小型犬に多いパテラ(膝蓋骨脱臼)ってどんな病気?原因や症状、治療費について

小型犬に多いパテラ(膝蓋骨脱臼)ってどんな病気?原因や症状、治療費について

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パテラ(膝蓋骨脱臼)とは、何らかの原因で膝のお皿が外れてしまう病気のことです。
パテラ(膝蓋骨脱臼)は小型犬に多い病気で、かなり重度の場合は歩けなくなってしまうことも。

今回は、そんな犬のパテラ(膝蓋骨脱臼)の原因や症状、治療や予防法について解説します。
治療費の目安についても触れているので、ぜひ参考にしてくださいね。

パテラ(膝蓋骨脱臼)とは?

パテラ(膝蓋骨脱臼)とは?

パテラ(膝蓋骨脱臼)は、膝蓋骨(膝のお皿)が本来あるべき位置から外れてしまう病気です。
通常、膝蓋骨は滑車溝とよばれる膝の骨のくぼみに収まっており、激しく動いても外れることはありません。
しかし、滑車溝が生まれつき浅かったり、周辺の筋肉・骨・靱帯に異常があると、外れてしまうことがあるのです。

パテラ(膝蓋骨脱臼)のほとんどは生まれつきのもので、特に小型犬に多くみられます。
症状は早くて生後1~2ヵ月ほどでみられ、基本的に年齢が上がるにつれて悪化する傾向があります。
生まれつきの場合、両足ともに症状が出ることも多く、できるだけ早い段階で治療を行うことが望ましいといえます。

なお、それほど多くはありませんが、後天的にパテラ(膝蓋骨脱臼)を起こすケースもあります。
後天性のパテラは、高い場所からの落下や交通事故、栄養障害による骨の変形など、様々な原因で発症します。
膝をぶつけるなど、些細なことがきっかけで発症する可能性もあるため、活発な犬は特に注意が必要です。

パテラ(膝蓋骨脱臼)の症状

パテラ(膝蓋骨脱臼)の症状

パテラ(膝蓋骨脱臼)の主な症状としては、以下のようなものがあります。

  • 後ろ足を地面につけない
  • 後ろ足を伸ばすような仕草をよくする
  • 後ろ足の足先が内側(O脚)・外側(X脚)を向いている
  • 抱いた時に後ろ足が「コキン」と鳴ることがある
  • ジャンプ後、着地したさいに痛がって鳴く
  • スキップのような歩き方をする

また、パテラ(膝蓋骨脱臼)の症状は、重症度(グレード)によって4段階に分けられます。

グレード1

膝蓋骨は正常な位置にあり、骨の変形や痛みはほとんどなく、触診でしか分からない。
指で押すと膝蓋骨は外れるが、離せば自然と元に戻る。スキップのような歩き方がみられることもある。

グレード2

膝を曲げると脱臼し、脚をまっすぐにしたり指で押したりしないと元に戻らない。
脱臼している時は足を引きずるように歩き、軽度の骨の変形と軽い膝の靱帯損傷がみられる。

グレード3

常に脱臼している状態で、指で押せば元に戻るものの、またすぐに脱臼してしまう。
傷みがあるため、腰をかがめて足を引きずるように歩いたり、内股(ガニ股)で歩くようになる。

グレード4

常に脱臼している状態で、指で押しても戻らない。
強い痛みと骨の変形により、膝を織り曲げてうずくまるように歩き、脚を地面につけなくなる。

パテラ(膝蓋骨脱臼)になりやすい犬種

パテラ(膝蓋骨脱臼)になりやすい犬種

犬のパテラ(膝蓋骨脱臼)は小型犬に多くみられる病気ですが、特になりやすい犬種が存在します。
ここでは、小型犬のなかでも特にパテラ(膝蓋骨脱臼)の発症リスクが高い主な犬種を5つ紹介します。

  • チワワ
  • トイプードル
  • ポメラニアン
  • ヨークシャー・テリア
  • パピヨン
  • キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル

これらの小型犬は生まれつき滑車溝が浅いことが多く、比較的若齢期で症状がみられます。
特にチワワは骨・関節系の疾患を持っているケースが多いため、普段からよく様子をみておくことが大切です。

パテラ(膝蓋骨脱臼)の治療法

パテラ(膝蓋骨脱臼)の治療法

パテラ(膝蓋骨脱臼)の治療法は、犬種や年齢、脱臼の程度によって異なります。

外科的治療では、浅い滑車溝を深くする手術や膝蓋靱帯の付着部位の骨を移動する手術などを行います。
完治には外科手術が必要ですが、グレード1程度であれば痛み止めの服用で経過観察を行うことも多いでしょう。

なお、犬の年齢が1歳未満の場合には、軽度であっても手術を行うよう勧められることが多いです。
というのも、骨が成長しきる前に根本的な治療を行うことで、重度脱臼に移行するのを防ぐことができるからです。
特に大型犬は、子犬期に骨が急成長するため、できるだけ早く手術を行う必要があるといわれています。

パテラ(膝蓋骨脱臼)の治療費

パテラ(膝蓋骨脱臼)の治療費

片足のパテラ(膝蓋骨脱臼)では、完治までの費用として10~35万円ほどかかるのが一般的です。
入院は3~7日程度、手術代が10~15万円程度で、前後の通院代を合わせるとトータル20万円前後が目安です。
重度のパテラであるほど手術には難易度が求められるため、そのぶん手術費用も高くなるといえるでしょう。

また、パテラは膝蓋骨の関節炎を併発しやすく、悪化すると靱帯の断裂を起こす原因になります。
そのため、関節炎の進行を抑える目的で、手術後も関節のサプリメントを服用するよう、指示がある場合があります。
その際はサプリメント代として、月に数千円程度の費用が上記の値段にプラスされるため注意しましょう。

パテラ(膝蓋骨脱臼)の予防法

パテラ(膝蓋骨脱臼)の予防法

パテラ(膝蓋骨脱臼)の発症リスクを下げるためには、膝に負担の少ない生活をすることが大切です。
肥満にならないよう体重管理を徹底し、若い頃でも膝に負担がかかりそうな運動は避けるようにしましょう。

また、フローリングなど滑りやすい床にはじゅうたんを敷き、足の裏の毛はこまめにカットすること。
ソファやベッドなど、高い場所から飛び降りる機会を減らすため、犬用の階段を設置することをおすすめします。
愛犬の膝をサポートする目的で、普段から関節のサプリメントなどを与えておいてもよいかもしれません。

異変に気づいたら早めに動物病院を受診しよう

異変に気づいたら早めに動物病院を受診しよう

初期のパテラ(膝蓋骨脱臼)は目立った症状がなく、どうしても見逃してしまうことが多いでしょう。
愛犬の些細な異変を敏感にキャッチできるよう、普段から元気な時の様子をよく見て覚えておくことが大切です。
もし少しでも愛犬に気になる様子があったら、できるだけ早く動物病院で診察を受けるようにしてください。