犬があくびをする理由は?眠いだけじゃない3つの理由と病気の可能性

犬があくびをする理由は?眠いだけじゃない3つの理由と病気の可能性

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私たち人間同様、犬も眠くなったりするとあくびをします。
しかし、犬があくびをするのは、眠い時だけではありません。
愛犬を叱っているときや、シャンプーをしているときにあくびをしている姿を見たことはありませんか?
もしかすると、それは愛犬が飼い主さんや自分自身を落ち着かせるときにでるあくびかもしれません。
今回はそんな犬のあくびについて、理由を交えてご紹介していきます。

理由①自分や人、他の犬を落ち着かせたい

理由①自分や人、他の犬を落ち着かせたい

あくびをすることは、犬同士の身体を使ったコミュニケーション方法の一つです。
口を大きく開くことで自分自身の緊張を和らげ、相手に「自分には敵意がありません」ということを伝える行動です。
この行動のことを「カーミングシグナル」といいます。
自分を落ち着かせたいときのカーミングシグナルは、あくびの他にも、身体を掻いたり、地面のにおいを嗅いだりなど様々な種類があります。

飼い主さんに叱られているときにするあくびは、カーミングシグナルの一種です。
叱っているときにあくびをしているのを見ると、ちゃんと話を聞いているのか疑ってしまいますが、愛犬は飼い主さんにこれ以上怒って欲しくないのであくびをしています。
あくびをしたのを見たら、十分反省しているということなので、叱るのを辞めてあげてくださいね。

また、他の犬とケンカになりそうなときにもあくびをすることがあります。
これは、相手の犬に争うつもりはないことを伝えています。
カーミングシグナルを見せて敵意がないことを伝えているにも関わらず、相手の犬がしつこくケンカを仕掛けてきているようであれば、トラブルになる可能性が高いです。
飼い主さんが間に入り、なるべくその犬と距離をとるようにしましょう。

犬のカーミングシグナルとは?あくび・鼻をなめるなどの代表例

犬のカーミングシグナルとは?あくび・鼻をなめるなどの代表例

あなたは犬のカーミングシグナルについて、どこまで知っているでしょうか?犬は私たち人間のように…

理由➁飼い主のあくびがうつった

理由➁飼い主のあくびがうつった

人同士でも親しい間柄だとあくびがうつるというのは聞いたことがあるのではないでしょうか。
実は、犬も人につられてあくびをすることがあります
さらに最新の研究では、人と同じように見知らぬ人のあくびよりも、飼い主など親しい間柄の人のあくびのほうが犬にうつりやすいということも分かってきました。

また、飼い主のあくびを見るときと、見知らぬ人のあくびを見るときの心拍数を測る実験も同時に行った結果、どちらも同じぐらいの心拍数であることが分かりました。
この結果は、犬が緊張からあくびをしたのではなく、犬の共感力があくびをすることに大きく影響しているという証明です。
犬は、それだけ共感能力が高いということですね。
飼い主さんのあくびを見て、愛犬もあくびをしたときには、きちんと愛情が伝わっていると考えていいでしょう。

理由③ストレスを感じている

理由③ストレスを感じている

犬はストレスが溜まっているときにもあくびをします。
特によく見られるのは、動物病院やトリミングサロンなど、犬があまり好きではない場所に連れていったときです。
あくびを頻繁にしている様子が見られたら、一度外に連れ出して気分転換をしてあげたり、声掛けを多くしたりして、少しでも不安を取り除いてあげましょう。

また、飼い主さんがしつけをしている最中にあくびをすることもあります。
これは退屈だなと感じているのではなく、しつけが厳しいと感じてストレスになっているのかもしれません。
この場合は、一度休憩をはさみ、もう少しリラックスした雰囲気で犬に接してあげることをおすすめします。

なお、愛犬がストレスを感じているサインは、あくびの他にもいくつかあります。

  • せわしなく歩き回る
  • 身体をなめ続ける
  • 舌で鼻をなめる

このようなしぐさを頻繁にしているようであれば、原因となっているものをなるべく取り除いてあげるようにしてください。

いつもと違うあくびは病気のサインかも

いつもと違うあくびは病気のサインかも

犬は、病気や体調不良のサインとしてあくびをすることがあります。
上の3つのあくびとはどのような違いがあるのでしょうか。
特徴を解説していきます。

病気のサインであるあくびの特徴

あくびの際にチェックしたい項目は以下の通りです。

  • あくびの回数が異常に多い
  • 舌や歯茎の色が白い
  • 元気や食欲がない
  • いつもより口が開かない
  • あくびのときに、顎がガクガクと震える

普段とは違い、このような様子が見られた場合、病気のサインである可能性が高くなるため、注意しておきましょう。

あくびから考えられる病気の種類

あくびから考えられる病気の種類

では、あくびから考えられる病気にはどのようなものがあるのでしょうか。
順番にご紹介していきます。

貧血

貧血とは、血液中の赤血球の数が減ることです。
赤血球が全身に酸素を届ける働きをしており、赤血球が減ることで、全身に酸素が充分行き渡らなくなります
そうすると脳も酸欠をおこし、より多くの酸素を体外から取り入れるためにあくびを頻繁にすることがあります。
あくびの際に、舌や歯茎の色が白くなっている場合、貧血になってしまっている可能性があります。

低血糖

血液中の糖分濃度が低下することを低血糖といいます。
脳は、血液中の糖が唯一のエネルギー源です。
低血糖になることで、脳の機能が著しく低下し、その影響であくびがでることがあります。
あくびの他にも、元気がなくなったり、下半身に麻痺が起きたりしてしまう場合も。
酷い症状だとけいれん発作を引き起こし、最悪の場合、命に関わることもあるので、このような症状が見られたら、早めに動物病院を受診しましょう。

精神疾患

犬は人間と同じように精神疾患を抱えてしまうことがあります。
とくにうつ病は、犬にも起こりうる病気で、うつ病を患っている犬の数は年々増えてきているそうです。
うつ病の症状は様々あり、あくびの他にも食欲がなくなったり、うろうろと歩き回ったりする犬もいるようです。
うつ病の改善方法は、犬のストレスになっていることを取り除き、今まで以上にスキンシップを大事にすることです。
なかなか改善が見られない場合、一度動物病院に相談してみてはいかがでしょうか。

歯など口腔内の不調

あくびの際に、顎がガクガクと震えたり口がいつもより開かなかったりする場合は、口腔内に何か不調があることを疑いましょう。
顎が震えているときは、歯周病になっているかもしれません。
口を動かすことに痛みがあり、それを緩和するために顎をガクガクと動かすことがあります。
歯周病が進行してしまうと、すべての歯を抜歯しなければならないといったことも起こりうるので、愛犬の歯磨きは意識して定期的に行いましょう。

また、口が開かない場合は、顎関節症の可能性があります。
下顎の関節が開かなくなることで、痛みが生じ、口が開きにくくなります。
そのまま放っておくと完全に口が開かなくなることがあるので、動物病院は必ず受診してください。

あくびの理由を正しく理解しよう

あくびの理由を正しく理解しよう

今回は、犬があくびをする3つの理由と、病気のサインである可能性についてご紹介しました。
言葉を話すことのできない犬にとって、あくびは自分の気持ちを伝えるための重要な役割を持っています。
愛犬があくびをしているのを見たら、今はどういう気持ちなのか、体調に変化はないかなど注意深く観察してみることをおすすめします。
あくびを通して、愛犬との絆をもっと深めてみてはいかがでしょうか。

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