犬が舌を出す「パンティング」呼吸がハアハアと荒い理由や原因とは?

犬が舌を出す「パンティング」呼吸がハアハアと荒い理由や原因とは?

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犬が口を開けてハァハァすることを「パンティング」といいます。
犬と暮らしている方なら絶対といっていいほど見たことがある光景ですが、その原因は何でしょうか?
今回は、犬がパンティングをする理由と考えられる原因、注意すべきパンティングと対処法について解説します。

犬のパンティングは体温調節に必要

犬のパンティングは体温調節に必要

犬のパンティングは、主に体温調節のために起こる生理現象です。
人間は汗をかいて体温調節をしますが、犬はほとんど汗腺がないため、汗で体温調節をすることができません
そのため、口の粘膜や下から唾液を蒸発させ、その気化熱で体の熱を下げる必要があるのですね。

犬のパンティングはごく自然な行動であり、基本的には心配ありません。
パンティング中は呼吸数が普段より多く心配になりますが、一時的なものであれば放っておいて大丈夫。
犬が苦しそうにしている時は、落ち着かせるために静かで涼しい場所で休憩させてあげましょう。

犬がパンティングする原因

犬がパンティングする原因

犬がパンティングする原因には、暑さ以外にも様々なものがあります。
ここでは、暑さ・病気以外で犬がパンティングを起こす主な原因を大きく4つご紹介します。

興奮

楽しい・嬉しいなど、興奮すると犬はパンティングを起こします。
散歩後や飼い主さんと遊んだ後は特にパンティングを起こしやすいですが、これはあくまで一時的なもの。
しばらく経って興奮が落ち着けば、徐々にパンティングも収まってくるでしょう。

肥満

通常体型の犬に比べて、肥満気味の犬は気管が脂肪で狭いため、呼吸が苦しくなります。
そのため、普段より活動的に過ごしたり、気温が高い時にはパンティングを起こしやすい傾向が。
室温が適切でも湿度が高い場合も、肥満犬はパンティングを起こしやすいといえるでしょう。

ストレスや恐怖

犬がウロウロと歩き回ったり落ち着かない様子の時は、大きなストレスを感じているのかも。
例えば大きな音がして怖い・初めて訪れる場所で緊張するなど、犬によってストレスの原因は様々です。
動物病院やペットホテルなど、犬が緊張しやすい場面ではパンティングがみられやすくなります

マズルが短い

マズルが短い犬は口腔面積が狭く、パンティングによる体温調節機能が弱いです。
マズルが短い犬としては、パグ・フレンチブルドッグ・ボストンテリア・ペキニーズなどが挙げられます。
頭蓋骨の長さに比べて極端にマズルが短い犬種は、パンティングを起こしやすい傾向があります。

犬のパンティングから考えられる病気

犬のパンティングから考えられる病気

一時的なパンティングは生理現象の一種であり、過度な心配はいりません。
しかし、いつもよりも息遣いが荒かったり、どことなく様子がおかしい場合は、どこかに異常があるのかも。
ここでは、犬がパンティングを起こす病気のうち、特に可能性が高いものを5つ紹介します。

熱中症

夏場や梅雨時期は、犬の熱中症に注意が必要です。
暑さによって体温が上がると、犬はパンティングを行って体温を下げようとします。
しかし、気温が高いとかえって周囲の熱い空気を取り込むことになり、熱中症を起こしてしまうのです。

心臓病

心臓の機能が低下すると体中の酸素が不足するため、犬は激しく呼吸をします。
犬の心臓病で特に多いのは「僧帽弁閉鎖不全症」や「心室中隔欠損症」などで、主に小型犬が発症します。
発症後は投薬や手術が必要になり、気付かないうちに症状が進行してしまうと命に関わります。

肺炎・気管支炎

肺炎や気管支炎など、呼吸器に炎症が起きていると呼吸は荒くなります。
呼吸器トラブルによるパンティングは明らかに苦しそうな様子があり、異常に気付きやすいのが特徴。
放っておくと炎症が悪化して命に関わることもあるため、早期発見・早期治療に努めましょう。

狭窄性外鼻孔・軟口蓋過長症・気管虚脱など

これらは「短頭種気道症候群」の一種で、生まれつきの疾患です。
パグやフレンチブルドッグなどの鼻ぺちゃ犬に多くみられ、気温やストレスによって悪化します。
安静にしている時でも「ブーブー」「ガーガー」と音がする場合は、短頭種気道症候群の可能性があります。

分離不安症

体調が悪そうなわけではないのにパンティングを繰り返す場合は、分離不安症の可能性があります。
分離不安症は飼い主への依存心が強いために起こる心の病気で、留守番時の無駄吠えや破壊行動などがみられます。
命に関わる病気ではありませんが、犬の心身の健康を守るためにはできるだけ早く対処を行うべきです。

こんなパンティングをしている時は動物病院に連れていこう

こんなパンティングをしている時は動物病院に連れていこう

パンティングのほか、以下のような様子がみられたら注意が必要です。

  • 息苦しそう
  • しばらくたっても収まらない
  • 運動や興奮をしていないのに続いている
  • ハァハァという息遣いの音に雑音が混じっている
  • 舌の色がピンク色以外(白っぽい・紫色など)

長時間パンティングが治まらず、愛犬がぐったりしている場合は、すぐに動物病院へ行きましょう。
パンティングは分かりやすい異常のサインであり、早めに気づいて適切に対処することが重要なポイントです。
危険なパンティングを見分けるのは難しいですが、いつもより様子がおかしい時は迷わず診察を受けてくださいね。

犬のパンティングの対処法

犬のパンティングの対処法

病気以外の原因でパンティングがみられた場合、どのように対処すればよいのでしょうか?
ここでは、犬のパンティングをできる限り予防する方法について解説します。

犬にとって最適な気温・湿度を保とう

基本的に犬は暑さに弱い動物なので、気温や湿度の管理を徹底することが大切です。
犬種にもよりますが、気温25℃以上・湿度60%を超えた場合、熱中症のリスクが高まります。
夏場は必ずエアコンをつけるようにし、愛犬にとってベストな室温を維持しましょう。

太らせない

肥満はパンティングの頻度が増える原因であり、万病のものでもあります。
特に短頭種は肥満になりやすいため、飼い主さんの食事管理がとても大切です。
普段から健康的でバランスの良い食事を与えて、犬種として適正な体重をキープさせましょう。

ストレスの原因を取り除く

ストレスが原因の場合、愛犬にとってストレスとなるものを排除しましょう。
外の音が気になるのであれば窓を閉める、他の犬が苦手であればできるだけ接触させないなど、対処法は様々です。
あまりにデリケートな犬の場合は、専門家のもとで行動療法などを行うといいかもしれません。

愛犬との関わり方を見直そう

分離不安症が疑われる場合、まずは愛犬との関わり方を見直す必要があります。
愛犬の過度な依存心を無くすため、獣医師やトレーナーに相談しながら適度な距離を保つこと。
外出前・帰宅直後は声をかけず、一人で過ごすことに対する自信を少しずつ持たせてあげることが大切です。
※重度の分離不安症の場合は、獣医師の処方により投薬治療を受けることもあります。

通常時の様子をよくチェックしておこう

通常時の様子をよくチェックしておこう

パンティングは犬の生理現象のひとつですが、なかには病気のサインである可能性もあります。
異常なパンティングを見分けるポイントは、普段と様子が違っているか・他の症状が出ているかどうかです。
いざという時にすぐ気付くことができるように、日頃から愛犬の様子に気を配っておいてくださいね!