盲導犬の仕事ってどんなの?訓練や一日の過ごし方、引退後の生活について

盲導犬の仕事ってどんなの?訓練や一日の過ごし方、引退後の生活について

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盲導犬とは、視覚障害者の手助けをする犬のことです。
2021年のデータでは、全国で861頭の盲導犬が登録されており、一般の生活でもテレビCMや盲導犬を題材にした映画などで見る機会が増え、盲導犬の存在を知る人は多くなってきました。
しかし、その存在は知っているものの、実際に盲導犬がどんな仕事をしているのか、詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか?
今回は、そんな盲導犬にスポットを当て、仕事内容や訓練方法、引退後の生活などについて解説したいと思います。

盲導犬の仕事とは

盲導犬の仕事とは

盲導犬の仕事を一言で表すと「視覚障害者の歩行の安全を手助けすること」です。
具体的な仕事内容は主に3つあります。

曲がり角や分岐点で止まる

角や分岐点で止まることで、盲導犬ユーザーに「曲がり角がある」と伝えます。
そして、左・右・真っ直ぐなど、盲導犬ユーザーから指示が出るのを待ちます。

段差の前で止まる

階段などの段差の前で止まることで、盲導犬ユーザーに「この先に段差がある」ということを伝えます。
こちらも停止した後は、盲導犬ユーザーから進むかどうかの指示が出るのを待ちます。

障害物を避ける

人に当たりそうな障害物を避けて歩きます。
盲導犬は、自分が歩いている側にある障害物はもちろん、人側にある障害物、人の頭上にある障害物なども見つけて避けるように訓練がされています。
こうした訓練により、盲導犬ユーザーの安全な歩行をサポートしているのですね。

また、この他にも、盲導犬が顔を近づけることで「椅子の座面」や「ドアの取っ手」などを盲導犬ユーザーに伝えるということもしてくれます。

上に挙げたことでピンときた方もいるかもしれませんが、実は盲導犬は行きたいところまで道案内をしてくれるわけではありません
盲導犬の仕事は「車のナビ」のような役割ではないのです。

では、どのようにしてユーザーは目的地まで行くのでしょう?
実は盲導犬ユーザーは、自らが行きたい場所までの地図を頭に描き、角や段差などを教えて補助してくれる盲導犬に指示を出しながら、目的地まで歩いています。
盲導犬ユーザーはとても集中して街中を歩いているんですね。
ですので、もし見かけたとしてもむやみやたらに声をかけることは控え、いざという時以外は見守るようにしましょう。

盲導犬になるための訓練

盲導犬になるための訓練

盲導犬になるための訓練には3段階の工程があります。

基本訓練

まず、一歳を過ぎてパピーウォーカーのもとから盲導犬協会に帰ってきた犬が受ける訓練です。
「座れ」や「まて」、「横につけ」など家庭犬のしつけと同じような訓練を行っていき、訓練士と盲導犬候補犬との信頼関係を築いていきます。
盲導犬候補犬への訓練には主に英語が使われます。
これは日本語だと「座れ」や「お座り」など色々な言い方があり、犬が混乱するのを防ぐためだと言われています。

誘導訓練

基本訓練が身に付いてくると、次は誘導訓練も並行して行います。
誘導訓練とは実際に犬にハーネスを装着して、障害物を避ける練習をしたり、角や段差で止まったりする練習のことです。
始めから公道を歩く練習をするのではなく、最初は屋内で、コーンやバーを使用して障害物や角などがある道を作り、そこを安全に誘導する練習をしていきます。
徐々に慣れてきたところで、公道を実際に歩く練習をし、最終的にはアイマスクをした訓練士を安全に誘導できるか確認していきます。

共同訓練

盲導犬候補犬として最後の訓練になります。
実際に、候補犬とその候補犬のユーザーが一緒に行う訓練になります。
最初は盲導犬ユーザーに犬のお世話の仕方や基本訓練などを学んでもらい、後半になると、通勤の道やよく通る買い物の道などを盲導犬候補犬と一緒に歩く練習をします。
そして共同訓練の最終日、最終試験を盲導犬候補犬と盲導犬ユーザーが受けて合格すると晴れて盲導犬デビューとなります。

盲導犬と盲導犬ユーザーの1日

盲導犬と盲導犬ユーザーの1日

盲導犬の一日は盲導犬ユーザーによって様々です。
基本的な盲導犬のお世話は、家庭犬と同じようなリズムで行います。
朝・夕の2回ご飯をもらい、1日に5~6回ほど排泄の時間があります。

盲導犬ユーザーが出かける時には、盲導犬も一緒に出掛け、仕事をしています。
ただ一日中、盲導犬は仕事をしている訳ではありません
【盲導犬のお仕事とは】の項目でもお伝えしましたが、盲導犬のお仕事は「視覚障害者の方の安全な歩行を手助けすること」です。

家の中では一般の家庭犬と同じように、好きな場所で休み、盲導犬ユーザーに遊んでもらったり、ブラッシングをしてもらったりとリラックスして暮らしています。

盲導犬は引退後どうなるの?

盲導犬は引退後どうなるの?

盲導犬はだいたい10歳前後で引退となります。
人間でいうと60~70歳ぐらいの年齢です。
犬も人間同様、年齢を重ねていくと、今まで出来ていたことが徐々にできなくなってしまいます。

例えば盲導犬の場合、いつもは停止する角をそのまま通りすぎてしまったり、障害物を上手く避けることができなかったりすることがあるのです。
盲導犬ユーザーの歩行が危険を伴うと判断された場合、盲導犬は引退となります。

全国の盲導犬協会には、引退した盲導犬を引き取る「引退犬ボランティア」さんがいます。
引退した盲導犬の多くはこの引退犬ボランティアの方に譲渡され、一般の家庭犬として最後まで暮らしていくことになります。
盲導犬協会によっては、協会内に老犬ホームという施設を設けていて、引退後はそちらでゆっくりと余生を過ごしてもらうこともあるようです。

盲導犬が引退した後、その盲導犬のユーザーはどうなるのかというと、新たな盲導犬候補犬ともう一度共同訓練を行い、再び次の盲導犬との生活をスタートさせる方もいます。
中には、自分の体力や生活のことを考え、盲導犬との生活を終了し、白杖歩行に戻る方もいるので、盲導犬が引退する際には盲導犬ユーザーに意思確認が行われます。

盲導犬と出会ったら

盲導犬と出会ったら

もし街中で盲導犬と出会ったらどうしたらいいでしょうか?
犬が大好きな人は、もしかしたら「可愛い!」と声をかけて撫でてあげたいと思う人もいるかもしれません。
しかし、盲導犬はハーネスを付けている時は仕事中になります。
盲導犬は人が大好きなので、仕事中でも声をかけてしまうと集中力が切れてしまって仕事ができなくなってしまうかもしれません。
例えば、盲導犬ユーザーが座っている足元でふせの状態で待っている時も、これは「待機」という仕事をしている時なので、むやみに声をかけたり触ったりしないように注意しましょう。

「何かお手伝いをしたい!」と思っている方は、ぜひ盲導犬ユーザーに信号の色を教えてあげてください。
盲導犬は信号の色を判断できません。
横断歩道を渡る時には、盲導犬ユーザーが車の音や、人の足音などを聞いて信号の色を判断しています。
横断歩道で信号を待っている方にお会いしたら「信号青になりましたよ。」「今はまだ赤ですよ」など声をかけてあげると、盲導犬ユーザーは安心して横断歩道を渡ることができます。

盲導犬は「かわいそう」だと思いますか?

盲導犬は「かわいそう」だと思いますか?

今回の記事では盲導犬の仕事内容や、訓練方法、引退後の生活についてご紹介していきました。
世間では、「盲導犬は常に仕事をしていてかわいそう」、「ストレスがかかって寿命が短いのでは」という声も少なくありません。

しかし、実際には盲導犬の平均寿命は12歳前後となっていて、家庭犬とそこまで寿命に変わりがないことが分かっています。
これは、盲導犬は盲導犬ユーザーと一緒に仕事場や買い物などに行き、お留守番のストレスがないこと。
そして、盲導犬は普段から訓練士が訪問をして健康チェックをしたり、動物病院で定期的に健康診断を受けたりしていることが理由とされています。

盲導犬についての正しい知識を多くの人が持つことで、盲導犬がもっと受け入れられやすい世の中になることを願っています。

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