アジソン病ってどんな病気?原因や症状、好発犬種や治療・予防法について
アジソン病とは、副腎皮質ホルモンが十分に分泌されないことで起こる病気です。
症状は急性と慢性のものがありますが、いずれも一度発症すると生涯にわたって治療を行う必要があります。
今回は、そんなアジソン病の原因や症状、なりやすい犬種や治療・予防法を解説します。
目次
【原因】アジソン病は副腎皮質ホルモンの分泌不足によって起こる
アジソン病は、何らかの原因で副腎皮質ホルモンの分泌が不足すると発症します。
主な原因は、副腎皮質に指令を与える視床下部や下垂体が、腫瘍や薬剤によって破壊されること。
長期にわたって服用していた大量のステロイド剤を突然止めた場合に起こることもあります。
なお、アジソン病は自己免疫疾患のひとつといわれています。
ただし、ホルモン疾患の中では症例がまだ少なく、具体的な発生機序が分かっていない部分もあります。
早い段階で適切な治療を受ければ普通に生活できる病気であるため、早期発見・早期治療を心がけましょう。
【症状】アジソン病の症状は慢性・急性どちらかによって異なる
アジソン病の症状は、慢性か急性かによって異なります。
慢性の場合、食欲・元気の消失、嘔吐・下痢、体重の減少や多飲多尿などの症状がみられます。
急性の場合は、突然元気がなくなり、ショックを起こして倒れるなど、命に関わるケースもあるため、注意しましょう。
アジソン病の症状
- 微熱
- 嘔吐や下痢
- 食欲・元気がなくなる
- 体重が落ちる
- 水を大量に飲む
- ふらつく
ちなみに、アジソン病が進行した状態のことを「副腎クリーゼ」といいます。
この状態になると著しい運動失調がみられるようになり、散歩に連れていこうとしても嫌がります。
また、突発性の脱力状態や微熱、呼吸困難が起こることもあるため、迅速な処置が必要です。
なお、アジソン病によるショック状態は、犬が過度なストレスを感じた際に起こります。
例えば、ペットホテルやトリミング、旅行などのイベント時には、犬がストレスを感じやすい場面です。
犬が恐怖や緊張を感じやすい動物病院では、特に注意する必要があると覚えておきましょう。
アジソン病になりやすい犬種は?
アジソン病になりやすい犬種としては、トイプードル、ビーグル、コリーなどがあります。
このうちもっとも多いのはトイプードルで、1~2歳の若齢期に発症するケースが多いといわれています。
なお、アジソン病は中高齢(平均4歳)の発症率が高く、メスのほうが発症しやすい傾向があります。
アジソン病になりやすい犬種
- ビーグル
- トイ・プードル
- スタンダード・プードル
- コリー
- グレート・デーン
- ロットワイラー
- ウェスト・ハイランド・ホワイト・テリア
【治療】アジソン病の治療は主に副腎皮質ホルモンの補充を行う
アジソン病の治療は、不足している副腎皮質ホルモンを補充するというものです。
補充ホルモンとしては飲み薬であるフロリネフがポピュラーですが、注射薬が使われることもあります。
なお、急性のものはショック状態を改善するため、緊急入院のうえ、迅速な治療が必要です。
また、アジソン病は完治が難しい病気であり、基本的には生涯にわたってホルモン治療が必要です。
ただ、ステロイドの投与など医原性のものは、回復具合によって投薬が不要になることもあるので、一概にはいえません。
アジソン病の治療には、早期発見・早期治療が何よりも大切であるため、健康チェックは毎日行いましょう。
【予防】アジソン病は自己免疫疾患なので予防が困難
アジソン病は自己免疫疾患のひとつであるため、予防は困難といわれています。
とはいえ、普段の生活で気をつけるべき点はいくつかあります。
アジソン病の発症原因には、生活上のストレスが大きく関係していると考えられています。
つまり、アジソン病の予防には、現在の生活環境を見直すことが大切といえるでしょう。
具体的なストレス解消法としては、栄養のある食事や適度な運動、良質な睡眠などがあります。
毎日よく食べて運動し、適度な睡眠とスキンシップをとってあげることで、愛犬のストレスは最小限に抑えられます。
暑さ・寒さもストレスのもとになるので、愛犬の過ごす部屋の温度や湿度はこまめにチェックしましょう。
アジソン病を発症してしまったらストレスは厳禁
予防対策と同じく、アジソン病を発症した後はストレスの少ない生活をさせることが大切です。
共働きの家庭では難しいかもしれませんが、できるだけ犬が1匹になる時間帯を少なくし、触れ合ってあげること。
ペットホテルや動物病院に預けられることは犬にとって大きなストレスなので、極力少なくしましょう。
アジソン病は早期発見・早期治療が重要
アジソン病は何らかの原因で副腎皮質ホルモンの分泌量が低下すると発症する病気です。
慢性の場合は嘔吐や下痢、発熱などの症状がみられることが多く、良くなったり悪くなったりを繰り返します。
急性の場合は命に関わることもあるので、気になる症状がみられたらすぐに動物病院を受診しましょう。