犬のうんちがゼリー状の下痢便に!その原因と考えられる5つの病気

犬のうんちがゼリー状の下痢便に!その原因と考えられる5つの病気

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愛犬のうんちがゼリー状の下痢便だった場合、さまざまな原因が考えられます。
ゼリー状の便は粘液便と呼ばれており、主に大腸に異常が起こっている時にみられる症状。
この記事では、犬がゼリー状の下痢便をする原因と考えられる5つの病気、自宅での対処法を解説します。
また、動物病院に連れていくかどうかの見極め方や、受診する際の注意点もあわせて紹介します。

犬がゼリー状の下痢便をする原因はさまざま

犬がゼリー状の下痢便をする原因はさまざま

ゼリー状の下痢便は、大腸が炎症を起こしているサインです。
犬は大腸の炎症を起こしやすく、一過性のものであれば、腸を休ませればよくなることが多いでしょう。
しかし、病気や中毒による下痢は緊急性が高いため、早めに動物病院を受診する必要があります。

犬がゼリー状の下痢便をする原因①食事

食べすぎや消化の悪い食べ物を食べたなど。
食物アレルギーによる慢性的な大腸の炎症も考えられます。
暴飲暴食は避け、できるだけ胃腸に負担をかけない食生活を心がけましょう。

犬がゼリー状の下痢便をする原因②ストレス

強いストレスを感じた場合、犬は下痢をすることがあります。
犬がストレスを感じるものとしては、来客・長時間の留守番・近隣の工事・ホテルへのお泊りなど。
同居動物の不仲や気温差などでストレスを感じることもあるでしょう。

犬がゼリー状の下痢便をする原因③異物誤飲や誤食

雑草やビニールなどの誤食、おもちゃの誤飲など。
人用の薬やサプリメントの誤食や、犬にとって有害な食べ物の盗み食いなども考えられます。
危険なものは手が届かない場所に保管し、拾い食い癖がある犬からは目を離さないようにしてください。

犬がゼリー状の下痢便をする原因④細菌・ウイルス

パルボウイルスや犬ジステンパー、大腸菌などへの感染も、下痢を引き起こします。
ウイルス感染の場合、発熱や鼻汁など風邪のような症状もみられます。

犬がゼリー状の下痢便をする原因⑤寄生虫

寄生虫感染では、下痢や嘔吐などの消化器症状が多くみられます。
主な寄生虫としては、回虫・鉤虫・鞭虫・瓜実条虫・コクシジウム・トリコモナスなど。
駆虫薬で処置できるため、かかりつけの動物病院で検査のうえ治療しましょう。

犬がゼリー状の下痢便をする原因⑥クーラーなどによる急激な温度変化

夏場などはついついエアコンの温度を低めに設定してしまいがちですが、クーラーなどの冷たい空気は下に溜まってしまいます。
私たち人間にとってはあまりクーラーが効いてないかな?と感じても、寝そべってみると意外とひんやり感じることも。
犬たちはわたしたち人間よりも低い位置で生活しているということを忘れずに、夏場の温度調整をしましょう。

犬がゼリー状の下痢便をする原因⑦病気

発症後に下痢便がみられる病気は、複数あります。
例えば、腸炎や膵炎尿毒症や副腎皮質機能低下症などがあげられます。
いずれも適切な治療が必要であり、できるだけ早く動物病院を受診しなければいけません。

ゼリー状の下痢便から考えられる5つの病気

ゼリー状の下痢便から考えられる5つの病気

犬がゼリー状の下痢便をした場合、主に以下のような病気が考えられます。
下痢のほかにも症状がある時は、何かの病気のサインと考え、すぐに治療を受けてください。

大腸炎

大腸炎は、何らかの原因で大腸の粘膜に炎症が起きる病気です。
主な症状は、ゼリー状の下痢便、血便、腹痛で、炎症性腸疾患や抗菌薬反応性腸炎などが挙げられます。
食物アレルギーによる食事反応性腸炎も増えており、慢性的な下痢がみられるケースも多いです。

膵炎

膵炎は、暴飲暴食や脂肪分の多い食事によって膵臓が炎症を起こす病気です。
下痢や嘔吐、食欲不振、強い腹痛などがみられ、明らかに体調が悪い様子が見られます。
重症化すると、腹膜炎や多臓器不全を起こし命を落とすこともあるため、早急な対処が必要です。

腫瘍・ポリープ

大腸や周辺の臓器にできものがあると、下痢がみられることもあります。
下痢を引き起こす腸の腫瘍としては、リンパ腫や大腸がん、腺癌、平滑筋種などがあげられます。
初期では目立った症状がみられないことも多いですが、進行すると発熱や元気・食欲不振、血便などがみられます。

尿毒症

尿毒症は、腎臓機能の低下によって、血中に老廃物が溜まった状態を指します。
下痢、嘔吐、元気消失、食欲不振、貧血、心不全などの症状がみられ、進行すると命にかかわります。
腎臓病の犬が下痢になり、ぐったりしている場合は尿毒症が疑われるため、すぐに動物病院を受診しましょう。

副腎皮質機能低下症(アジソン病)

副腎皮質機能低下症とは、副腎皮質ホルモンが何らかの原因で不足して発症する病気です。
主な症状は、下痢、元気消失、食欲不振、低体温、多飲多尿などがあり、強い疲労感を伴うのが特徴です。
一度発症すると完治は難しい病気ですが、適切な投薬治療を受けることで、健康な犬と変わらず長生きできます。

下痢をしていても元気そうなら1~2日様子を見ても良い

下痢をしていても元気そうなら1~2日様子を見ても良い

犬がゼリー状の下痢便をした場合でも、元気そうであれば自宅で様子を見ても良いでしょう。
一過性の下痢であれば、1~2日ほど食事の量を少なくして腸の負担を減らすことで、回復する場合も多いです。
ドライフードはお湯でふやかしてから与え、水はおなかを冷やさないよう、常温のものを与えてください。
一気食いや一気飲みは犬の胃腸に負担がかかるため、少しずつ与えることを心がけましょう。

なお、犬が下痢をした際、絶食をさせるという方法は良くありません
絶食は胃腸を休ませるために必要という意見もありますが、何も摂取しないのはかえって負担がかかります。
特に、子犬や小型犬は、絶食で低血糖を起こす危険が高いため、完全に食事を抜くのはNGです。
水もこまめに飲ませてあげて、愛犬が脱水症状を起こさないようにしてくださいね。

こんな症状があったらすぐに動物病院を受診しよう

こんな症状があったらすぐに動物病院を受診しよう

一過性の大腸性下痢であれば、3日程度で良くなるケースが多いでしょう。
しかし、ゼリー状の下痢便とともに、次のような症状がみられる場合は注意が必要です。
突然体調が悪化する可能性もあるため、できるだけ早く動物病院に連れていき、詳しい検査を受けましょう。

  • 嘔吐をしている
  • 便の色が異常に黒い
  • 下痢が3日以上続いている
  • 水のような下痢便を繰り返す

繰り返す下痢は体力を消耗し、脱水症状を引き起こす恐れがあります。
特に、子犬や老犬、持病のある犬などでは、様子を見ているうちに急変することも珍しくありません。
上記のような症状がみられる場合は、大きな病気が隠れている可能性を考え、迅速に行動すべきといえます。

動物病院には新鮮な便を持参しよう

動物病院には新鮮な便を持参しよう

下痢の症状で動物病院へ行く時は、できるだけ新鮮な便を持っていきましょう。
下痢の原因を調べる方法はいろいろありますが、まずは糞便検査で便の状態を確認する必要があります。
正確な検査結果が出るように、便はなるべく新しいものをビニール袋に入れて持参してください。

なお、下痢便をティッシュにくるんでしまうと、便がティッシュにしみ込んで検査できません。
ペットシーツや新聞紙も同様に、時間がたつと下痢便をほとんど吸収してしまうため、持参する際は不向きです。
下痢便は使い捨てのスプーンですくってビニール袋へ入れるなど、持参する際は工夫をしてくださいね。

気になる症状があれば動物病院で相談することが大切

気になる症状があれば動物病院で相談することが大切

犬がゼリー状の下痢便をする原因には、食事やストレス、異物誤飲などがあります。
ときには命にかかわる大きな病気のサインであることもあるため、愛犬の様子は注意深く観察してください。
もし病気が疑われる場合には、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。

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