犬の混合ワクチン接種ガイド!種類や予防できる病気について
あなたは、混合ワクチンで予防できる病気が種類によって違うことを知っていますか?
犬の混合ワクチンには2種から11種までの10種類がありますが、違いについて詳しく知っている方は少ないと思います。
混合ワクチンの接種は大切な家族の命を守るために必要不可欠であり、犬の飼い主として最低限のマナーともいえる重要なもの。
予防できる病気や種類ごとの違いを知って、愛犬にぴったりの混合ワクチンを選びましょう。
目次
そもそも混合ワクチンって一体なに?
毒性を弱めたウイルスや細菌を接種することで体内に抗体を作り、特定の感染症を予防できる薬液のことをワクチンといいます。
犬のワクチンのうち、法律で義務付けられているのは狂犬病ワクチンのみで、混合ワクチンの接種は飼い主さんが任意で受ける感染症予防です。
また、混合ワクチンはコアワクチンとノンコアワクチンを組み合わせて構成されており、1度の接種で複数の病気に対する免疫をつけることができます。
コアワクチン
致死率が高いため、生活環境にかかわらず全ての犬への接種が推奨されているワクチンです。
コアワクチンで予防できる感染症は世界中で広く流行しており、感染すると嘔吐や下痢など重篤な症状を引き起こします。
主に、体力のない子犬やシニア犬が感染すると命にかかわるような病気や人獣共通感染症が分類されています。
ノンコアワクチン
住んでいる地域や環境によって「感染するリスクが高い」と思われる犬に推奨されているワクチンです。
コアワクチンで予防できる病気に比べて感染率は低いとされていますが、他の感染症と一緒に発症することで致死率が高まります。
混合ワクチンで予防できる感染症
パルボウイルス感染症
血の混じった下痢や激しい嘔吐を起こす致死率の高い病気で、特に生後数週間の子犬が感染します。
ジステンパーウイルス感染症
発熱から始まり、下痢やけいれんなどの神経症状を起こす致死率の高い病気です。
はじめは一過性の熱が出てすぐに下がりますが、再び熱が出ると急激に状態が悪化します。
犬伝染性肝炎(アデノウイルスⅠ型)
目ヤニや食欲不振、下痢などの症状がしばらく続き、次第に黄疸や嘔吐が見られるようになります。
犬伝染性喉頭気管炎(アデノウイルスⅡ型)
ケンネルコフとも呼ばれる病気で、気管が圧迫されているような咳が特徴です。
致死率は高くありませんが、重症化すると、食欲不振・発熱・咳による吐き気・呼吸困難を引き起こします。
犬レプトスピラ感染症
発熱や食欲不振、嘔吐などの症状がみられ、重症化すると腎不全や肝不全を引き起こして死に至ります。
レプトスピラは主にネズミなど野生動物の排泄物から感染し、様々な種類(血清型)があるのが特徴的です。
犬コロナウイルス感染症
血の混じった下痢や嘔吐など激しい胃腸症状が出る病気で、パルボウイルス感染症と併発することで致死率が高まります。
犬パラインフルエンザウイルス感染症
咳や鼻水・発熱など風邪のような症状がみられるため、犬風邪とも呼ばれている病気です。
単独感染での致死率は高くありませんが、他の感染症と併発すると症状が悪化しやすくなります。
混合ワクチンの種類は全部で10種類
混合ワクチンはどの種類を選ぶかによって、予防できる病気が異なります。
予防できる病気 | 2種 | 3種 | 4種 | 5種 | 6種 | 7種 | 8種 | 9種 | |
コア ワクチン |
犬ジステンパーウイルス感染症 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
犬パルボウイルス感染症 | ● | - | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |
犬伝染性肝炎 | - | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |
犬伝染性喉頭気管炎 | - | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |
ノンコア ワクチン |
犬パラインフルエンザウイルス感染症 | - | - | - | ● | ● | ● | ● | ● |
犬コロナウイルス感染症 | - | - | - | - | ● | - | ● | ● | |
レプトスピラ感染症 | - | - | - | - | - | 2種 | 2種 | 3種 |
2種 | 3種 | 4種 | 5種 | 6種 | 7種 | 8種 | 9種 | |
予防できる病気 | ||||||||
コア ワクチン |
犬ジステンパーウイルス感染症 | |||||||
● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |
犬パルボウイルス感染症 | ||||||||
● | - | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |
犬伝染性肝炎 | ||||||||
- | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |
犬伝染性喉頭気管炎 | ||||||||
- | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |
ノンコア ワクチン |
犬パラインフルエンザウイルス感染症 | |||||||
- | - | - | ● | ● | ● | ● | ● | |
犬コロナウイルス感染症 | ||||||||
- | - | - | - | ● | - | ● | ● | |
レプトスピラ感染症 | ||||||||
- | - | - | - | - | 2種 | 2種 | 3種 |
7種以上はレプトスピラ感染症の血清型(イクテオヘモラジー・カニコーラ・コペンハーゲニー・ヘプトマディス・オータムナリスなど)が追加されます。
どの血清型が追加されるかは混合ワクチンのメーカーによって異なります。
混合ワクチンは生活スタイルに合ったものを選ぼう
混合ワクチンを接種する時は、愛犬の飼育環境や生活スタイルから最適な種類を選びましょう。
混合ワクチンは数字が大きくなるほど予防できる病気も増えますが、そのぶん体にかかる負担も上がります。
混合ワクチンの種類を選ぶ時のポイント
- 室内犬かどうか
- 体力があるかどうか
- アレルギー体質かどうか
- 暖かい地域に住んでいるかどうか
- 散歩やアウトドアで山に行くことがあるか
よく一緒にアウトドアに行ったり、ネズミやリスが多い地域に住んでいたりする場合は、レプトスピラ症を予防しなければいけません。
ただし、レプトスピラには多くの種類(血清型)があり、ワクチンに含まれる血清型によっては予防効果がないものもあります。
混合ワクチンの種類を選ぶ時は、かかりつけの獣医師に生活スタイルを相談してから決めるようにしましょう。
混合ワクチンは毎年接種しなければいけない?
混合ワクチンの接種は、毎年必ず受けなければいけないというわけではありません。
実際アメリカでは「ワクチン接種による抗体は3~5年残る」という研究結果から、3年おきの接種が推奨されています。
ただし、日本の犬の混合ワクチン接種率は海外にくらべて圧倒的に低いため、いつ危険なウイルスが蔓延してもおかしくありません。
致死率の高いウイルスが一気に流行した場合、ワクチンの製造が追いつかずに動物病院のワクチン在庫数が足りなくなることも考えられます。
万が一病気が流行した時でも大丈夫なように、やはり混合ワクチンの接種は不可欠です。
副作用が起こる可能性など色々な不安もあるかもしれませんが、まずは混合ワクチンについて正しい知識をつけましょう。
愛犬の体にワクチンの抗体が残っているかどうかは、動物病院で抗体価検査をすれば確認することができますよ。