短足犬代表2犬種!ダックスフンドやコーギーの足が短い理由とは
短足の犬といえば、ダックスフンドやウェルシュコーギーを思い浮かべる方が多いですよね。
いわゆる短足犬は他の犬種にはない独特の魅力があり、日本でも数多くの家庭で家族の一員として愛されています。
そこで今回は、短足犬の代表犬種「ダックスフンド」と「ウェルシュコーギー」の足が短い理由について解説したいと思います。
目次
短足犬は選択交配を行い、誕生した犬種
代表的な短足犬といえば、ダックスフンドやウェルシュコーギーです。
この2犬種は昔から使役犬として活躍しており、時代とともに胴長短足の体型に改良されてきました。
よりスムーズに仕事ができるよう、目的に合わせた「選択交配」を行なった結果、誕生しました。
なお、なかには使役目的ではなく、愛らしさを追求した結果で短足になった犬種も存在します。
例えばペキニーズは完全な愛玩犬ですが、ダックスフンドやウェルシュコーギーと同じく足が短いですよね。
短い手足は未熟さやアンバランスさを感じさせ、人の庇護欲を掻き立てるといわれています。
つまり、人間の赤ちゃんを見た時と同じ「可愛い・守ってあげなきゃ」という気持ちを、短足犬は引き出すことができるのです。
初めから愛玩犬として生まれたペキニーズは、これらの特性を持たせるために誕生したと考えられます。
ダックフンドの足が短い理由は「獲物の巣穴に潜り込みやすくする」ため
ダックスフンドの足が短い理由は、獲物の巣穴に潜り込みやすくするためです。
ダックフンドは元々狩猟犬で、主にアナグマやキツネ、ウサギなどを狩っていました。
これらの生き物は地面の下に巣穴を掘る習性があり、犬に追われると巣穴に逃げ込んで身を隠します。
獲物に逃げられないためには、細くて狭い巣穴の中に入り込める体が必要だったのです。
ダックスフンドの歴史を見ると、偶然生まれた胴長短足の犬を選択繁殖させてきたことが分かります。
胴長短足の個体同士で交配させることによって、生まれてくる子犬も遺伝的に同じような体型になるからですね。
なお、うさぎなど小さい巣穴にも入り込めるように、体の小さい個体同士を交配させて小型化も行われました。
ウェルシュコーギーの足が短い理由は「家畜に後ろ蹴りされない」ため
一方、ウェルシュコーギーの足が短い理由は、家畜に蹴られないようにするためです。
ウェルシュコーギーは元々牧羊犬で、牛や羊、ポニーなどを追う仕事をしていた犬種です。
普段は牧場から家畜が逃げないよう管理し、他の牧場の家畜が迷い込んできた時は、元の場所に追い返していました。
ただし、コーギーの誘導は家畜のかかとを噛んで行うため、驚いた家畜が足を振り上げると蹴られてしまう危険性があります。
そこで手足を短く改良し、体高を低くすることで、家畜が足を振り上げる前に腹の下に上手く入り込めるようにしたのです。
また、手足を短くすることで小回りが利き、より速く家畜を誘導できるようになりました。
スムーズに家畜を追うためには、できるだけ速く走ったり、急な方向転換にも対応しなければなりません。
そこで、中型犬のサイズを保ちつつ、素早い動きで家畜を追うために、ウェルシュコーギーは足だけを短く改良されたのですね。
犬の足が短くなるのは遺伝子の変異によるもの
そもそも、どうやってダックスフンドやウェルシュコーギーの足は短くなるのでしょうか?
その理由は、短足の犬種が「FGF4」という細胞増殖因子タンパク質を他の犬種よりも多く持っているからです。
この遺伝子が多いと、成長を促すタンパク質が過剰に生産されるため、成長期の早い段階で骨の伸長がストップします。
つまり、ダックスフンドやウェルシュコーギーの短い手足は、ひとつの遺伝子変異によって起こっているのです。
この遺伝子変異は、ある時たまたま出現したと考えられています。
人間がその特徴に魅力を感じ、選択的に交配させたことで、現在の短足犬はできたのですね。
ちなみに、犬の足を短くする要因が判明したことは、当時販売されたアメリカの科学誌「サイエンス」にも掲載されました。
足が短い犬は腰痛に注意すること
ダックスフンドやウェルシュコーギーなどの短足犬は、軟骨に異常を持って生まれてきます。
そのため、他の犬種に比べて腰痛を感じやすく、椎間板ヘルニアを起こすリスクが高いといえるでしょう。
短足犬にとって腰のトラブルは宿命ともいえるため、腰にできるだけ負担がかからない生活をさせることが大切です。
具体的な予防策としては、階段の上り下りは極力避けること。
抱っこの際は腰が反らないように注意し、床にはふんばりがききやすいよう、滑り止めマットを敷きましょう。
肥満は腰に負担をかけるので、適正体重をオーバーしないよう体重管理は厳しく行ってください。
食べ物の催促など、後ろ足でピョンピョン跳ねさせることも避けたほうが良いです。
犬種によって足が短い理由は違っている
ダックスフンドとウェルシュコーギーは、どちらも短足で知られる犬種です。
短足になった理由はそれぞれ異なるものの、足を短くする因子はどちらも同じことが分かっています。
短足なことで生活上気をつけるべきことはいくつかありますが、そのぶん他の犬種には無い魅力もたくさん持っているのが短足犬。
2犬種がこれまで使役犬として活躍してきた功績に思いを馳せ、可愛い愛犬との暮らしを楽しんでくださいね。