ウェイトプルは重量級ドッグスポーツ!どんな犬種が向いてるの?
愛犬と楽しむドッグスポーツといえば、フリスビーを使う「ディスクドッグ」や、障害物競争などでタイムを競う「アジリティー」などを思い浮かべる人も多いと思います。
しかし、実際これらのスポーツの花形犬種といえば、やっぱり「スマート」や「賢い」などといったイメージがつきもの。
でも数百種類以上と言われる犬種の中には、こういったイメージを持たずとも「筋力・体力自慢」のわんこたちも多数存在します。
そういったタイプの犬種愛好家たちが注目しているスポーツが「ウェイトプル(ウエイトプル)」。
今回は、このウェイトプルという競技がどんなものなのかご紹介したいと思います。
目次
「ウェイトプル」ってどんな競技?
ウェイトプル(Weight Pull)は、その名の通り、犬が重量物を引く競技です。
決められた距離の中、いかに重いものが引くことができるかを競い合います。
人間の世界にもオリンピック競技である「重量挙げ」をはじめ、重量物を引く競技などがありますが、仕組みはこれらと同じです。
日本ではまだそこまで浸透しているスポーツではありませんが、海外では結構盛んに取り組まれている競技で、近年日本でも徐々に注目を浴びる機会が増えてきています。
競技の種類は大きく分けて2つ。
一つは「ソリの上に重量物を乗せて、引っ張るもの」で、もう一つは「ハーネスの先に重量物を結びつけ引っ張るもの」です。
ソリを使用する競技の方が重いものを乗せられており、ハーネスの場合には重量物にタイヤなどが使用されます。
ウェイトプルは健康維持にも効果的
ウェイトプルでは、もちろん犬自身が進んで歩くわけではなく、多くはパートナーである飼い主が並走したり、ゴールラインで声をかけ、進んだ距離を競います。
その競技の見た目から一部では「人間の娯楽」や「虐待」といった言葉を用いる人もいますが、実際には適正犬種にとってはプラスとなることが多々あります。
確かに犬に重りを付け引っ張らせる競技ですので、犬が楽しそうに遊ぶ姿には到底見えませんが、本来この競技に参加する犬種は「筋肉量が多く、相当な運動量が必要な犬種」です。
これらの犬種にとっては、重りを引くことで筋肉が刺激され「適度な筋力の増加」「骨密度を高める効果」「心臓血管系の強化」など健康維持に最適な効果が得られます。
犬種の特性に合った運動や、負荷を与えることは体組織の活性化に繋がるんですね。
ただし人間でもそうですが、やりすぎは禁物。
ウェイトプルを始める際には、専門家の指導を必ず受けるようにし、正しいトレーニング方法で取り組むようにしましょう。
ウェイトプルに向いている犬種ってどんな犬種?
ウェイトプルは前述の通り、全身の筋力を生かし、前足を踏ん張りながら前進するスポーツです。
この競技に向いている犬種は以下のような犬種。
ウェイトプルに向いている犬種
- アメリカンピットブル
- ブルドッグ
- アラスカンマラミュート
- シベリアンハスキー
- ロットワイラー
- マスティフ系犬種
これらの犬種は元々適度な運動で筋力を発達させることが必要です。
しかし、飼い主さんとの毎日の散歩程度では十分な運動量とは言えません。
運動不足はストレスとなり、場合によっては問題行動につながってしまうことも。
これらの犬種にとっては、疲労感を感じるほどの運動はかえって充実感を得られ、ストレス発散にもつながります。
競技会では幅広いクラス分けがされている
ウェイトプルは、8つの階級に分けられています。
競技では1分間の時間制限が設けられ、4.8mと決められた距離の中をどのくらいの重量が引けたかを競い合います。
ウェイトプルの階級
- 超軽量(9kg以下)
- 10kg〜18kg
- 19kg〜27kg
- 28kg〜36kg
- 37kg〜45kg
- 46kg〜56kg
- 57kg〜68kg
- 69kg以上
力持ちの大型犬に特化したスポーツかと思いきや、小型犬クラスの階級も設けられているんですね。
実はウェイトプルの参加条件は「健康状態が良好な1歳〜12歳までの全犬種」のみ。
とはいえ、小さい体の犬種にはこういった競技に向いていない犬種も多く存在します。
もし愛犬とウェイトプルをはじめたいと思ったら、ぜひ一度各地のイベント競技会で実際にどのような犬種が参加しているのか、どのくらいの重量を運ぶのか見にいってみましょう。
ウェイトプルのトレーニング方法は?
ウェイトプルという競技に向けトレーニングをする際、忘れてはいけないのが「絶対に無理はさせない」ということ。
犬はとても従順な動物ですので、飼い主さんが背中に重りをつけ、離れた場所で呼びかければ無理をしてでも一生懸命その期待に応えようと行動するでしょう。
しかし、無理な練習は愛犬の足腰に多大な負担をかけてしまい、大変危険な行為です。
はじめて実際にトレーニングをする際には、必ず実戦経験のあるドッグトレーナーさんなどに相談をするようにしましょう。
また、たとえ力持ちの大型犬であっても、初回から重量感のあるソリを引けるわけではありません。
ウェイトプルのトレーニングでは、軽量のものから徐々に練習を重ね、「ものを引っ張る」ということに慣れさせてあげます。
もちろん自然なことではありませんので、中にはハーネスを付けたり、おもりがついていることに違和感を覚え立ち止まってしまうことも多々あります。
そのような場合でも、無理に歩かせるようなことはせず、おやつなどをうまく使い誘導しつつ、自ら歩くように促してあげましょう。
ウェイトプルはどこで楽しめる?
海外では盛んなウェイトプルですが、日本では現状ウェイトプルの練習ができる、イベントとして参加できるという施設がほとんどありません。
ただ、アジリティーや犬関連のイベント、トレーナーの所有する施設などで実際に体験できる機会も徐々に増えてきているようです。
もしウェイトプルに興味を持ったら、まずは経験のあるトレーナーや専門家に話を聞いてみると良いでしょう。
ウェイトプルを始める前に、本当に愛犬に適しているのかを必ず熟考しましょう
日本で暮らしているメジャーな大型犬の中には、先天的に股関節に形成不全を抱えている場合や、ヘルニアなどを患っている個体も多く存在します。
日常生活には特に支障なくとも、必要以上に負荷をかけるべきではないという場合も多々あるでしょう。
ウェイトプルは特定の犬にとっては大変興味深いスポーツですが、挑戦する前には獣医師などにも相談の上、本当に愛犬に適しているのかどうかも見極めてあげると良いでしょう。