キャバリアがかかりやすい6つの病気。症状や治療法、治療費の相場について
イギリス王室から愛されてきたキャバリアは、見た目の優雅さや性格の良さから人気が高い犬種です。
ここでは、そんなキャバリアがかかりやすい病気と症状、一般的な治療法と治療にかかる費用について解説します。
病気の進行具合や動物病院によっても費用は変わりますが、大体の相場感を知っておきましょう。
目次
6歳以上のキャバリアの6割が発症「僧帽弁閉鎖不全症」
心臓の左心房と右心房の間にある僧帽弁が何らかの原因で閉まらなくなり、血液の一部が逆流してしまう病気です。
僧帽弁閉鎖不全症は初期ではほとんど症状がなく、飼い主が気付いた時には状態がかなり進行していることも多いでしょう。
キャバリアは遺伝的に僧帽弁閉鎖不全症を起こしやすく、早くて生後1~2年頃、6歳以上は6割以上の犬が発症するといわれています。
根治を目指すのであれば外科手術が必要になりますが、非常に高い技術と専門的な設備、高額な治療費がかかります。
主な症状 | 初期ではほとんど無症状、進行すると咳、心雑音、失神、チアノーゼ、呼吸困難など |
治療法 | 利尿剤や血管拡張剤・心臓の働きを助ける強心薬・気管支拡張剤の投与、抗生物質の投与、酸素吸入、外科手術 |
治療費 | 3~4万円程度(診察、検査、内服薬代として)※外科手術の場合は100~120万円程度が相場 |
無症状の場合も多い「脊髄空洞症」
先天性・後天性の原因で脊髄内に空洞ができ、その中に脳脊髄液が過剰に溜まることで脊髄が圧迫されます。
症状は主に手足に現れることが多いですが、初期では無症状の場合も多く、空洞の部位によってはそのまま進行しないこともあります。
治療には主に内科的治療によって症状の軽減を目指しますが、重度の麻痺がある場合は外科手術を勧められることもあるでしょう。
主な症状 | 首、体幹部をひっかく、手足を過剰に舐める、跛行、片足を地面に付けない、四肢の麻痺、首の側弯、痙攣など |
治療法 | 消炎鎮痛剤や脳脊髄液産生抑制剤、ステロイド剤の投与、後頭骨の部分切除や脳脊髄液を排出するための管を設置する手術 |
治療費 | 3~6万円程度(診察、検査、内服薬(月に1~2万円程度)代として) |
小型犬に多い「水頭症」
脳や脊髄内を満たしている脳脊髄液が、何らかの原因で増えてしまうことで起こる病気です。
原因には先天性・後天性の両方があり、脳脊髄液が過剰に溜まることで脳が圧迫され、様々な症状が現れます。
発症した場合、まずは内服薬を用いた内科的治療を行いますが、改善がみられない時は外科手術を行うこともあります。
主な症状 | けいれん発作、麻痺、斜視、眼球振とうなどの神経障害、運動障害、視力障害など |
治療法 | 利尿剤やステロイド剤の投与、脳脊髄液を抜く処置、チューブを用いて脳脊髄液を腹部に移す外科手術 |
治療費 | 5万円程度(診察、検査、内服薬代として)※外科手術の場合は30~50万円程度が相場 |
ドライアイでおなじみ「乾性角結膜炎」
目の表面部分が乾燥し、角膜と結膜に炎症が起きている状態のことで、ドライアイとも呼ばれています。
正常な犬の眼は「涙膜」という薄い涙の層で覆われていますが、乾性角結膜炎の場合は涙膜を維持することができません。
治療は点眼薬を使って行うことがほとんどですが、重症の場合は耳下腺管を結膜に移植して涙の代替とします。
主な症状 | 結膜が濁る、出血、目ヤニ、角膜に穴が開く、まぶたがくっつく、失明(重度の場合)など |
治療法 | 人口涙液や免疫抑制剤の点眼薬を投与、副交感神経を刺激する内服薬の投与、軟膏の塗布、外科的手術 |
治療費 | 1万円程度(診察、検査、点眼薬、軟膏、内服薬代として)※外科手術の場合は別途費用がかかる |
鼻ぺちゃな犬種にみられる「短頭種気道症候群」
生まれつき気道が狭く、呼吸の通りが悪くなりやすい短頭種にみられる呼吸器系症状の総称です。
短頭種気道症候群を引き起こす病気としては、鼻腔狭窄や軟口蓋過長症など様々なものがあり、いずれも短頭種のリスクは高め。
肥満は短頭種気道症候群の発症リスクを高めるため、キャバリアのように太りやすい体質の犬種は特に注意が必要です。
主な症状 | ガーガーというアヒルのような呼吸音、いびき、呼吸時に鼻水が出る、少しの運動で息が上がる、呼吸困難など |
治療法 | 投薬、一時的な呼吸困難に対する酸素吸入、外科手術(鼻孔拡張術や軟口蓋切除術など) |
治療費 | 5~15万円程度(診察、検査、手術、入院代として) |
失明の危険性がある「白内障」
遺伝や老化、外傷などが原因で目の奥にある水晶体が濁ってしまい、視力が低下する病気です。
発症しても痛みはありませんが、進行するほど視野が狭くなるため、壁や障害物にぶつかりやすくなるなどの症状が現れます。
症状の進行は点眼薬によって抑えることができますが、根治には人工水晶体の移植など外科手術が必要です。
主な症状 | 目が白く見える、モノにぶつかることが増える、散歩に行きたがらなくなる、物音に敏感になるなど |
治療法 | 進行を遅らせる点眼薬の投与、外科手術(人工水晶体の移植手術、眼内レンズ挿入術) |
治療費 | 1万円程度(診察、検査代として)点眼薬代は月に5千円ほど。外科手術の場合は20~25万円程度が相場 |
異変を感じた時はすぐに動物病院を受診しよう
キャバリアがかかりやすい病気には遺伝性のものが多く、予防するのは難しいかもしれません。
遺伝性の病気の多くは完治が難しいといわれているため、早期発見・早期治療で出来る限り症状の進行を抑えることが大切です。
愛犬の様子に異変を感じた場合には、できるだけ早くかかりつけの動物病院で相談するようにしましょう。