犬がいびきをかく6つの理由と対処法、かきやすい犬種について
愛犬がいびきをかいて寝ている姿…。
何とも幸せそうで微笑ましく、いつまでも眺めていたくなる光景ですよね。
しかし、実は犬のいびきには体からの様々なサインが隠されており、放っておくと病気の原因になることも。
愛犬がいびきをかいている本当の理由を知って、病気の早期発見や今後の体調管理に役立てましょう。
今回は、犬がいびきをかく6つの理由と対処法、危険ないびきの見極め方など、犬のいびきについてご紹介します。
目次
犬のいびきの仕組みとは
私たち人間と同じように、犬は呼吸をする時に口や鼻で空気を吸い込みます。
吸い込んだ空気は喉や気管などの上気道(※)を通って肺の中に入り、古い空気と交換されます。
犬のいびきは、空気の通り道が何らかの理由で狭くなり、粘膜が振動することで起こります。
つまり「犬のいびきは、空気がスムーズに通過できなくなっている証拠」といえます。
また、上あごの奥にある軟口蓋という膜状の組織が生まれつき長いと、呼吸をするたびにガーガーといびきのような音が鳴ります。
軟口蓋は食べ物が鼻に逆流しないようにする重要な役割を持っていますが、ノドの奥に入るほど長い場合は呼吸不全を起こしてしまうのです。
そのため、軟口蓋が原因で食べ物を飲み込みづらかったり、頻繁にえづくような素振りをしたりする犬は、いびきをかきやすいといえるでしょう。
上気道
鼻から入った空気が肺に入るまでの道のりのことで、気管や気管支は含まれない。
鼻から鼻腔、鼻咽腔、咽頭(鼻から食道に繋がる部分)、喉頭(のどぼとけがある部分)が上気道に分類される。
犬がいびきをかく6つの理由
犬種
生まれつき軟口蓋が長かったり、空気の通り道の一部が曲がっていたりする犬種は、いびきをかきやすい傾向があります。
また、他の犬種では明らかに異常と思えるような呼吸音でも、犬種によっては正常の範囲内という場合もあります。
太っている
ノドの周辺に脂肪がつくと、空気の通り道が狭くなっていびきが出やすくなります。
肥満体型の犬に多い仰向けの寝姿は舌が気道を塞いでしまうため、いびきをかきやすい姿勢といえるでしょう。
歳をとって筋肉が衰えた
手足の筋肉と同じように、喉や首周りの筋肉も歳をとるごとに衰えていきます。
そのため、今までいびきをかいたことのなかった犬が、シニアになってからいびきをかくようになることもあります。
たばこの煙や花粉に反応している
たばこの煙や花粉は犬にとって刺激物であり、鼻の中にある敏感な粘膜を傷つけてしまいかねません。
粘膜が傷つけられると鼻は防御反応として鼻水をたくさん分泌するため、結果的に空気の通り道が狭くなってしまいます。
薬の副作用
抗生剤や精神を安定させる薬の中には、筋肉の動きを緩める作用を持つものがあります。
呼吸は筋肉の収縮と弛緩の繰り返しによって行われますが、薬の副作用によって筋肉が弛緩しやすくなるのです。
睡眠中はただでさえ筋肉が弛緩しやすいため、いびきや無呼吸を起こす可能性が上がるといわれています。
炎症や病気
気管や鼻などの上気道に異常があると、いびきが出やすくなります。
炎症や病気が原因でいびきをかいている場合は、次第にいびき以外の症状も現れるようになります。
急にいびきをかくようになったり、明らかにいびきがうるさくなったら、かかりつけの獣医師に相談しましょう。
いびきが出る主な病気
- 心臓病
- 気管虚脱
- 鼻腔狭窄
- アレルギー
- 軟口蓋過長症
いびきをかきやすい犬種は?
いびきをかきやすい代表犬種といえば、まずはパグやフレンチブルドッグなど鼻のつぶれた短頭種があげられます。
短頭種は鼻から鼻腔までの通り道がもともと狭いため、普通に生活しているだけでもいびきのような音が鼻から出ています。
そのため、他の犬種にくらべて寝ている時にいびきをかく頻度も高く、子犬の頃からいびきをかいていることも多いでしょう。
また、大型犬のうち下唇が垂れているレトリバー系の犬種は軟口蓋が生まれつき長い傾向があるため、そのぶんいびきもかきやすいといえます。
ちなみに、以外と知られていないのですが、実はトイプードルやポメラニアンなどもいびきをかきやすい犬種といわれています。
小型犬は鼻から肺までの距離が短く、空気の通り道である鼻道が曲がっていることで気管が圧迫されて、呼吸が苦しくなりやすい犬種です。
気管虚脱などの病気や生まれつきの疾患がなければ大きな問題になることはありませんが、いびきをかきやすい犬種といえるでしょう。
いびきをかきやすい犬種
短頭種 | パグ、フレンチブルドッグ、シーズー、チン、ブルドッグなど |
大型犬 | セントバーナード、ラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバーなど |
トイ種 | トイプードル、ポメラニアン、マルチーズ、チワワなど |
危険ないびきはその他の症状から見極めよう
犬がいびきをかいているからといって、必ず何か問題があるというわけではありません。
ただし、いびきは隠れた病気のサインであることもあるため、普段と違う様子がないかどうか注意してください。
いびきがどんどん悪化している場合や、食欲不振に加え散歩中の息切れがひどくなるようなら、動物病院で診察を受けましょう。
あらかじめ実際のいびきの様子を動画に撮っておくと、獣医師に正確な状態が伝わりやすくなるのでオススメです。
いびき対策は原因に合ったものを
肥満が原因でいびきをかいている場合は、ダイエットして首回りの脂肪を落とすことが重要です。
ドライフードの量を調整したり、カロリーの低いウェットフードを上手に利用して、無理なくダイエットしましょう。
また、たばこの煙がいびきを引き起こしている場合は空気清浄器を設置し、犬のよく過ごす場所でたばこを吸わないようにするのが効果的です。
どうしてもいびきがなくならない場合は、体勢を横向きに変えてあげると空気の通り道が広がり、いびきも比較的収まりやすくなります。
いびき対策を行う時は、できるだけ愛犬のいびきの原因に合った対処法から順番に試すようにしてくださいね。