アイリッシュウルフハウンドってどんな犬?歴史・性格・飼い方について

アイリッシュウルフハウンド

お散歩目安 1日60分×2回
ブラッシング頻度 2〜3日に1回
トリミング 不要
Irish Wolfhound

アイリッシュウルフハウンドってどんな犬?歴史・性格・飼い方について

アイリッシュウルフハウンドの基本情報

英名 Irish Wolfhound
原産国 アイルランド
寿命 6歳〜8歳
サイズ 大型犬
体重 オス:54.5kg以上
メス:40.5kg以上
体高 オス:79cm~86cm
メス:71cm以上
分類 10G:視覚ハウンド

※当サイトの犬種データのサイズは、犬種標準としてJKC(ジャパンケネルクラブ)が明確に定めている場合はそちらを元に、その他の場合は「目安」としてKC(イギリス)やAKC(アメリカ)などの情報を参考に算出し、掲載しております。
犬種標準は「犬種の理想像を作りあげて記述したもので、ドッグショーの出陳並びに計画繁殖する犬の参考にするもの」とされており、個体差の大きい犬種では本データのサイズから外れるケースも多くあります。
しかし、犬種標準から外れていても、その犬種の一般家庭におけるパートナーとして問題があるわけではありません。サイズに関しましてはあくまでも目安として、飼育を検討する際のご参考になれば幸いです。

アイリッシュウルフハウンドの歴史

アイリッシュウルフハウンドの歴史

数多くの犬種の中でも最大級の体高を誇るアイリッシュ・ウルフハウンドは、紀元前270年頃からその存在が確認されていたとされる長い歴史を持つ大型犬です。
元々ギリシャに土着していたアイリッシュ・ウルフハウンドの祖先犬は、その後長い年月をかけ紀元前15世紀頃にアイルランドへと移り住みました。アイリッシュ・ウルフハウンドは当初、現在よりも小柄な姿をしており、アイルランドへ移った後に大型化していったと考えられています。

アイルランドへと渡ったアイリッシュ・ウルフハウンドは、主に農作業のサポートを目的とした使役犬としての役割や、オオカミやキツネなどから農作物を守る番犬などの役目を与えられます。
そのオオカミにも物怖じしない性格と勇敢さは人々の心を捉え、アイリッシュ・ウルフハウンドは18世紀までアイルランドの農民には欠かせないパートナーとしてその存在を確固たるものにしていきました。

こうしてアイルランドの農民を中心に親しまれてきたアイリッシュ・ウルフハウンドですが、18世紀以降国内でオオカミが人為的に駆除され、絶滅の一途を辿ると徐々に飼育している農家も減少していきます。さらに追い討ちをかけるように19世紀中頃にアイルランドで大飢饉が発生すると、その大きな体を維持するための餌を用意できない飼い主が続出し、アイリッシュ・ウルフハウンド自体も絶滅の危機を迎えてしまいました。

しかし19世紀後半、この事態を受けスコットランド出身の陸軍大尉であったグラハム氏などの愛好家が、アイリッシュ・ウルフハウンドの復活を目指し繁殖活動に取り組みます。
アイルランドにわずかに残っていたアイリッシュ・ウルフハウンドにディアハウンドといった犬種を掛け合わせ、さらに大型犬種であるボルゾイやグレード・デーンといった犬種との交配により、何代にも渡って同じタイプの犬が繁殖されるようになり、その血統を受け継いでいくことができました。そのため、かつての純血種であるアイリッシュ・ウルフハウンドは現在存在しておらず、この時誕生した犬種が現在のアイリッシュ・スタンダードのルーツとなっています。

その後はその気性の穏やかさから家庭用のペットとして広く普及されるようになり、現在では世界各国で飼育されるようになりました。
日本でも100頭前後ではあるものの正式に登録がされており、愛好家からは高い人気を誇る犬種のひとつとなっています。

アイリッシュウルフハウンドの特徴や性格

アイリッシュウルフハウンドの特徴や性格

アイリッシュ・ウルフハウンドは長い歴史の中で人間と共生してきた犬種のため、本来持つ性格は人に懐きやすく、穏やかな気性をしています。
しかし、オオカミなどを駆逐するための闘争本能や防衛本能は残されており、知らない環境などではストレスを感じ、時には攻撃的になるケースも稀に見られます。ただ子犬時代から慣らしておけば、多くの個体ではそのような獰猛さは見られず、安心して家庭用として飼育出来るでしょう。

また、アイリッシュ・ウルフハウンドは面倒見がいい犬種としても知られており、家族思いの一面を見せてくれます。
ただし、アイリッシュ・ウルフハウンドは大半が体長1mを超えるほど大きく成長します。そのため小さな子供がいる家庭では悪意がなくとも怪我をさせてしまう恐れがあるため注意が必要です。

アイリッシュウルフハウンドの飼い方

アイリッシュウルフハウンドの飼い方

アイリッシュ・ウルフハウンドは飼い方が難しい犬種として挙げられることが多々あります。
前述の通りその体長はほとんどの個体が1mを超え、大きな個体だと足を伸ばして立ち上がった状態では2m近くになる場合もあります。体重も80kg近くまで成長するケースがあり、扱いにはかなりの苦戦を強いられることとなるでしょう。
そのため、体力がある人やある程度力に自信がある人でなければ飼育はおすすめしません。何かあった際、制御できる力がなければ他人にも迷惑がかかってしまいますので、飼育を検討される場合はそのことも考慮して飼う必要があります。

愛犬家であれば周りの環境や周囲の人間に配慮した犬との付き合い方が必要になります。
アイリッシュ・ウルフハウンドは性格自体はおとなしい犬種であるものの、万が一を考えれば、散歩中に暴れてしまわないよう小さな頃から徹底したしつけが重要となってきます。

また、アイリッシュ・ウルフハウンドはその寿命の短さも特徴の一つです。
通常犬の平均寿命は12〜13年程度といわれていますが、アイリッシュ・ウルフハウンドは6〜8年と非常に短い寿命を生きます。他の犬よりも生きられる時間が短い分、多くの楽しみを共有する時間を可能な限り与えてあげてください。

アイリッシュウルフハウンドの毛色

アイリッシュウルフハウンドの毛色

アイリッシュ・ウルフハウンドの被毛はとても硬く、粗い毛質をしているのが特徴的です。
毛色のバリエーションは豊富で、グレーやレッドが多く見られますが、そのほかにもブリンドル、ブラック、ピュア・ホワイト、フォーンなどの個体が存在しており、ディアハウンドに見られる色であれば何色でも認められています。

アイリッシュウルフハウンドの気をつけたい病気や怪我は?

アイリッシュウルフハウンドの気をつけたい病気や怪我は?

アイリッシュ・ウルフハウンドは特別遺伝的な疾患などはありませんが、その大きな体は心臓へ大きな負担をかけています。
大型犬のため定期的な散歩は必要不可欠ではありますが、過度の運動は心臓への負担がより高まってしまうため、高齢期になってからは特に注意しながら運動をさせてあげることが大切です。

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