犬に柿を食べさせても大丈夫?メリットや適量、与える際の注意点
秋が旬の柿は、アジアやヨーロッパでは「Kaki」として名前が浸透しているほど、国内外問わず人気の果物です。
そんな甘味があって、秋の味覚が楽しめる柿ですが、犬に与えても大丈夫な食べ物なのでしょうか?
今回は、柿の栄養素や効果、愛犬に与える際の注意点をご紹介します。
目次
犬は柿を食べても大丈夫
結論から先に言うと、柿は犬が食べても大丈夫な果物です。
ただし、成熟していない柿や、渋抜きをしていない「渋柿」にはアルカロイド(アク)が多く含まれています。
アルカロイドは、ナス科の食べ物などにも含まれますが、毒素が強い成分です。
下痢や嘔吐などの症状が出る可能性がありますので、犬に柿を与える際は、成熟した「甘柿」をあげるようにしましょう。
また、犬に柿を与える際は、ヘタや皮、種を必ず取り除き、細かく刻みます。
柿のヘタ・皮は消化しづらく、種は消化することが出来ないため、注意が必要です。
美味しい柿の見分け方
- 皮に張り、ツヤがある
- 硬さが均一(硬すぎず、柔らかすぎない)
- ヘタと果物の間に隙間がない
- ヘタがきれいな緑色をしている
- 全体的に色づいている
- 柿に重みを感じる
【柿を与えるメリット】感染症予防、がん予防、免疫力アップ、口内炎予防など
「柿が赤くなると医者が青くなる」ということわざがあるほど、柿は栄養が豊富な果物です。
感染症予防や、がん予防、免疫力アップなど柿には嬉しい効果が盛り沢山。
ここでは、柿に含まれる主な栄養素とその効果をご紹介します。
ビタミンC
柿に含まれるビタミンCの量は100gあたり70mg。
これはみかんの2倍ほどの量です。
ビタミンCは、骨や関節などの組織の形成と維持に役立ちます。
また免疫力をアップしてくれるので、感染症やがんの予防に加え、口内炎の予防効果も。
ちなみに口内炎の予防効果は、柿と合わせて豆腐や青菜を与えると、さらに高まると考えられています。
カロテノイド(クリプトキサンチン、β-カロテン、リコピン)
カロテノイドには、活性酸素を除去してくれる活性酸素除去効果や抗がん作用があります。
リコピンは人では美肌効果が有名ですね。
リコピンはカロテノイドの中でも特に活性酸素除去効果が強いので愛犬の老化予防も期待できます。
活性酸素とは
呼吸をして、体内に入ってきた一部の酸素が活性酸素になります。
本来活性酸素は、体内の細菌などの侵入者を除去します。
しかし増えすぎると、体内の正常な細胞を酸化させてしまいます。
これにより、内臓や肌の細胞を傷つけ、老化や疾患を引き起こす原因になります。
食物繊維
柿100gあたり1.6gの食物繊維が含まれています。
食物繊維は腸の動きを活発化させ、便秘予防や、余分な脂質と糖の吸収を抑制する効果があります。
カリウム
カリウムは血管の機能を正常に保つことや、心臓の機能・筋肉の動きを調整する働きがあります。
体内の余分な水分を排出してくれるため、利尿作用・浮腫み予防効果などがあります。
タンニン
タンニンは「ポリフェノール(植物が虫や菌などから自己を守る防御物質)」の一種で、タンパク質を変性させ、組織や血管を収縮させるなどの収れん作用があります。
この収れん作用により胃の粘膜を保護し、下痢を改善する効果や血流を良くして代謝を上げる効果が期待できます。
このように、柿には沢山の栄養素と効果があります。
甘味のある柿は、犬にとって最高のご褒美。
「2週間なにも食べなかった子が柿は食べてくれた」「柿をきっかけに食欲が復活した」などという話があるくらい、犬の大好物とも呼べる果物なのです。
柿は、1日の必要カロリーの10%程度を目安に与えましょう
柿は、愛犬の1日に必要なカロリーの10%程度を目安に与える様にしましょう。
例えば1日の必要カロリーが150kcal必要な子であれば柿を与える量は15gが目安となります。
柿は100gあたり60kcalあり、炭水化物は15.9g(糖質14.3.g 食物繊維1.6g)あります。
糖質を多く含んでいるので、与えすぎは肥満のもとになるため要注意。
柿を与えた分、主食を減らすことや散歩時間を増やし、愛犬の1日の必要カロリーをオーバーしないように調整しましょう。
注意点①腎臓や心臓に疾患を持つ犬は、獣医師さんに相談を
柿に含まれるカリウムは、100gあたり170mgです。
カリウムはナトリウムと一緒になって、身体の水分量の調整や、血圧の管理・心臓の動きなどに関わっています。
腎臓の機能が低下している場合、尿としてカリウムが排出できず、高カリウム血症になる可能性があるため、注意が必要です。
場合によっては、心臓自体の働きが鈍くなる恐れもあるため、疾患を持つ犬には自己判断で柿を与えることは避けましょう。
まずは、必ずかかりつけの獣医師先生に相談してくださいね。
注意点②便秘や下痢を起こす可能性がある
柿に含まれている「タンニン」には、血管を収縮させる作用があり、与えすぎると腸の運動を低下させ、便秘になる可能性があります。
一方で、タンニンは体を冷やす効果も持っています。
そのため、体が冷えたことで腸内環境のバランスが崩れ、下痢になってしまうケースもあるでしょう。
柿を犬に与えた後は、しっかりと便の固さを確認してください。
元々、柿は食物繊維が豊富に含まれているため、消化には時間がかかる果物です。
柿を与えた後、水分が多く含まれた便や、未消化の柿が出てきた場合は、与え過ぎかもしれません。
万一、水っぽい便が続く場合は、柿にアレルギーを持っている可能性もあります。
便は「健康のパロメーター」です。
もし普段と様子が違う便が確認出来たら、動物病院での診察を受けてくださいね。
注意点③熟していない柿は与えない
柿には大きく分けて、「甘柿」と「渋柿」2つの種類があります。
冒頭でも説明した通り、渋抜きをしていない渋柿や、成熟していない柿には「アルカロイド(アク)」が多く含まれており、中毒症状を引き起こす可能性があります。
犬に与える際は、成熟した「甘柿」を選ぶ様にしましょう。
なお、柿には「不完全甘柿」と呼ばれる品種もあります。
不完全甘柿は、1本の木に甘柿と渋柿が混在しており、割合は少ないものの渋柿の可能性もあるため、注意が必要です。
甘柿の品種例
- 次郎柿(じろう)
- 富有柿(ふゆう)
- 御所柿(ごしょ)
不完全甘柿の品種例
- 西村早生柿(にしむらわせ)
- 筆柿(ふで)
- 蓮台寺柿(れんだいじ)
- 禅寺丸柿(ぜんじまる)
渋柿の品種例
- 平核無柿(ひらたねなし)
- 刀根早生柿(とねわせ)
- クイーンパーシモン
- ベビーパーシモン
また、購入した柿が固い場合は、密閉できる袋に柿をりんごと一緒に保管してみましょう。
りんごが追熟(※収穫後に一定期間貯蔵して完熟させること)を促してくれます。
注意点④柿のヘタ・皮・種は取り除く
冒頭でも軽く触れましたが、柿を犬に与える場合は、ヘタ・皮・種は必ず取り除いてからあげるようにしましょう。
柿のヘタと皮は消化しづらく、種は消化が出来ません。
万が一食べてしまっても、通常は便として排出されますが、小型犬などは要注意です。
小型犬を筆頭に、食道や腸が小さい子は、飲み込んでしまった種を詰まらせてしまう可能性があります。
最悪の場合、窒息や腸閉塞を引き起こす可能性があるため、種を飲み込んでしまった場合は、すぐに動物病院に連れていきましょう。
もし目を離した隙に種がなかったり、愛犬の様子で吐き気や嘔吐、食欲不振、黄疸などの症状があった場合は、種を飲み込んでしまったかもしれません。
少しでも気になる異変があれば、すぐにかかりつけの獣医師さんに相談してくださいね。
注意点に気をつけて、栄養豊富な柿をご褒美にしよう
いかがでしたでしょうか。
栄養価が高く、甘味のある柿は、犬にとって最高のご褒美ともいえる果物です。
基本的に犬は「総合栄養食」であるドッグフードを与えていれば、必要な栄養素は補えています。
しかし、犬にとって毎日の「食」はとても楽しみなもの。
食材を与える際の注意点をしっかりと踏まえ、基礎疾患がなくあげても大丈夫な子には、色々な味を教えてあげましょう。
是非愛犬の好きなご褒美を見つけてあげてくださいね!