたりも1時間以上は歩かせてあげるようにしましょう。
週末や休日などにはドッグランを活用したり、広い敷地で思いっきり走らせてあげることも大切で、飼育の際はその分の時間を最低限確保する必要があります。
また長い被毛が特徴的なショータイプのイングリッシュ・セッターに関しては、ブラッシングも2、3日に一度のペースで行うようにします。
そこまで多く抜け毛がある犬種ではありませんが、耳周りのブラッシングを怠ってしまうと、外耳炎など耳の病気に繋がる場合もあり注意が必要です。
賢い犬種のため、しつけ自体はそこまで難しくなく、本来狩猟犬として人の言葉を理解する能力に長けているので初心者でも比較的扱いやすい犬種です。
そのため、運動量確保のための時間さえしっかりと取れる人であれば飼育上でそこまでの問題はないでしょう。
イングリッシュセッターの毛色
イングリッシュ・セッターの被毛はダブルコートになっていて、ウェーブがかった長毛で覆われています。
毛色は主にブラック&ホワイト、オレンジ&ホワイト、レモン&ホワイトが多く、ほかにもレバー&ホワイトやトライカラーなどの個体が存在します。
ホワイトをベースにした「ベルトンカラー」が特に人気があり、ベルトンカラーを持つ個体は班色によって「ブラックベルトン」や「レモンベルトン」などと呼ばれます。
イングリッシュセッターの気をつけたい病気や怪我は?
イングリッシュ・セッターは、遺伝的に先天性の聴覚障害を持つ可能性が非常に高いことでも有名な犬種です。
その背景には狩猟犬として活躍してきた歴史があり、猟銃の音に動じない性質が求められてきたことから、耳の聞こえが悪いことに気付かれず、その系譜が受け継がれてきてしまったことが原因と考えられています。
しかし、洞察力が優れた賢い犬種のため、例え難聴があった場合でも日常生活ではそこまで不自由のない暮らしが出来るでしょう。
また、アレルギー性皮膚疾患のリスクも抱えており、ショータイプの個体は特に被毛が長いため管理が必要となります。
その他には大型犬に多く見られる股関節形成不全や肘関節形成不全、胃捻転や胃鼓腸症も比較的かかりやすい傾向にあるため、注意をしておく必要があるでしょう。