老犬の尻尾が上がらなくなる原因は?犬の老化現象と病気のサイン

老犬の尻尾が上がらなくなる原因は?犬の老化現象と病気のサイン

公開日:/最終更新日:

老犬の特徴として「尻尾が上がらなくなる」というのは、犬と暮らす人にとっては有名な話かもしれません。
しかし、尻尾が上がらなくなる原因や、病気の可能性があることについて正しく理解できている飼い主さんは意外と少ないもの。
この記事では、犬の老化現象と病気のサインについて詳しくお話します。

犬の老化はいつ頃から?

犬の老化はいつ頃から?

犬は7歳ごろから「シニア期」と呼ばれ、老犬の仲間入りをすると言われています。
それに伴い、体にも徐々に老化現象が現れるのですが、7歳くらいだとまだまだ元気な子が多いので「老化」という言葉にピンとこない飼い主さんも多いかもしれません。

犬は7〜8歳で軽度の老化現象が現れ始め、10〜12歳ごろには本格的な高齢期に入ります。
一気に老け込むことはありませんが、飼い主にとっても少しずつ「老化かもしれない」と思う出来事や特徴が増えてくるのです。

一般的には、小型犬・中型犬に比べて大型犬のほうが老化の始まる時期が早いと言われており、老化現象の進む速さや寿命を迎えるのも大型犬は早い傾向にあります。
犬種によっても個体差がありますので、ご自分の愛犬の特徴をしっかり把握しておくことが大切です。

愛犬の年齢は人間に置き換えるといくつ?年齢の計算式と早見表

愛犬の年齢は人間に置き換えるといくつ?年齢の計算式と早見表

犬は人間に比べて成長するスピードが速く、一生も短い動物です。そんな愛犬と少しでも長く一緒に暮…

犬の主な老化現象

犬の主な老化現象

では、犬の老化現象には一体どのようなものがあるのでしょうか。
老化の現れ始めた頃に、比較的見た目でわかりやすいものが下記の現象です。

  • 白髪が増え、毛の色が薄くなってきた
  • 毛量が減り、毛の伸びるスピードが遅くなってきた
  • イボが増えた
  • フケが出やすくなった

そして、さらに老化が進んでいくと現れる特徴についても詳しくお話します。

腰が低くなり、尻尾が上がらない

人間が歳をとると腰が曲がってきてしまうように、犬も老化が原因で徐々に腰が低くなってくると言われています。
腰が低く下がったことにより、バランスを維持しようとして自然と尻尾も下がってしまうのです。

目が白く濁ってくる

老犬になると目の水晶体と呼ばれる部分が白く濁って見えてきます。
白内障と混同されやすいのですが、老化での目の濁りは「核硬化症」と呼ばれるものです。
「目が見えなくなるのでは?」と不安に思う飼い主さんも多いと思いますが、急激に視力が低下することはないので過度に心配しなくても大丈夫です。

坂道や階段を嫌がる

老犬になると筋力も低下してくるため、歩くスピードが遅くなります。
坂道や階段などでは特に筋力を使うので、通るのを嫌がる老犬も多いでしょう。

しかし、飼い主さんが「老犬だから」と言ってわざと坂道や階段を避けてしまうのは、さらに筋力や体幹を衰えさせることにも繋がってしまうので注意が必要です。
犬が自分で歩けるうちは筋力を維持させるためにも、無理をさせない程度に散歩コースには坂道や階段のある道を選びましょう。

老犬の尻尾が上がらない原因①椎間板ヘルニアなどの神経障害

老犬の尻尾が上がらない原因①椎間板ヘルニアなどの神経障害

老犬に現れる老化現象の一つとして「尻尾が上がらなくなる」というものをご紹介しました。
しかし、老犬ということばかりに捉われていて「本当は病気が原因だった」というケースもあります。

老犬の尻尾が全く上がらず、ずっと下がり続けている場合に疑われるのが「椎間板ヘルニア」「馬尾症候群」などの神経障害です。
どちらの病気も神経が麻痺してしまうので、発見が遅れると歩行ができなくなってしまう場合もあります。

痛みが出ることも多くあるため、老犬の尻尾が上がらないと気づいた時には尻尾の動きと併せて、犬が痛がっていないかも注意深く観察しましょう。

椎間板ヘルニアってどんな病気?原因や症状、好発犬種や治療・予防法

椎間板ヘルニアってどんな病気?原因や症状、好発犬種や治療・予防法

椎間板ヘルニアとは、椎間板が飛び出すことで麻痺や痛みが現れる病気です。症状が進行すると自力で…

老犬の尻尾が上がらない原因②骨折・脱臼

老犬の尻尾が上がらない原因②骨折・脱臼

変幻自在と思われがちな犬の尻尾ですが、尻尾にも多くの骨があるので骨折してしまう可能性も十分にあります。

飼い主が気づかないうちに、犬の尻尾に何らかの衝撃が加わって骨折や脱臼をしてしまっていた・・・ということも珍しくはないのです。

老犬の場合は特に、筋肉量が低下して骨密度も低くなっています
軽い衝撃であっても骨折してしまう可能性があるので、老犬の尻尾が上がらない時には注意して見てあげてくださいね。

老犬の尻尾が上がらない原因③肛門付近のトラブル

老犬の尻尾が上がらない原因③肛門付近のトラブル

肛門嚢炎などを引き起こしたことによって、肛門付近をかばうために尻尾を下げたままにしてしまう犬も多くいます。

肛門嚢は自分で排出できない犬も多く、ほとんどの場合はトリミングの際に人の手で絞り出します。
しかし、老犬になると毛の伸びるスピードが遅くなるため、トリミングの頻度が少なくなる家庭も多いでしょう。
そのため、肛門嚢が溜まってしまい肛門嚢炎が起きやすくなってしまうのです。

老犬の尻尾が上がらない時には、肛門付近にトラブルがないかどうかをチェックしてみてください。

犬の肛門腺絞りってどうやるの?肛門腺チェックとやり方、注意点

犬の肛門腺絞りってどうやるの?肛門腺チェックとやり方、注意点

犬の肛門周囲には、肛門腺(肛門嚢)という器官があります。通常、肛門腺内の分泌物は排泄のタイミ…

老犬の尻尾で健康状態の確認を

老犬の尻尾で健康状態の確認を

犬の老化現象と、尻尾が上がらない時に考えられる病気についてご紹介しました。

尻尾は足などと違い、日常生活で使う部分ではありません。
そのため、つい軽く考えてしまう飼い主さんも多いのですが、これまでお話してきたように病気やケガなどが原因で上がらなくなることもあります。
放っておくと歩行困難になったり他の症状を併発してしまったりもするので、軽視するのは大変危険です。

老犬の尻尾が上がらないと気づいた時には「老化現象だ」と決めつける前に、他に気になる点はないかをしっかり観察しましょう。
不安な場合には、早めにかかりつけの動物病院を受診するようにしてくださいね。

著者・専門家プロフィール

この記事を読んだ人におすすめ