キースホンドってどんな犬?歴史・性格・飼い方について

キースホンド

お散歩目安 1日30分×2回
ブラッシング頻度 毎日
トリミング 不要
Keeshond

キースホンドってどんな犬?歴史・性格・飼い方について

キースホンドの基本情報

英名 Keeshond
愛称・別名 ウルフスピッツ
原産国 オランダ
寿命 13歳〜15歳
サイズ 中型犬
体重 16kg〜20kg
体高 43cm〜55cm
分類 5G:原始的な犬・スピッツ

※当サイトの犬種データのサイズは、犬種標準としてJKC(ジャパンケネルクラブ)が明確に定めている場合はそちらを元に、その他の場合は「目安」としてKC(イギリス)やAKC(アメリカ)などの情報を参考に算出し、掲載しております。
犬種標準は「犬種の理想像を作りあげて記述したもので、ドッグショーの出陳並びに計画繁殖する犬の参考にするもの」とされており、個体差の大きい犬種では本データのサイズから外れるケースも多くあります。
しかし、犬種標準から外れていても、その犬種の一般家庭におけるパートナーとして問題があるわけではありません。サイズに関しましてはあくまでも目安として、飼育を検討する際のご参考になれば幸いです。

キースホンドの歴史

キースホンドの歴史

キースホンドはオランダを原産とする中型犬で、スピッツ系統の尖った顔立ちとオオカミのような毛色の被毛を持っているのが特徴的な犬種です。
起源の詳細ははっきりと分かっていませんが、サモエドやポメラニアン、チャウチャウなどとの血縁関係が考えられており、原産国オランダでは運河に停泊した船を守る「艀犬(はしけ犬)」と呼ばれる番犬として、古くからその役割を担ってきました。
警戒心の強い性格と高い知能を合わせ持ち、よく通る甲高い声はまさに番犬としてうってつけの存在で、キースホンドはオランダでは最も馴染み深く、よく知られた犬種です。

犬種名称の由来は諸説あり、オランダ語で「噛む」を意味する「ケーゼン」からきている説や、18世紀のフランス革命時代にオランダ国内での台頭を狙っていた愛国党党首「キース・ド・ギズラー」が、飼っていたこの犬を党のシンボルとして掲げたことがはじまりとなっている説などがありますが、真偽は定かではありません。
ただ、いずれにせよキースホンドは当時愛国党のシンボルであったため、オランダにおける「王室派」と「愛国党」による紛争に巻き込まれてしまい、愛国党が失脚したのと同時に一時はその飼育頭数を激減させ、絶滅の危機にまで瀕してしまいます。

その後100年以上もの間、一部の船乗りや農民たちの間でのみ細々と飼育されていたキースホンドですが、「バン・ハルデンブルック夫人」という人物の功績により再生への道を歩み出すこととなります。
1920年、バン・ハルデンブルック夫人は国内に残ったキースホンドの調査を開始し、正しい系統のキースホンドを多数発見しました。
このキースホンドたちを軸に夫人はその後10年以上もの時をかけ個体数増加へ尽力します。
その後イギリスやアメリカへと渡ったキースホンドは、この努力の末1926年にイギリス・ケンネルクラブにてその名を与えられ、犬種登録が行われました。

イギリスやアメリカではその風貌から「ウルフ・スピッツ」とも呼ばれるキースホンドは、日本でも1990年代のペットブームにより子孫犬とされる「ポメラニアン」が注目を集めると、よく似た外見を持つキースホンドも飼育頭数が増加しました。
しかし日本の住宅事情や高温多湿な環境での生活にはなかなか馴染みにくいことから、爆発的な人気には至らず、現在では一部の愛好家の間で安定した人気を維持するに止まっています。

キースホンドの特徴や性格

キースホンドの特徴や性格

キースホンドの知能は大変高く、判断能力にも長けています
元々、人や荷物の出入りが激しい運河での仕事を担っていた歴史もこのような気質を持ち合わせていたからこそ出来たのでしょう。
ペットとして生活をする中では、飼い主に対し大変友好的で従順な性格をしており、しつけに対しての理解度も高いため、一緒に暮らしていて生活がしやすい犬種です。
ただ一方で、他人や他犬には社交的とは言えず、一定の距離を保ちたいと考える節が多々見られます。
日々の生活では一部の愛玩犬に代表される「洋犬特有の無条件な社交性」を持ち合わせた犬種ではないことを十分に理解して接してあげましょう。

また、キースホンドは喜怒哀楽の感情が分かりづらいともいわれる犬種です。
明確に表立って感情表現はしないタイプなので、おとなしく立ち尽くしているからといってもその状況をすべて快く受け入れているわけではありません。
もし、レジャーやイベントなど犬同伴OKの施設などへ連れ出したりする場合は、周囲の状況に注意し連れて行ってあげましょう。

キースホンドの飼い方

キースホンドの飼い方

キースホンドは室内飼育だけでなく、屋外飼育の併用も可能です。
ただし非常に豊富な毛量は寒さに対しては強いものの、暑さには大変弱く、夏場の温度管理には徹底した注意が必要です。

本来、北欧の海辺で暮らしてきた歴史を持つ犬種のため、被毛は2層の「ダブルコート」になっています。
下層部の被毛はフェルト状になっており、寒い空気が皮膚に届かないよう体を守る役割を果たします。
そのため一年中「ダウンコート」を着用し生活しているような状態ですので、当然のことながら高温多湿な日本の夏の生活は快適ではありません
春や秋の換毛期には相当な量の抜け毛が発生しますので、この時期は特にブラッシングやシャンプーをこまめに行い、抜け毛対策を徹底してあげましょう。

元々は屋外で暮らしてきた番犬のため、運動量も十分な消費が日々必要になってきます。
毎日の散歩は1回30分以上、1日2回は行ってあげるようにし、飼い主の歩幅に合わせた散歩だけではなく、ドッグランなどにも積極的に足を運び全力運動ができる機会を作ってあげるようにしましょう。
警戒心が強い性質を持っているため、子犬の頃から社会化トレーニングを心がけ、他犬や他人と触れ合わせ交流する術を学ばせておくことも重要です。

また、被毛が多く、体型を管理しにくい面がありますが、定期的に体重を測定し、肥満予防に努めることも大切です。

キースホンドの毛色

キースホンドの毛色

キースホンドの被毛はオオカミによく似た毛色一色のみです。
全身は毛先が黒いシルバーグレーで覆われ、マスクや耳、目の周りは「ダーク」と呼ばれる黒色で覆われています。
尻尾の先端は黒く、腹部や大腿部、尻尾の下部は薄いシルバーグレーになっています。
スピッツやポメラニアンに大変よく似た顔立ちをしていますが、白色が生まれることはなく、この「ウルフカラー」のみとなっているのもキースホンドの特徴の一つです。

キースホンドの気をつけたい病気や怪我は?

キースホンドの気をつけたい病気や怪我は?

キースホンドは犬種の傾向として先天性心臓疾患を患うケースが多々あります。
症状によっては子犬の時期から運動中の息切れや不調がみられることもありますが、本来は運動量が多く活発な犬種のため、異変を感じた場合は早急に動物病院で受診するようにしましょう。

また、豊富な被毛は皮膚に起きている様々な症状を隠してしまうことがあります。
「食物性アレルギー」「脂漏症」「雑菌の繁殖による皮膚炎」「ノミ・ダニの寄生」などはこまめにブラッシングを行い、皮膚の状態を確認し早期発見、早期対処を心がけておきましょう。

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