クーバースってどんな犬?歴史・性格・飼い方について

クーバース

お散歩目安 1日60分×2回
ブラッシング頻度 2〜3日に1回
トリミング 不要
Kuvasz

クーバースってどんな犬?歴史・性格・飼い方について

クーバースの基本情報

英名 Kuvasz
原産国 ハンガリー
寿命 10歳~12歳
サイズ 大型犬
体重 オス:48kg~62kg
メス:37kg~50kg
体高 オス:71cm~76cm
メス:66cm~70cm
分類 1G:牧羊犬・牧畜犬

※当サイトの犬種データのサイズは、犬種標準としてJKC(ジャパンケネルクラブ)が明確に定めている場合はそちらを元に、その他の場合は「目安」としてKC(イギリス)やAKC(アメリカ)などの情報を参考に算出し、掲載しております。
犬種標準は「犬種の理想像を作りあげて記述したもので、ドッグショーの出陳並びに計画繁殖する犬の参考にするもの」とされており、個体差の大きい犬種では本データのサイズから外れるケースも多くあります。
しかし、犬種標準から外れていても、その犬種の一般家庭におけるパートナーとして問題があるわけではありません。サイズに関しましてはあくまでも目安として、飼育を検討する際のご参考になれば幸いです。

クーバースの歴史

クーバースの歴史

チベタン・マスティフ系の大型犬種を祖先犬とし、長い歴史を持つクーバース。
その歴史は9世紀頃、トルコの遊牧民の手によって当時「マジャール人」が支配していたハンガリーのカルバチア盆地に輸入されたことから始まりました。

V字型の垂れ耳や、ウェーブがかった白い被毛などの特徴から、同じハンガリー原産で長い歴史を持つ「コモンドール」との血縁関係も推察されていますが、その真偽は定かではありません。
とはいえ、1978年には現在のクーバースに非常によく似た犬の骨が発見されており、そこから推察するとこのクーバースもまた、1000年以上もの長い歴史を持つ犬種だと考えられています。

13世紀以降になると、クーバースは貴族の使役犬としての立場を確立させていきます。
当時、クーバースは「誰でも飼育できる犬」ではなく、王室が認めた者のみが飼育できる特別な犬として扱われてきました。
飼育許可を得た広い領地を持つ貴族たちは、そこでクーバースを飼育し、熊やイノシシなどの狩猟に用い、その能力を競い合わせていました。
クーバースの名称は、トルコ語で「武装して貴族を警護する」という意味をもつ「Kawasz」から来ているという説が有力で、このクーバースの歴史が名称の由来だと考えられます。

その後15世紀後半になると、当時のハンガリーの王「マーチャーシュ1世」により王室で多くのクーバースが飼育されるようになります。
当時のハンガリーでは、王の地位を狙う貴族が増えており、王は自らの警護のため、類稀なる防衛本能を持つ数多くのクーバースを飼育するようになったのです。

その後、王族や貴族のみにしか飼育ができなかった時代が終わりを告げると、徐々にクーバースは農民の間で牧畜犬としての需要が高まります。
しかし、縄張り意識が非常に強く、また警戒心が高いクーバースは、飼い主にはとても忠実なものの、他者には決して懐かず、当時は市街地へ連れ歩く際、口輪を使用することが義務付けられていました。

時代の流れとともに牧畜業が近代化するにつれ、クーバースは後に家庭犬へと移行していきます。
その際、その特徴的であった番犬・護衛犬故の強い気質の改善が計られ、体格もまた本来のサイズから少し小型化していきました。

第二次世界大戦時には多くの犬種が絶滅の危機に陥りましたが、クーバースも例外なく危機に見舞われた一種です。
戦後にはその数はわずか30頭ほどにまで減少してしまっていましたが、愛好家たちの懸命な努力により、犬種の保全・復興が行われ、現在では原産地ハンガリーを中心に、世界的に飼育が行われています。
日本ではあまり馴染みのない犬種で、ジャパンケンネルクラブの犬種別犬籍登録頭数によると2005年、2006年に1頭のみ登録されていますが、その後2021年現在まで新たな登録はなく、非常にレアな犬種といえるでしょう。

クーバースの特徴や性格

クーバースの特徴や性格

クーバースは非常に大きな骨格をしていますが、顔立ちが可愛らしく、どことなくグレートピレニーズやレトリバー系の犬種に似ています。

かつては、人間や家の財産、その他の貴重品を護る「ガードドッグ(番犬)」として活躍していただけでなく、熊やイノシシなどの大型獣を相手にした狩りにも参加する「猟犬」として使役していたため、がっしりとした体格と厳しい気候でも耐えられるほど丈夫な身体、体力を兼ね備えています

性格は飼い主に忠実で、警戒心が強く、過去の歴史では口輪の装着を義務付けられるほど攻撃的な一面を持っていました。
現在では家庭犬として飼育できるよう性格の改善が行われていますが、当時ほどではないにせよ警戒心の強い一面は未だ健在で、時折攻撃的になるため注意が必要です。

とはいえ、主人に対してはとても忠実かつ愛情深く、頼りになる存在です。
飼育の際には幼少期にプロのドッグトレーナーを迎えた完璧なしつけが必要となりますが、しつけさえしっかりと行えれば最高のパートナーと言えるでしょう。

クーバースの飼い方

クーバースの飼い方

クーバースは、1年を通して乾燥している地域であるハンガリーを原産とする犬種です。
そのため日本のように高温多湿の気候にはあまり適していません
日本国内で飼育する場合は、大型犬ではありますが、外での飼育は行わず、温度・湿度管理がしっかりと行われた室内で飼うようにしましょう。

クーバースはとても体力のある犬種のため、多くの運動量を必要とします。
お散歩は毎日欠かさず、1日に2回、1時間ずつ程度の散歩を行いましょう。
日々の運動量が足りていないと、ストレスが溜まり問題行動につながる可能性があります。
しかし、一方で関節疾患にかかりやすい傾向にあるので、全力で走ることや、階段の上り下りを頻繁に行うなどは極力避けるよう注意が必要です。

また、クーバースは基本的に知らない人間には懐かず、気を許すことはありません
攻撃的になりやすく他者に吠えやすい傾向があるため、幼少期から色々な環境に触れさせ、警戒心を必要以上に持たせないように育てていきましょう。
無駄吠えを完全になくすことは難しいですが、子犬の頃からの徹底的なしつけにより、飼い主さんがコントロールできるようにしておく必要があります。
しつけには出来るだけプロのドッグトレーナーを迎え、近くに人がいる場合には常に警戒心を持って目を離さないように注意しておきましょう。

クーバースの毛色

クーバースの毛色

クーバースの毛色は「ホワイト」と「クリーム」の2色です。
被毛は特徴的なウェーブがかったオーバーコートとアンダーコートの2層になっており、いわゆる「ダブルコート」の犬種です。

そのため抜け毛も比較的多く、ブラッシングは週に1~2回程度、換毛期には出来るだけ毎日行う必要があります。

クーバースの気をつけたい病気や怪我は?

クーバースの気をつけたい病気や怪我は?

クーバースがかかりやすい病気は、大型犬に多い「股関節形成不全」をはじめ、「離断性軟骨骨症」「胃捻転・胃拡張」などが挙げられます。

また、暑さに弱い犬種のため「熱中症」にもかかるリスクが高く、注意が必要です。
夏場のお散歩は早朝と夕方の涼しい時間帯に行ったり、涼しい場所での飼育を行うなどの工夫が必要です。

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