ボルゾイってどんな犬?歴史・性格・飼い方について

ボルゾイ

お散歩目安 1日60分×2回
ブラッシング頻度 2〜3日に1回
トリミング 不要
Borzoi

ボルゾイってどんな犬?歴史・性格・飼い方について

ボルゾイの基本情報

英名 Borzoi
愛称・別名 ロシアンウルフハウンド
原産国 ロシア
寿命 9歳〜14歳
サイズ 大型犬
体重 34kg〜48kg
体高 オス:75cm~85cm
メス:68cm~78cm
分類 10G:視覚ハウンド

※当サイトの犬種データのサイズは、犬種標準としてJKC(ジャパンケネルクラブ)が明確に定めている場合はそちらを元に、その他の場合は「目安」としてKC(イギリス)やAKC(アメリカ)などの情報を参考に算出し、掲載しております。
犬種標準は「犬種の理想像を作りあげて記述したもので、ドッグショーの出陳並びに計画繁殖する犬の参考にするもの」とされており、個体差の大きい犬種では本データのサイズから外れるケースも多くあります。
しかし、犬種標準から外れていても、その犬種の一般家庭におけるパートナーとして問題があるわけではありません。サイズに関しましてはあくまでも目安として、飼育を検討する際のご参考になれば幸いです。

ボルゾイの歴史

ボルゾイの歴史

ロシア語で「俊敏」の意味を持つボルゾイは、その名に恥じず時速50km以上ものスピードで駆け抜ける、ロシアを原産とする大型のサイトハウンド犬種です。
祖先犬の考察には諸説あり、古くからのサイトハウンド犬種とロシアに土着していた猟犬との交雑で誕生したという説が有力ですが、モンゴルの狩猟犬が起源とする説などもあり、その正確なルーツは不明です。

少なくとも11世紀頃には非常によく似た犬種が確認されており、ボルゾイは13世紀初頭には猟犬としてハンターのもとで活躍していました。
ボルゾイは主にウサギなどの小動物をメインに狩猟を行なっていましたが、その後ロシアン・シープドッグなどと交配し大型化されると、オオカミの狩猟なども行うようになり、時には2、3頭の群れで連携してオオカミに襲いかかるなど高いチームワーク・攻撃力を誇るようになりました。

次第に「ロシアン・ウルフハウンド」と呼ばれるようになったボルゾイは、ロシアの国犬となり、王宮貴族のみが飼うことを許された犬種となります。
その後は数世紀に渡り王侯貴族に寵愛され、時にはイギリスの王室やアメリカの上流階級の人々へ贈られる事もあったそうです。

ボルゾイは1890年代にアメリカのケンネルクラブで「ロシアン・ウルフハウンド」として犬種の登録が行われると、1914年には同名でイギリスのケンネルクラブに登録がされ、世界的にも「高貴な犬」としてその名を広めるようになっていきます。
しかし、イギリスで犬種登録が行われたわずか3年後、1917年にロシア革命が発生すると、ロシア国内での状況は一変します。

長い歴史の中で、諸外国でも度々起きてきた貴族に対する反乱、革命では、その度に多くの貴族に寵愛されてきた犬たちが命を落としてきましたが、ロシア革命でのボルゾイも例外ではありませんでした。
長きにわたって貴族御用達の犬となっていたボルゾイは「封建国家の象徴」として無残にも多くの命が失われてしまいます。
ロシア国内にいたボルゾイたちはそのほとんどが殺処分され、一時期は国内のボルゾイが絶滅したといわれるほどその頭数を減らしました。

先立って海外を渡っていたボルゾイたちがいたため、この迫害の歴史により犬種の絶滅という最悪の事態だけは免れることができましたが、ボルゾイを語る上でこの悲惨な史実は避けることができないでしょう。

その後、イギリスの王室などで飼われていたボルゾイを中心に繁殖活動が行われ、ドッグショーなどにも出場するようになったボルゾイは徐々に頭数を回復し、1936年にはそれまで登録されていた「ロシアン・ウルフハウンド」の名称が、正式にボルゾイに改められました。

現在でもその美しく気品のある姿とハウンドドッグが本来持つ高い運動能力は、ドッグショーをはじめレースなどでも多大な活躍をし、世界中の多くの愛好家を魅了し続けています。

ボルゾイの特徴や性格

ボルゾイの特徴や性格

一見細く見えるボルゾイですが、実際にはがっしりとした骨格と精錬された筋肉を持っています。
オオカミを相手に狩りを行なっていたボルゾイの顎は非常に発達しており、それゆえに噛み付く力が桁違いに強いため、しつけを間違えてしまうとかなり危険です。

本来の性格自体はおとなしく、室内にいる分にはとても穏やかな一面を持っていますが、外で動くものを見ると追いかけていってしまうという猟犬の本能が残っています。
主従関係をしっかりと築き上げていれば言うことを聞きますが、そうでない場合は他のサイトハウンド犬種同様、かなり手を焼くでしょう。

ボルゾイは自ら考えながら狩猟を行なっていた「優れた猟犬」ではありますが、この名残で言うことを聞かない面も多々あり、しばしば「頭が悪い犬」というレッテルを貼られてしまう事もあります。
そのため他のいわゆる洋犬に慣れていたり、犬を初めて飼うという方には扱いが難しく、あまり向かない犬種とされています。

ボルゾイの飼い方

ボルゾイの飼い方

ボルゾイは相手を格下に見てしまうと全く言うことを聞かなくなってしまう恐れがある犬種です。
しつけにはプロのドッグトレーナーに協力してもらうケースも多々ありますが、飼い主自身がなめられてしまうと意味がないため、トレーナー指導のもと一緒にしっかりとしたしつけを行い、飼い主の威厳を見せつけることが重要です。

特にボルゾイの顎の力には要注意で、子犬の頃から暴れたり、噛んではいけないものに噛み付いてしまった場合には激しく厳しめに怒ってあげることが大切です。
将来的に成犬になった時、うっかり噛み付いただけでもボルゾイの顎の力では大きな怪我などに繋がってしまいます。
自分だけならまだしも他人や他の犬に噛み付いてしまって大事故を起こさないためにも、ボルゾイには徹底した厳しいしつけが必要とされています。

大型のハウンド犬種のため毎日の運動量はかなり多く、1日2回、トータルで2時間以上は最低限運動させるようにしましょう。
運動不足になるとストレスを抱え、暴れる、噛み付くなどの問題行動に繋がってしまいますので、毎日の散歩は欠かさず行います。
月に数回はドッグランなどの広い敷地を活用し、遊びながら全力運動をさせるのも非常に大切なことですので必ず取り組むようにしましょう。

また、ボルゾイはその長い体毛も特徴の一つで、ダブルコートに覆われた全身は週に3~4回とこまめなケアが不可欠です。
ブラッシングやコーミングをしながらコミュニケーションを取ることも関係構築に影響を与える大事な作業となるため、習慣化するよう心がける必要があります。

ボルゾイの毛色

ボルゾイの毛色

ボルゾイの毛色は種類が多く、ホワイトやブラックの単色をはじめ、ゴールド、シルバー、レッド、レモン、セーブル(黄褐色または明るい色の長毛に黒い毛先の混じった毛色の)とホワイトの組み合わせや、ブラック×ホワイト×タンといった3色の掛け合わせであるトライカラーが存在します。

ボルゾイの気をつけたい病気や怪我は?

ボルゾイの気をつけたい病気や怪我は?

ボルゾイは比較的遺伝性の疾患が少ない犬種ですが、眼疾患に関しては発症する可能性が高く、注意が必要です。
中でも先天的疾患である「網膜形成不全」は「ボルゾイ網膜症」ともいわれ、多く見られる傾向にあります。
その他、ボルゾイは「進行性網膜萎縮症」の好発犬種としても知られ、片眼のみ「白内障」を患う個体も多く存在します。
飼育する際にはしっかりと検査を行い、定期的な検診も欠かさず行うようにしておきましょう。

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