犬アデノウイルス感染症ってどんな病気?原因や症状、治療・予防法について
犬アデノウイルス感染症とは、激しい下痢や嘔吐、高熱を引き起こす感染症です。
アデノウイルスには2つの型があり、1型の場合は重症化すると命を落とすこともあります。
今回は、そんな犬アデノウイルス感染症の原因や症状、治療・予防法を解説します。
目次
【原因】犬アデノウイルスに感染すると発症する
犬アデノウイルス感染症は、その名の通りアデノウイルスに感染することで発症します。
感染経路は、アデノウイルスに感染した犬の便や吐物、涙や鼻水を舐めたり、触れたりするなど。
経口感染のため、汚染された食器を使ったり、ウイルスを舐めたりすることで感染します。
犬アデノウイルス1型
別名「犬伝染性肝炎」を引き起こすウイルスです。
1歳未満の子犬が感染すると突然死することもあり、致死率が高いことで知られています。
犬アデノウイルス2型
別名「犬伝染性咽頭気管炎(ケンネルコフの原因の一つ)」を引き起こすウイルスです。
単独では軽い症状が出るのみですが、二次感染が起こると重症化し、肺炎を起こすこともあります。
なお、どちらのアデノウイルスも、非常に生命力が高いウイルスです。
室温であっても一定期間は感染性を保っており、回復後も一定期間は尿中にウイルスが排出されます。
アデノウイルス1型は少なくとも6~9ヶ月は尿中に排出されるので、多頭飼いの場合は特に注意が必要です。
【症状】2型の症状は咳。1型は重症度によって症状が異なる
犬アデノウイルス2型に感染した場合、主な症状は咳です。
感染力は強いものの重篤な状態になることはないため、しばらくすると回復します。
対して犬アデノウイルス1型感染症の主な症状は、激しい下痢や嘔吐、40℃前後の高熱など。
軽症の場合は軽い発熱や鼻水が出るだけですが、重度の場合は肝臓にダメージが及んだり、脳炎を起こすことも。
血管内で血栓ができやすくなることで、全身の微小な血管に血栓が詰まってしまう場合もあります。
また、回復期には目の角膜が浮腫を起こし、青白く濁って見えることもあります。
これはブルーアイと呼ばれる現象で、通常であれば特に治療をしなくても時間の経過とともに改善します。
ただし、時には緑内障や角膜潰瘍に進行するケースもあるので、経過はよく見ておきましょう。
犬アデノウイルス感染症は人や他の動物にもうつる?
犬アデノウイルス感染症が人にうつることはありません。
感染した犬に触れても人間にうつる可能性はないので、安心して接して大丈夫。
同じ生活環境に犬がいる場合は徹底した隔離が必須ですが、単独飼育では神経質にならないようにしましょう。
また、アデノウイルス感染症はイヌ科の動物だけに感染します。
そのため、猫やフェレットなどに感染することはないため、同じ空間で生活させて構いません。
【治療】犬アデノウイルス感染症の根本的な治療法はない
犬アデノウイルス感染症の根本的な治療はないため、主に対症療法を行います。
犬アデノウイルス1型感染症の場合は、脱水を防ぐための点滴、貧血改善の輸血、肝疾患用の食事療法など。
細菌による肺炎や腎盂腎炎を防ぐために、抗菌剤の投与が行われることもあります。
【予防】犬アデノウイルス感染症はワクチンで予防できる
犬アデノウイルス感染症の予防としては、ワクチン接種が効果的です。
特に子犬期は適切な時期にワクチンを接種することが大切なので、まずは動物病院に相談しましょう。
ワクチンの効果が十分に発揮されるように、子犬期は複数回ワクチンを接種することが大切です。
犬アデノウイルス感染症は、3種以上の混合ワクチンで予防できます。
なお、何種のワクチンを接種すべきかは、犬の体調や住んでいる地域によって変わります。
現在の日本でもっともポピュラーなのは5種混合ワクチンですが、詳しくは獣医師に確認してくださいね。
また、散歩時の拾い食いや草を食べるクセがある場合は、しつけを徹底すること。
普段から落ちているものを食べないように教えておき、危険なものと距離を置かせましょう。
犬アデノウイルス感染症になってしまったら
愛犬が犬アデノウイルスに感染したら、完全に治るまで外出しないようにしてください。
犬アデノウイルスは非常に感染力が強く、免疫がない犬にとっては命に関わることもある怖い病気です。
例え愛犬が元気そうだとしても、病院で完治の診断を受けるまでは自宅療養を続けましょう。
また、感染した犬と同居する犬がいる場合は、感染犬を隔離することも大切です。
犬アデノウイルス1型・2型は、アルコールやクレゾールなど一般的な消毒液では除去できません。
次亜塩素酸ナトリウムなど強力な消毒剤を使い、生活環境を徹底的に消毒しましょう。
気になる症状があればすぐに病院へ。早期治療が大切
犬アデノウイルスは感染力が強く、子犬の場合は命に関わることもあります。
定期的なワクチン接種によって防ぐことはできるものの、ワクチン接種前に感染すると非常に危険です。
もし愛犬に気になる症状がみられた場合は、すぐに動物病院で獣医師の診察を受けましょう。