フレンチブルドッグがかかりやすい7つの病気。症状や治療法、治療費の相場について
つぶれた鼻と四角い顔が魅力のフレンチブルドッグは、短頭種の中でも人気が高い犬種です。
ここではフレンチブルドッグがかかりやすい病気と症状、一般的な治療法と治療にかかる費用について解説します。
病気の進行具合や動物病院によって治療費は変わりますが、大体の相場感を知っておきましょう。
目次
短頭種に多い先天性疾患「鼻腔狭窄症」
生まれつき鼻の中(鼻腔)が狭いために呼吸が十分にできず、いびきをかいたり、呼吸困難を起こしたりする病気です。
この病気はフレンチブルドッグをはじめとする短頭種に多く発症しますが、かなり悪化するまで気づかれにくいのが特徴です。
治療はレーザー治療による鼻腔の拡大が一般的で、若いうちに治療すれば96%以上の確率で症状の改善が期待できます。
主な症状 | 少しの運動でガーガーと息が上がる、暑くもないのにハァハァと呼吸が荒いなど |
治療法 | レーザー治療による鼻腔の拡大、酸素吸入(一時的な呼吸困難に対して) |
治療費の相場 | 5~15万円程度(診察、検査、手術、入院代として) |
食後の吐き戻しが特徴的な「軟口蓋過長症」
生まれつき軟口蓋(上あごの奥にある柔らかい部分)が長いために、空気の通り道が狭くなってしまう病気です。
愛犬が食事中に「ガァッ」と大きな音を出したり、吐き戻しが多かったりする場合は、軟口蓋過長症を疑うべきかもしれません。
なお、食事中にむせる理由は通常よりも軟口蓋が長く分厚いことで、フードと一緒に軟口蓋が気道に侵入しやすいためです。
主な症状 | 寝ている時によくいびきをかく、少しの運動で息が上がる、食事中にむせるなど |
治療法 | レーザー治療による垂れ下がった軟口蓋の切除 |
治療費の相場 | 5~15万円程度(診察、検査、手術、入院代として) |
親からの遺伝が多い「眼瞼内反症(逆さまつげ)」
まぶたのフチが内側にめくれてしまう病気で、まぶた周りの毛が眼球に触れることで炎症を引き起こします。
軽度であれば、眼球に触れているまつげを抜いたり、点眼薬を使用したりすることで改善することが多いでしょう。
なお、根本的な完治を目指すのであれば、外科手術によってまぶたの矯正を行う必要があります。
主な症状 | 目の痛み、不快感、痒み、流涙、目ヤニ、角膜炎、結膜炎など |
治療法 | 眼球に触れているまつげを抜く、点眼薬で目を保護する、まぶたを矯正する外科手術 |
治療費の相場 | 5千~1万円円程度(診察、検査、処置、点眼薬代として)※外科手術の場合は15~20万円程度が相場 |
ブドウ球菌が原因で起こる「膿皮症」
免疫力の低下などが原因でブドウ球菌などの細菌が異常繁殖し、脱毛や湿疹、皮膚のべたつきなどがみられる病気です。
フレンチブルドッグは生まれつき皮脂腺が大きく、かつ皮膚がデリケートなため、膿皮症をはじめとする皮膚病にかかりやすい犬種です。
細菌の増殖を防ぐためには、普段から生活環境を清潔に整えておき、こまめなシャンプーで皮膚を健康に保つことが大切です。
主な症状 | 湿疹、赤み、痒み、脱毛、フケなど |
治療法 | 抗生剤や消炎剤の投与、薬用シャンプーを用いた薬浴、患部の毛刈り |
治療費の相場 | 1~2万円程度(診察、検査、内服薬、外用薬、薬用シャンプー代として) |
夏場は要注意!「熱中症」
高温多湿の場所に長時間いることで、様々な症状があらわれる病気です。
フレンチブルドッグのような短頭種は呼吸によって体温を下げるのが苦手で、熱中症にかかりやすい犬種といえます。
重症の場合は、後にショック症状や脳炎を起こす可能性があるため、2~3日入院して状態を管理することもあるでしょう。
主な症状 | よだれが多い、ぐったりしている、呼吸が荒い、ふらつき、嘔吐・下痢、痙攣など |
治療法 | 濡らしたタオルや氷などで体温を下げる、脱水を補うための点滴治療、ステロイド剤の投与 |
治療費の相場 | 5千~1万円程度(診察、処置代として)※入院の場合は1日につき5千~1万円程度が追加される |
ヒザが外れる「膝蓋骨脱臼(パテラ)」
後ろ足の膝蓋骨(膝のお皿)が外れてしまい、脱臼している状態のことです。
膝蓋骨脱臼は小型犬に多く、大腿骨の溝が先天的に浅かったり、膝蓋骨を支える靱帯の力が弱いことで発症します。
軽度のうちは痛み止めやサプリなど内科的治療を行うのが一般的ですが、悪化した場合は手術が必要です。
主な症状 | 足をかばって歩く、跛行(足を引きずるような歩行)、内股歩きなど |
治療法 | 鎮痛剤の投与、グルコサミンなど関節サプリの服用、レーザー治療、外科手術 |
治療費の相場 | 1~2万円程度(診察、検査、内服薬代として)※外科手術の場合は片足10~40万円程度が相場 |
発症原因は様々「白内障」
遺伝や老化、外傷などが原因で目の奥にある水晶体が濁ってしまい、視力が低下する病気です。
発症しても痛みはありませんが、進行するほど視野が狭くなるため、壁や障害物にぶつかりやすくなるなどの症状が現れます。
症状の進行は点眼薬によって抑えることができますが、根治には人工水晶体の移植など外科手術が必要です。
主な症状 | 目が白く見える、モノにぶつかることが増える、散歩に行きたがらなくなる、物音に敏感になるなど |
治療法 | 進行を遅らせる点眼薬の投与、外科手術(人工水晶体の移植手術、眼内レンズ挿入術) |
治療費の相場 | 1万円程度(診察、検査代として)点眼薬代は月に5千円ほど。外科手術の場合は20~25万円程度が相場 |
異変を感じた時はすぐに動物病院を受診しよう
フレンチブルドッグは呼吸器系の疾患になりやすく、夏場は熱中症にも注意する必要があります。
また、皮膚がデリケートで皮膚病を起こしやすい犬種でもあるため、こまめに皮膚の状態はチェックするようにしましょう。
愛犬の様子に異変を感じた場合には、できるだけ早くかかりつけの動物病院で相談するようにしてくださいね。