ポメラニアンがかかりやすい6つの病気。症状や治療法、治療費の相場について

ポメラニアンがかかりやすい6つの病気。症状や治療法、治療費の相場について

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愛くるしいぬいぐるみのような容姿で、圧倒的な人気を誇るポメラニアン。
比較的丈夫で病気になりにくいとされているポメラニアンですが、小型犬特有の病気や遺伝性疾患には注意が必要です。
今回は、そんなポメラニアンがなりやすい病気の症状や治療法、治療費の目安について解説します。

呼吸困難を起こす「気管虚脱」

呼吸困難を起こす「気管虚脱」

肺への空気を出し入れする「気管」がつぶれ、正常に空気が流れなくなる病気です。
気管がつぶれてしまうと、運動時はもちろん、安静時の呼吸も努力が必要になり、重症の場合は呼吸困難を起こします。
気管虚脱のはっきりした原因は分かっていませんが、遺伝や肥満、老化などが深く関わっているといわれています。

主な症状 「ガーガー」というアヒルのような喉鳴り、咳、呼吸困難、チアノーゼ、失神など
治療法 気管拡張剤や鎮咳薬などの投与、酸素吸入、つぶれた気管の周りに補強材を巻く手術、気管拡張手術
治療費 1~2万円程度(診察、検査、内服薬代として)※外科手術を行う場合は内容によって10~70万円程度かかる

小型犬にとても多い「膝蓋骨脱臼(パテラ)」

小型犬にとても多い「膝蓋骨脱臼(パテラ)」

後ろ足の膝蓋骨(膝のお皿)が外れてしまい、脱臼している状態のことです。
膝蓋骨脱臼は小型犬に多く、大腿骨の溝が先天的に浅かったり、膝蓋骨を支える靱帯の力が弱いことで発症します。
軽度のうちは痛み止めやサプリなど内科的治療を行うのが一般的ですが、悪化した場合は手術が必要です。

主な症状 足をかばって歩く、跛行(足を引きずるような歩行)、内股歩き、四肢の麻痺など
治療法 鎮痛剤の投与、グルコサミンなど関節サプリの服用、レーザー治療、外科手術
治療費 1~2万円程度(診察、検査、内服薬代として)※外科手術の場合は片足10~40万円程度が相場
小型犬に多いパテラ(膝蓋骨脱臼)ってどんな病気?原因や症状、治療費について

小型犬に多いパテラ(膝蓋骨脱臼)ってどんな病気?原因や症状、治療費について

パテラ(膝蓋骨脱臼)とは、何らかの原因で膝のお皿が外れてしまう病気のことです。パテラ(膝蓋骨…

水を大量に飲む「副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)」

水を大量に飲む「副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)」

副腎皮質ホルモンが過剰に分泌されることで犬の体に悪影響が出る病気で、ポメラニアンは好発犬種とされています。
主な原因は、下垂体の腫瘍化などによる副腎皮質刺激ホルモンの過剰分泌・副腎腫瘍・ステロイド剤の副作用の3つが挙げられます。
副腎皮質機能亢進症は、糖尿病など様々な合併症を併発するリスクがあり、場合によっては命に関わることもあります

主な症状 多飲多尿、お腹の膨れ、左右対称性の脱毛、皮膚の黒ずみ、呼吸が早い、動きが鈍くなるなど
治療法 ホルモン分泌を抑える薬を投与、ステロイド剤の中止、外科手術による腫瘍の切除(副腎や脳下垂体の腫瘍が原因の場合)
治療費 月に1~2万円程度(診察、検査、内服薬代として)※入院を伴う場合は最大7万円程度、外科手術は15~25万円程度が相場

原因不明の脱毛症「アロぺシアX」

原因不明の脱毛症「アロぺシアX」

別名ポメラニアン脱毛症とも呼ばれるほど、ポメラニアンの発症率が高い皮膚病です。
原因は分かっていませんが、メスよりもオスに多いことから、性ホルモンが関係していると考えられています。
確定的な予防や治療法はないものの、痒みや痛みなども全くないため、この疾患が原因で犬のストレスとなることはありません。

主な症状 左右対称性の脱毛(主に頭部や四肢)、毛艶の悪化、被毛のパサつきなど
治療法 ホルモン剤の投与、サプリメント投与、薬浴、ホルモン異常の解消目的で去勢避妊手術など
治療費 3~7万円程度(診察料、血液検査など各種検査、ホルモン剤、サプリメント、薬用シャンプー代として)
偽クッシング症候群(アロペシアX)ってどんな病気?原因や症状、治療法について

偽クッシング症候群(アロペシアX)ってどんな病気?原因や症状、治療法について

偽クッシング症候群とは、ホルモン疾患であるクッシング症候群によく似た症状がみられる病気のこと…

涙が止まらなくなる「流涙症・鼻涙管閉塞」

涙が止まらなくなる「流涙症・鼻涙管閉塞」

被毛やゴミによって目に刺激があったり、涙の通り道である「鼻涙管」が狭いことで発症する病気です。
命にかかわる病気ではありませんが、通常より多くの涙が出ることで目周囲の毛が変色し、細菌が繁殖しやすくなります。
鼻涙管が完全に閉塞している場合には、全身麻酔下で涙管に細い管を通し、内部を洗浄することもあります。

主な症状 目周囲の被毛が変色する(涙やけ)、細菌感染による皮膚炎など
治療法 目周囲の被毛カット、定期的な点眼、抗生剤の投与、鼻涙管の洗浄、療法食治療
治療費 3千円程度(診察、検査、処置、点眼薬代として)

小型犬が先天的に発症しやすい「水頭症」

小型犬が先天的に発症しやすい「水頭症」

脳内を満たす脳脊髄液が過剰に分泌され、脳が圧迫されることで起こる病気です。
事故や病気によって発症することもありますが、ほとんどは遺伝(生まれつき)によって起こります。
外科手術では高度な技術と専門の設備が必要になるため、犬の症状によって適切な方法を選ぶ必要があります。

主な症状 目が飛び出る、頭がドーム型に腫れている、手足の麻痺、視力障害、痙攣発作など
治療法 脳圧を下げるための利尿剤やステロイド薬の投与、頭部に針を刺して脳脊髄液を抜く、脳内に弁を設置する外科手術
治療費 5万円程度(診察、検査、内服薬代として)※外科手術の場合は片足20~40万円程度が相場
小型犬がかかりやすい水頭症ってどんな病気?原因や症状、好発犬種や治療法について

小型犬がかかりやすい水頭症ってどんな病気?原因や症状、好発犬種や治療法について

水頭症は小型犬がかかりやすい病気と言われていますが、中でもトイ犬種と短頭種に多く発症する病気…

異変を感じた時はすぐに動物病院を受診しよう

異変を感じた時はすぐに動物病院を受診しよう

ポメラニアンがかかりやすい病気には生まれつきのものが多く、対策がしにくい傾向があります。
遺伝性の疾患は予防が難しいため、普段からよく様子を観察し、少しでも早く異変に気付けるといいですね。
愛犬の様子が何となくおかしいな?と感じた時は、できるだけ早く動物病院を受診するようにしましょう。