ペット先進国「スイス」と日本の違い|国民の意識・環境など

ペット先進国「スイス」と日本の違い|国民の意識・環境など

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ペット先進国とは「動物の権利が尊重されており、動物愛護の精神が高い国」のことです。
日本はペット後進国と呼ばれており、動物愛護の面では世界から大きく後れを取っている国といえます。
今回は、ペット先進国であるスイスの取り組みを取り上げ、日本との違いについて解説します。

ペット先進国として名高いスイス

ペット先進国として名高いスイス

数あるペット先進国の中でも、スイスの動物愛護精神は群を抜いています
スイスは、今でこそヨーロッパ全体に浸透している犬の税金「犬税」を初めて法律に組み込んだ国です。
憲法レベルで動物の尊厳を定めているのは、現在のところ世界でもスイスだけです。

犬税は犬の飼い主に課せられる税金で、一般財源として公道や公園整備などに使われます。
犬税は消費税のような「あらゆるものにかかる税金」として受け入れられており、ポピュラーなもの。
安易に犬を飼おうとする人を抑制する役割があり、納税を怠ると罰金刑に処されます。

スイスにペットショップは存在しない

スイスにペットショップは存在しない

日本で犬を迎える時は、ペットショップから購入することが多いですよね。
対してスイスには生体展示販売自体がないため、ブリーダーから譲り受けるのが一般的。
スイスで犬を飼おうと思った時はブリーダーに予約をし、子犬が生まれることを待つスタイルです。

スイスのブリーダーは、予約をもとに出産させる頭数を調整します。
予約があって初めて出産させるシステムのため、引き取り手のない命が増えることはありません。
なお、子犬の譲渡は生後8週齢から可能ですが、精神面を考慮して生後12週齢以降に譲渡されることが多いです。

スイスには動物保護施設「ティアハイム」がある

スイスには動物保護施設「ティアハイム」がある

スイスには「ティアハイム」と呼ばれる動物保護施設が多くの街に存在します。
ティアハイムには、飼い主の入院や逝去など、様々な事情で手放された動物が保護されています。
ティアハイムで保護された動物のほとんどは新しい飼い主に引き取られ、第二の犬生を幸せに暮らします。

なお、日本のように「決められた期限がきたら殺処分される」ということは一切ありません
一度保護された動物は、自然に寿命を迎えるまでティアハイムが責任を持って面倒を見てくれます
スイスのティアハイムで働く人々はみな動物を心から愛しており、保護動物に対して家族の一員のように接するといいます。

スイスでマイクロチップ装着は義務

スイスでマイクロチップ装着は義務

スイスでは飼い犬へのマイクロチップ装着が義務付けられています。
マイクロチップ装着を推奨する国はありますが、法律で義務付けられているのはスイスだけ
マイクロチップの装着を拒否した場合はアニマルポリスから指導が入り、強制的に犬を取り上げられることもあります。
マイクロチップの装着は無責任な遺棄を防ぎ、迷子になっても身元を確認できる唯一の手段なのです。

対して日本では、マイクロチップ自体の認知度が低いです。
近年、各地の獣医師や保護団体によって少しずつ広がってはいますが、まだまだポピュラーとはいえません。
マイクロチップの装着に関しても義務化されておらず、法的な強制力もないのが現状です。

※令和4年6月1日より、改正動物愛護管理法が施行されました。これにより、ブリーダーやペットショップなどで販売される犬や猫については、マイクロチップの装着が義務化されました。

スイスでは犬が入れない施設のほうが少ない

スイスでは犬が入れない施設のほうが少ない

日本と違い、スイスではほとんどの公共施設に犬を連れて入ることができます
電車やバスは犬用乗車賃を払えばケージなしで乗れ、ホテルでは家族と同じ部屋に泊まれます。
一流と名の付くホテルでも例外なく受け入れてくれるので、一緒に旅行を楽しむこともできるのですね。

介助犬を除き、日本では飲食店に犬を連れて入ることはほぼ不可能です。
対してスイスでは、犬用の水が人用より早く運ばれてくることもあるほど、犬が尊重されています。
犬の権利を徹底的に尊重し、人と同じように扱う姿勢がスイス国民には根付いています。

犬のしつけは徹底するのがスイス流

犬のしつけは徹底するのがスイス流

ほとんどの施設に犬が入れる理由は、スイスの徹底したしつけにあります。
スイスでは犬をしつけるのは当然であり、自主的にドッグスクールに通っています。
無駄吠え・噛み癖はもちろん、散歩中に突然走り出したり、人の食べ物をねだったりする犬はいません。
マナーを守れる犬ばかりだからこそ、レストランやホテル、電車などでも受け入れられるのですね。

ちなみに、スイスの町中には「みどりのポスト」なるものがあります。
これは犬の糞を回収するために設置されており、糞を入れるポリ袋もセットされています。
みどりのポストがあることで町は清潔が保たれ、犬の飼い主への批判がされにくくなるという仕組みです。

ペット先進国「スイス」から学べることはたくさんある

ペット先進国「スイス」から学べることはたくさんある

スイスの国民は動物愛護の意識が高く、世界的にも高い水準を保っています。
ただ、それはスイス民にとって特別なことではなく、あくまで自然に受け入れているもの。
カフェの足元には犬が寝そべっているのが普通ですし、高級ホテルのロビーには当たり前のように犬がいます

ぜひスイスの取り組みから学びを得て、日本も社会全体で犬を大切にできるように変わっていきたいですね。

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