犬パルボウイルス感染症ってどんな病気?原因や症状、予防法について

犬パルボウイルス感染症ってどんな病気?原因や症状、予防法について

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犬パルボウイルス感染症とは、激しい下痢や嘔吐を引き起こす感染症です。
特に子犬やシニア犬など、体力のない犬がかかると1~2日で命を落とす可能性もあるため要注意。
今回は、そんな犬パルボウイルス感染症の原因や症状、治療・予防法を解説します。

【原因】パルボウイルスの感染によって発症する

【原因】パルボウイルスの感染によって発症する

犬パルボウイルス感染症は、その名の通りパルボウイルスの感染で発症します。
感染経路は、パルボウイルスに感染した犬の便や嘔吐物を舐めたり、触れたりすること。
ウイルスのついた食器を使いまわしたり、感染した犬に触れた手で他の犬に触れることでも感染します。

なお、パルボウイルスは非常に生命力が高いウイルスです。
自然界では半年から1年以上も生きることができ、感染力も高いのが特徴。
汚染された飼育環境では感染が広がりやすく、不衛生なショップなどでみられるケースが多いでしょう。

【症状】消化器症状がメイン。悪化すると敗血症や心筋症を起こす

【症状】消化器症状がメイン。悪化すると敗血症や心筋症を起こす

この病気では、激しい下痢や嘔吐、食欲・元気消失、発熱などの症状が現れます。
水状のひどい下痢は悪臭があり、血が混じっていることもあるなど、一般的な下痢とは異なります。
下痢や嘔吐によって脱水状態になると激しいショックを起こし、場合によっては命を落とすこともあります。

症状の程度は犬によって異なりますが、健康な犬であれば1週間程度で回復します。
ただし、免疫力が落ちていたり、子犬など体力がない犬の場合は、症状が激化する可能性もあります。
特に、子犬の場合は進行が早いため、発症後1~2日で亡くなるケースも少なくありません。

悪化するとみられる症状

  • 敗血症
  • 播種性血管内凝固
  • 心筋炎
  • 白血球減少
  • 重度の脱水

なお、妊娠中のメス犬が感染すると、流産や死産を起こすこともあります。

犬パルボウイルス感染症は人や猫にもうつる?

犬パルボウイルス感染症は人や猫にもうつる?

犬パルボウイルス感染症が人にうつることはありません
感染した犬に触れても人間にうつる可能性はないので、安心して接して大丈夫。
同じ生活環境に犬がいる場合は徹底した隔離が必須ですが、単独飼育では神経質になる必要もありません。

なお、猫にもパルボウイルス感染症は存在しますが、犬と猫のウイルスは別物です。
犬のウイルスが原因で猫がパルボウイルス感染症を起こすことはなく、同じ生活で過ごせます。

【治療】ウイルスそのものを排除できる治療はなく、脱水の改善がメイン

【治療】ウイルスそのものを排除できる治療はなく、脱水の改善がメイン

犬パルボウイルス感染症の治療は、主に対症療法を行います。
具体的には、抗菌剤の投与や脱水改善のための点滴、吐き気止めの投与など。
なお、抗菌剤は細菌による二次感染を防ぐために行うもので、犬パルボウイルスへの効果はありません。

また、下痢が長期間続くことによって腸重積を起こしている場合は外科的治療が必要です。
腸重積とは、腸管の一部が隣の腸管の中に入り込んでしまい、抜けなくなった状態のことをいいます。

腸重積は命に関わる病気である「腸閉塞」を併発させるため、判明後は迅速な対応が必須。
脱水改善のために輸液を行い、ステロイド剤などを使って症状を和らげた後は、重積の整復手術を行います。
なお、腸管のダメージがひどい場合はその部分を切除し、残った腸をつなげる術式に変更します。

【予防】犬パルボウイルス感染症はワクチンで防げる病気

【予防】犬パルボウイルス感染症はワクチンで防げる病気

犬パルボウイルス感染症の予防としては、ワクチン接種が効果的です。
犬パルボウイルスの予防は、2種混合ワクチンと5~9種混合ワクチンの接種で行うことができます。
3種と4種では犬パルボウイルス感染症は予防できないため、間違えないようにしましょう。

ちなみに、現在の日本でもっともポピュラーなのは、5種混合ワクチンです。
何種のワクチンを接種すべきかは、犬の体調や住んでいる地域によって変わります。

なお、ワクチンの効果が十分に発揮されるように、子犬期のワクチンは複数回接種しましょう。
特に子犬期は適切な時期にワクチンを接種することが重要であるため、まずはかかりつけの動物病院に相談を。
大切な愛犬を感染症から守るため、定期的なワクチン接種を心がけてくださいね。

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犬パルボウイルスになってしまったら

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犬パルボウイルスに感染した場合は、完全に治るまで外出しないようにしましょう。
パルボウイルスは非常に感染力が強く、免疫がない犬にとっては命に関わることもある怖い病気です。
例え愛犬が元気そうだとしても、病院で完治の診断を受けるまでは自宅療養を続けてください。

また、感染した犬と同居する犬がいる場合は、感染犬を隔離することも大切です。
犬パルボウイルスは、アルコールやクレゾールなど一般的な消毒液では除去できないので、要注意。
次亜塩素酸ナトリウムなど強力な消毒剤を使って、生活環境を徹底的に消毒しましょう。

不安なことがあれば動物病院へ相談しよう

不安なことがあれば動物病院へ相談しよう

犬パルボウイルスは、感染力や消毒薬への抵抗力が非常に強いウイルスです。
体内に侵入したウイルスを薬で取り除くことはできないため、感染しないように予防することが大切。
ワクチンで不安なことがあれば必ず獣医師と相談し、納得のうえ接種をしてくださいね。

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