レッグペルテス病ってどんな病気?原因や症状、愛犬の予防方法

レッグペルテス病ってどんな病気?原因や症状、愛犬の予防方法

公開日:/最終更新日:

レッグペルテス病(レッグパーセス病)は、小型犬に多く発症する原因不明の病気です。
この病気は普段の生活習慣から予防することは難しく、治療法も多くはありません。
ここでは、レッグペルテス病の症状や発症しやすい犬種、術後のリハビリなどについてご説明します。

レッグペルテス病は大腿骨の骨頭が壊死する病

レッグペルテス病は大腿骨の骨頭が壊死する病

レッグペルテス病とは「大腿骨頭壊死症」とも呼ばれ、太ももの骨の先端にある大腿骨頭(骨盤と連結している骨)への血流が阻害されて起こる病気です。
何らかの原因で大腿骨頭への血流が阻害されてしまうと骨は徐々に壊死していき、犬は次第に歩くことが困難になってしまいます。

レッグペルテス病が進行すると、壊死した部分は頻繁に骨折するようになり、強い痛みをともないます。
また、日常的に足に力を入れずに歩くことで後ろ足の筋肉が委縮して細くなってしまい、短時間の散歩でも嫌がるようになります。

レッグペルテス病の主な症状は「足を浮かす・引きずる」

レッグペルテス病の主な症状は「足を浮かす・引きずる」

レッグペルテス病の主な症状は、足を浮かして歩いたり、地面に引きずるようにしたりすることです。
足を地面につけていたとしても、立ち上がる際にふらついたり、動き出しが遅い場合は何らかの異常があると考えてよいでしょう。
また、症状が進行するにつれて痛みや違和感が出たりするようになるため、触った時に思わずキャン!と鳴いてしまうこともあります。
大腿骨頭に痛みがあるとオスワリが上手にできなくなることも多く、横に足を投げ出した、いわゆる「マーメイド座り」で過ごす犬もいます。

レッグペルテス病のほとんどは片足だけに発症しますが、まれに両足に起こることもあります。
一度に両足の大腿骨頭が壊死してしまうと一層歩きにくさは増してしまい、ストレスで食欲不振になる可能性が高くなります。

成長期の小型犬はレッグペルテス病になりやすい

成長期の小型犬はレッグペルテス病になりやすい

レッグペルテス病を発症しやすいのは、主に体重10kg未満の小型犬です。
そのうち特に発症率が高いのは、トイプードルとウェスティ(ウェストハイランドホワイトテリア)といわれています。
レッグペルテス病を発症する犬のほとんどは、生後3~12ヵ月(多くは6~7ヵ月)の間に何らかの症状が現れるようになります。
生後6~7ヵ月というと子犬の骨格も大分しっかりしてきた頃ですが、レッグペルテス病は主に成長期の犬に多くみられます。
性別によって発症率が大きく変わることはないため、小型犬はオスメス共に発症のリスクがあるといえるでしょう。

レッグペルテス病を発症しやすい犬種

トイプードル、ウエストハイランドホワイトテリア、ダックスフンド、パグ、チワワ、パピヨン、ミニチュアピンシャー、ポメラニアン、ジャックラッセルテリア、狆(ちん)など

血流不足がなぜ起こるかは不明。遺伝やホルモンが関係しているかも

血流不足がなぜ起こるかは不明。遺伝やホルモンが関係しているかも

なぜ大腿骨頭への血流が阻害されてしまうのか、その明確な理由はまだ分かっていません。
しかし、現時点でレッグペルテス病の発症原因と考えられているものは、主に以下の6つといわれています。

  • 遺伝性
  • 外傷や炎症
  • ホルモンの影響
  • 循環異常
  • 関節内圧包
  • 大腿骨頭の梗塞(血栓)

レッグペルテス病を発症しやすい犬種があることを考えると、遺伝が関係しているのは確かでしょう。
そのため、もし愛犬がレッグペルテス病になってしまった場合は、獣医師から避妊・去勢手術を勧められる可能性があります。
避妊・去勢をすることで予防できる病気はたくさんあるため、将来的にこどもを作らないのであれば早めに手術を受けることをおススメします。

薬を飲んで安静に。ただし、最終的には外科手術が必要

薬を飲んで安静に。ただし、最終的には外科手術が必要

症状が軽い場合は、「痛みどめの薬を飲みつつ安静にして過ごす」という保存療法を行います。
早期に発見し、かつ治療の効果がうまく現れてくれれば、通常の散歩程度なら問題なくできるようになるでしょう。
ただし、レッグペルテス病は保存療法によって完治する病気ではなく、最終的には大腿骨頭の切除や人工関節形成手術を受ける必要があります。

一度壊死してしまった大腿骨頭は、時間が経っても元に戻ることはありません。
投薬治療や運動制限で病気の進行を遅らせることができたとしても、進行自体を止めることはできないのです。
とはいえ、手術によるレッグペルテス病の治癒率はかなり高いですし、体力のある若いうちは術後の回復も早いので安心してくださいね。

術後はしっかり歩けるよう、長期的なリハビリを行う

術後はしっかり歩けるよう、長期的なリハビリを行う

レッグペルテス病を発症すると、犬は痛みのある足をかばって歩くようになります。
そのため、手術によって痛みがなくなった後も、それまでのクセが抜けずに片足を上げた状態で歩くようになってしまうのです。
健康な足だけで歩くようになってしまうと使わない足の筋肉はどんどん衰えて萎縮してしまい、転んだ時に折れやすくなる可能性があります。
また、本来4本の足で支えるはずの体重を3本で支えることで、健康だった足に新たなトラブルが起こってしまうかもしれません。

できるだけ早く愛犬が普通の生活に戻れるように、手術後は獣医師の指導のもとリハビリテーションを行いましょう。
リハビリの内容としては、水中トレッドミルや水泳、曲げ伸ばし運動などがあり、基本的には動物病院やリハビリ施設で行います。
リハビリにかかる期間は足の状態によって様々ですが、一般的には2ヵ月から半年ほどかかることが多いといわれています。

はっきりした予防法はないため、早期発見・早期治療が大切

はっきりした予防法はないため、早期発見・早期治療が大切

レッグペルテス病は原因不明の病気であるため、どのような予防が効果的かも未だ不明です。
そもそも、遺伝やホルモンの影響で発症する可能性があることを考えると、普段の生活で予防するのは難しいかもしれません。
レッグペルテス病の進行を遅らせたり、完治させたりするためには、早期発見・早期治療がもっとも大切です。
普段から愛犬の様子をよく確認し、様子がおかしいように感じたら早めに動物病院を受診しましょう。

著者・専門家プロフィール