ペット先進国「ドイツ」の動物愛護精神と日本との比較

ペット先進国「ドイツ」の動物愛護精神と日本との比較

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ドイツは、ペット先進国として知られる国のひとつです。
犬に対する考え方はドイツと日本とでは大きく異なっており、ペット事情はまったく違います。
今回は、そんなドイツの犬への取り組みや動物愛護の精神について紹介します。

ドイツといえば「犬税」

ドイツといえば「犬税」

ドイツには「犬税」と呼ばれる税金制度があります。
犬税は主にヨーロッパで行われている政策であり、ドイツでは1810年から始まりました。
今でこそポピュラーな犬税ですが、もとは貴族や富裕層に対する「贅沢税」の一環として導入したのがきっかけです。

ドイツではほとんどの自治体で犬税が導入されています。
税額は市町村によって異なりますが、飼育頭数が増えるほど税金が高くなる仕組みです。
犬1頭にかかる税金は日本円で約1~2万円程度、2頭目以降は徐々に金額が高くなります。
なお、闘犬指定犬種は3倍の犬税がかかるようになっており、流行や物珍しさによる飼育を防いでいます

何を置いても犬の立場を尊重するドイツ

何を置いても犬の立場を尊重するドイツ

大きさに関わらず、ドイツの犬は電車やバスなどの乗り物に乗ることができます
乗車の際は人間の子供と同じ料金を支払えばよく、キャリーケースに入れる必要はありません。
日本では動物アレルギーや衛生面で拒否されがちなレストランも、ドイツでは犬同伴で入れることが多いです。

また、ドイツの町中には犬の糞を捨てるためのゴミ箱が設置されています。
散歩の途中に使えるよう、ある程度の間隔を開けて道端に設置されており、ポリ袋もあります。
捨てられた糞は、犬税を使用して州が定期的に回収しているので、快適な散歩をサポートしてくれます。

ドイツには東京ドーム3個分の動物保護施設がある

ドイツには東京ドーム3個分の動物保護施設がある

ドイツには「ティアハイム・ベルリン」という民間の動物保護施設があります。
ドイツの動物保護施設は広大な土地にあり、東京ドーム3個分もの敷地を誇っているのが特徴。
なお、犬舎は一頭ずつ自分のスペースが用意されています。

ティアハイムに送られた犬は、自然豊かな環境で暮らしながら新しい飼い主を待ちます。
ドイツのティアハイムの譲渡率は9割を超えるといわれており、譲渡アピールや啓発も盛んに行われています。
なお、初めて犬を飼う人や扱いが難しい犬を譲渡する際は、犬との付き合い方についてレクチャーがあります。

ちなみに、日本と違ってドイツでは生体販売を行うショップが非常に少ないです。
というのも、ドイツの犬税はペットショップにも課せられるので、飼育頭数が多いほど負担になるから。
そのため、ドイツで犬を迎える人のほとんどはブリーダーかティアハイムを利用します。

ドイツの小学校には犬のシグナルを勉強する授業がある

ドイツの小学校には犬のシグナルを勉強する授業がある

ドイツの小学校では、生物の授業で犬のシグナルを勉強するのだとか。
これは、街中でノーリードの犬と出会った時でも危険がないように、という目的があります。
子供の頃から犬の扱い方を知っておくことで、犬との正しいコミュニケーションができるようになるのです。

なお、ほとんどの州では「散歩時にリードをつけること」が義務付けられています。
ただ、ドイツの犬は呼び戻しができるようにしつけられていることから、ノーリードでの散歩も多いのが現状です。
社会全体が犬に寛容なことで、ノーリードで散歩をする飼い主が多いのかもしれませんね。

ドイツには犬の飼育に関する条例もたくさん!

ドイツには犬の飼育に関する条例もたくさん!

ドイツでは、人権に似た権利が犬に認められています。
犬の飼育に関する条例は非常に多く、違反するとアニマルポリスに指導を受けるうえ罰則があります。
指導したにも関わらず改善がみられない場合には、強制的に犬を取り上げられるケースもあるのだとか。
アニマルポリスによって取り上げられた犬はティアハイムに送られ、第二の犬生のため新しい飼い主を待つことになります。

なお、犬の飼育に関する主なドイツの条例としては、以下のようなものがあります。
いずれも日本では一切定められていないものであり、犬への高い愛護精神が伺えるといえるでしょう。
犬にとって快適な環境で生活ができるよう、ドイツでは多くの取り決めがされています。

  • 外気が21℃を超える場合、車内に犬を放置してはならない
  • 1日最低2回、計3時間以上屋外やドッグランへ連れて行かなければならない
  • 飼育環境の最低面積は犬の体高によって決めなければならない(※面積に対する窓のサイズにも規定あり)

ドイツの獣医師は動物保護への関心が高い

ドイツの獣医師は動物保護への関心が高い

ドイツには「TVT」と呼ばれる動物保護のための獣医師会があります。
公益社団法人として運営している日本の獣医師会と違い、こちらは動物保護をメインとした団体です。
TVTが作成した動物保護のガイドラインは、ティアハイムの運営や裁判の参考材料など、様々な場面で活用されています。

なおTVTでは、動物によって異なる幸せの感じ方やストレスのかかり方についても研究しています。
動物を擬人化して考えるのではなく、あくまで別の生き物とし、個々の動物に必要なケアを検討しているのですね。
解剖学や行動学、生理学などから学術的に証明された提案は、非常に信ぴょう性の高いものといえます。

いつかペット先進国と呼ばれるために

いつかペット先進国と呼ばれるために

犬におけるドイツの法律には、動物愛護の精神がしっかりと反映されています。
犬の権利に関する取り組みは国によって様々ですが、なかでもドイツのレベルは非常に高いといえます。
日本もドイツの良い面を積極的に取り入れて、いつかペット先進国として知られる国になりたいものですね。

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