犬が首を左右にかしげるのはよく聞いてくれている証拠?仕草と心理

犬が首を左右にかしげるのはよく聞いてくれている証拠?仕草と心理

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名前を呼ばれたり聞き慣れない音がした時に、たまに犬は首をかしげる仕草をします。
愛犬家にとっては、たまらなく可愛い仕草ですよね。
飼い主としては「話をきちんと聞いてくれてるのかな?」と思うことでしょう。
犬が首をかしげる仕草には、実はいろんな意味があるといわれています。
今回はそんな仕草に隠されている理由や、犬の心理について紹介します。

聞きなれない音に興味を持ち、どこから聞こえてるか確認している

聞きなれない音に興味を持ち、どこから聞こえてるか確認している

犬は視力が悪く、人間の視力でいうと0.2~0.3程度しかありません。
その為ほとんどの情報を聴覚や嗅覚から得ています。
そんな犬の聴覚は非常に優れており、人間が聞き取れる音域は約2万ヘルツですが、犬は約6万ヘルツまで聞き取ることが可能といわれています。
人間に比べるとおよそ3倍もの音域を聞き取り可能というわけですね。

しかし聴覚に優れた犬でも音の出どころ、つまり音源の場所を察知する能力は低いそうです。
普段聞きなれない音がした時に犬が首をかしげるのは、その音がどこから聞こえてきているのか左右の耳の角度を変えて聞き取ろうとしているからです。
主に聴覚によって情報を得ている犬ならではの行動ですね。
私たち人間も耳に手をあてたりして、なんとか音を聞き取ろうとします。
音への興味は犬でも人間でも同じというわけですね。

視点を変えて見ようとしている

視点を変えて見ようとしている

犬は自分の鼻先(マズル)が邪魔で、顔の角度を変えて何かを見ようとしているという説もあります。
また、見慣れないものに対して角度を変えて見ているともいわれています。

首をかしげるだけでなく、見慣れないもののまわりをクルクル回ることもありますよね。
人間が何かを手に取って、いろんな角度からながめて調べてみることと同じなのかもしれません。

視覚がそこまで優れていない犬でも一生懸命自分の目で見て、それが何かを知りたいのでしょうね。
音源の場所を知りたい気持ちと一緒で、犬の好奇心の現れなのでしょう。

集中力を高めている

集中力を高めている

飼い主さんの声のトーンがいつもと違ったりする時にも、犬は首をかしげることがあります。
普段聞きなれている「お散歩行こう」や「ご飯よ」といった言葉でも、飼い主さんの声がささやくような声だったり、怒ってる声だったりすると、「何かいつもと違う」と感じるのでしょう。
そんな時に首をかしげている犬の心理としては、「僕に言ってるの?」「いつもの言葉かな?」と集中力を高めて音を聞いているといわれています。
きっと言葉の意味を考えているからなのでしょう。

人間であれば相手に聞き返したりできますが、犬は喋れませんので首をかしげて集中するわけです。
そしてこの集中力が高まった時こそ、しつけのチャンスでもあります。
すかさず「お座り」や「伏せ」などの指示を出してみましょう。
上手くできたらおやつをあげるなどして褒めてみて下さい。いつもよりもっと早く指示を覚えてくれるでしょう。

記憶力を高めている

記憶力を高めている

ハンガリーのある大学が2021年に発表した論文によると、記憶力の良い犬は首をかしげる仕草をするということです。
40頭の犬におもちゃの名前を覚えさせ、隣の部屋から取ってきてもらう実験をした際、おもちゃの名前を覚えるのが得意な犬は、頻繁に首をかしげていたそうです。

物を聞くときの注意力や集中力が首をかしげることによって処理され、記憶を呼び起こしているのではないか、といわれています。
人間も何か思い出したりするときに、おでこに手を当てたりしますよね。それと同じなのかもしれません。

飼い主を喜ばせたい

飼い主を喜ばせたい

例えば愛犬が首をかしげている状態で写真を撮ったとします。
その時に飼い主さんが「まあ!可愛いね!」と喜んだとすると、犬は「首をかしげると飼い主さんが喜んでくれる!」という風に覚えます。
そうなると犬は飼い主さんに喜んでほしくて首をかしげるようになることもあります。

犬は物事の繋がりで記憶をするので、首をかしげる = 喜んでくれると認識するのでしょう。
飼い主さんとコミュニケーションを取りたいという、犬の心理の現れでもあります。
首をかしげたあとにおやつをあげたりすれば、しょっちゅう首をかしげてくれるかもしれませんね。
人とコミュニケーションを取ることが好きで、高い学習能力を持った犬ならではの行動ですね。

人のまねをしている

人のまねをしている

飼い主を信頼している犬の行動として「ミラーリング」というものがあります。
これは例えば飼い主が嬉しかったり喜んでいたりすると、犬も元気に走り回ったりします。
逆に悲しんでいるとこちらに寄ってきて体を押し付けて、顔を舐めてくるなどが当てはまるでしょう。

つまり犬の行動心理としては、信頼している人と同じ行動をすることで、コミュニケーションを取るのと同時に信頼関係を示しているのでしょうね。
飼い主さんは試しに愛犬に対して首をかしげてみて下さい。ひょっとしたら同じ動きをしてくれるかもしれませんよ。
その時はたくさん褒めてあげて、愛犬との信頼関係をより深くしていきましょう。
なにより自分のまねを飼い犬がしてくれること自体、飼い主としては嬉しいことですよね!

病気の可能性

病気の可能性

「首をかしげる方向が毎回同じ」「かしげる角度がいつもと違う」「飼い主さんを見ずにやたら首をかしげている」
こんな場合はなにかしらの病気にかかっている可能性があります。

耳や脳に違和感を感じていたりして、首を動かしている場合もあります。
その他にも、「いつもと違う行動」「まっすぐ歩けずにフラフラ歩きをしている」「足で耳を掻いている」などの場合は注意が必要です。
前庭疾患といって、耳の中の前庭という部分に障害が起きて平衡感覚を失い、めまいや嘔吐、旋回運動などの病状がみられるケースもあります。
こうした場合は、すぐに動物病院で診察してもらいましょう。
兆候を見逃すことがなければ、深刻な事態になる前に防ぐことができます。

犬が首をかしげる仕草には様々な意味が詰まっている!

犬が首をかしげる仕草には様々な意味が詰まっている!

犬が首をかしげる仕草の意味は、状況によって様々です。
集中して飼い主の話を聞いている時もあれば、コミュニケーションを取ろうとして動きを真似たり。時として病気のサインだったりもします。
犬の仕草をよく観察して、万が一の時はすぐ獣医さんに診てもらったりしましょう。

飼い犬が首をかしげた時、普段からしっかりとコミュニケーションが取れていれば、それがどんな気持ちでかしげているのかきっと伝わるはずです。
愛犬とは良き信頼関係を築いて、ずっと一緒に過ごしていきたいですね!

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