ペット先進国と日本は何が違う?犬を取り巻く環境や法律、税金や殺処分について
長い時を共に暮らしてきた犬と人間ですが、犬との向き合い方は国によって様々。
日本はペット後進国と呼ばれており、ペット先進国に学ぶべきことが非常に多くあります。
今回は、ペット先進国の制度や取り組みを日本のペット事情と比較、日本の現状について解説します。
目次
ペット先進国とは
ペット先進国とは「動物の権利が尊重され、動物愛護の精神が高い国」のことです。
ペット先進国は動物に対する国民の意識が圧倒的に高く、動物に関わる法律が整備されているのが特徴。
子犬の販売ルートや飼育環境、公共施設での扱いなど、ペット先進国には多くの共通点があります。
【主なペット先進国】
- オーストラリア
- ニュージーランド
- スウェーデン
- スイス
- ドイツ
なお、ペット先進国にはアニマルポリスと呼ばれる動物の警察官が存在します。
アニマルポリスは人間の警察と同じ権利を持っており、飼い主に対する指導や取り締まりを行います。
市民の通報を受けたアニマルポリスによって、動物たちは日々権利を守られているのですね。
ペットを迎えるルートの違い
多くのペット先進国では、ペットショップで動物を購入することはできません。
そのため、ペットを飼いたいと思った時は、専門のブリーダーか動物保護施設から迎えるのが一般的。
対して日本の場合、少しずつ里親制度は広まってきているものの、いまだショップからの購入が多いのが現状です。
なお、ペット先進国では、生後8週齢前の販売は一切禁止されています。
幼い時期はペットにとって1番大切な社会化期とされており、ペットが健やかに暮らすために必要な時期だと考えられているのです。
ドイツでは、生後8週齢規則を破った場合、約300万円以下もの罰金を課せられることもあります。
保護施設における殺処分の有無
ドイツやスイス、スウェーデンなどのペット先進国には、殺処分場がありません。
日本のように期限を迎えたら安楽死させる決まりはなく、保護された動物は寿命まで施設内で暮らすか、一般家庭に譲渡されます。
ドイツにあるティアハイムは保護施設の啓蒙やPRも盛んなことから、譲渡率が9割を超えるといわれています。
ちなみに、ティアハイムでは、ペット1頭に付き1部屋が与えられます。
日本の保健所のように、複数の犬が狭い部屋に入れられることは決してありません。
施設内には訓練場や動物病院などが併設されており、犬の健康と安全がしっかりと保証されています。
飼育環境・しつけの考え方
ペット先進国の人々は、犬のしつけに関しても高い意識を持っています。
犬のしつけが出来ていないことは恥ずかしいことであり、飼い主のモラルや常識を疑われるのだとか。
ペット先進国には犬の訓練施設やスクールが複数あるため、子犬の頃からしっかりと躾けられる環境が整っています。
なお、犬は集団で生活する生き物であり、長時間にわたる留守番は負担になります。
ペット先進国には「6時間以上の留守番は禁止」という、日本では考えられないような法律もあります。
法律に違反した場合「犬の生態に合わない生活をさせている」とみなされ、強制的に犬を取り上げられるケースも。
そのためペット先進国では、近所間でのペット預かりやペットシッターが広く浸透しているのです。
【ペット先進国の法律例】
- 外気が○℃を超える場合、車内に犬を放置してはならない
- 1日最低○回、計○時間以上は屋外やドッグランへ連れて行くこと
- 飼育環境の最低面積は犬の体高によって決めなければならない
- ヒモに繋いだままの飼育やケージに入れっぱなしは禁止
街並み・公共施設への立ち入りについて
介助犬をのぞいて、日本では公共交通機関への犬の出入りはできません。
レストランはもちろん、ホテルや旅館などでも犬は立ち入りできないことが少なくないでしょう。
動物のアレルギーや衛生面を考慮し、ケージに入れた状態でもNGとされている場所も多いですよね。
対してペット先進国では、基本的に犬が入れない施設・交通機関のほうが珍しいです。
ペット=家族の一員という意識が強いため、周りの人々は犬がいることを当たり前に思っているのです。
犬税・マイクロチップ装着義務など
ヨーロッパのペット先進国には「犬税」という税金制度があります。
徴収した犬税は、街中にあるウンチポストの設置・ゴミ回収費用などに使われています。
犬税の金額は犬のサイズや犬種によって異なり、飼育頭数が増えるほど税金額も上がるシステムです。
また、ペット先進国では、ペットへのマイクロチップ装着が推奨・義務付けられています。
マイクロチップ装着は日本でも行われていますが、その認知度はペット先進国と比べ物にならないほど低いです。
マイクロチップに関する誤った情報を持っている人も多く、現状では十分に広まっているとはいえません。
※令和4年6月1日より、改正動物愛護管理法が施行されました。これにより、日本でもブリーダーやペットショップなどで販売される犬や猫については、マイクロチップの装着が義務化されました。
ペット先進国は犬を社会の一員として考えている
ペット先進国と日本では、ペットの飼育環境や考え方が全く異なります。
人の都合に合わせて犬を飼うのではなく、犬の権利を尊重しているのがペット先進国の共通点です。
一度にすべてを変えるのは難しいですが、ペット先進国に見習うべきことはたくさんあります。
飼い主一人一人がペットとの暮らしを見直すことで、今よりもっとペットに優しい国が作れるはず。
愛犬家はもちろん、犬を飼っていない人も暮らしやすい日本にできたら良いですね。