犬の目が暗闇で赤や緑に光るのはなぜ?理由や病気の可能性とは

犬の目が暗闇で赤や緑に光るのはなぜ?理由や病気の可能性とは

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暗いところで、愛犬の写真をパシャリ。
見てみると、愛犬の目が光ってしまって上手く写らなかったなんていう経験はありませんか?
実はこれ、犬の目の構造と密接な関係がある現象なのです。
今回は、なぜ犬の目が暗闇で光るのか、犬の目の構造を踏まえて解説していきます。

犬の目が光る原因は「タペタム層」

犬の目が光る原因は「タペタム層」

基本的に犬と人間の目の構造は、非常に酷似しています。
しかし、一部人間にはないものもあり、そのうちの一つがこの「タペタム」と呼ばれる層。
タペタムは別名「輝板」とも呼ばれ、光を反射する機能を持っています。

タペタムは犬だけでなく、猫にも備わっている層で、網膜の奥に存在します。
犬たちは網膜を通過した光が微量でも、タペタム層が備わっていることで光の量を増幅させ、細胞で受け取ることが出来るのです。

このタペタム層で反射された光が、一部瞳の外に返され、目が光って見えるという仕組みなのですね。

暗闇でも視認できる夜行性ならではの瞳

暗闇でも視認できる夜行性ならではの瞳

ではなぜ、犬たちは人間にはないこのような目の構造をしているのでしょう。
その理由は、犬たちが本来は夜行性の動物である、というところに起因しています。

そもそも犬は、あまり視力の良くない動物として知られ、人間でいうとわずか0.2〜0.3程度しかありません。
色の識別も「青色」と「黄色」の2色しか判別できないといわれています。

しかし、暗闇の中になると一転、犬たちには人間よりも非常にクリアな世界が見て取れるようになります。
それも僅かな量で光を増幅させる、タペタムがあるからこそ為せる業。
その状況下での正確な視力を測るのは困難なことですが、一説によると暗闇での犬の視力は、人間の約5倍以上にもなると考えられています。

タペタムを持たない犬種も存在する

タペタムを持たない犬種も存在する

多くの犬は、タペタムを持っていますが、中にはこの層を持たない特異体質の犬種も存在します。
その代表例が「シベリアンハスキー」。

シベリアンハスキーの持つ青い目には構造上、タペタム層がありません。
これは、シベリアンハスキーが長い歴史の中で暮らしてきた環境によるものと考えられています。

シベリアンハスキーの原産地である「シベリア地方」では、白い雪が一年中降り積り、夜間でも十分な明るさがあります。
つまり、「光を増幅する必要のない環境=タペタムが必要ない環境」で暮らしてきたわけです。
その結果、タペタム層が退化し、なくなったといわれています。

目が「赤」や「緑」に光るのは写る場所の違い

目が「赤」や「緑」に光るのは写る場所の違い

通常犬の目が、暗闇でキラリと光る場合、緑っぽい色に見えると思います。
これは上で述べた「タペタム」が、緑色の色素を持っているためです。
暗闇でフラッシュ撮影を行った際、愛犬の目の色が緑に光る場合も、このタペタムが色濃く写ったものと考えて良いでしょう。

一方で、フラッシュ撮影を行った場合に、赤色に光る場合もあります。
これは人間にもある現象ですが、赤色に写るのはタペタムではなく、網膜の後ろにある毛細血管が反射し写ったもの。
タペタムがあるのは、網膜全体の半分くらいの面積のため、タペタムがない場所に光が当たると、このような現象になります。

いわゆる「赤目現象」というものですね。
犬も人間もフラッシュ撮影時に目が赤くなる理由については同じというわけです。

フラッシュ撮影は、犬の目に危険性が伴う

フラッシュ撮影は、犬の目に危険性が伴う

さて、ここまで犬の目には光を増幅させる「タペタム」があるという話をしました。
それは裏を返せば、急な強い光も増幅し、伝えてしまうということです。

通常、犬も人間同様、明るい場所や暗い場所など「まわりの光の量」に合わせ、瞳孔が自動的に調節されます。
明るい場所では目の瞳孔を小さくして光量を最小限に、暗い場所では大きくし、光量を最大限に取り入れようとするわけですね。

しかし、この瞳孔の調節は、急激な光量の変化には対応できません
夜間や暗い場所で、瞳孔が大きく開いている状態のところに、フラッシュなどの急激な強い光を与えてしまうと、網膜へのダメージにつながる可能性があります。

フラッシュ撮影は、愛犬の表情を上手く撮れないだけでなく、目にも良くないため、出来るだけ使わないようにしてくださいね。

夜間撮影はアプリなどを使用する

夜間撮影はアプリなどを使用する

それでも夜のお散歩や、暗い場所に一緒にいる時、愛犬の可愛い姿を撮影したい!なんていう時もあるでしょう。
そんな時、もしスマホでの撮影ができる状況であれば、「夜間撮影用アプリ」がおすすめです。

最近は技術の進歩で、暗闇でも少しの光量で画質の良い画像が撮れるようになってきました。
いざという時に重宝するので、こういったアプリをインストールしておくと良いでしょう。

ちなみに、人物撮影などでもよく使う、カメラに搭載されている赤目軽減機能は、あまりおすすめ出来ません。
というのも、赤目軽減機能は瞳孔を閉じさせるために「フラッシュが2回以上予備発光する」という機能だからです。

愛犬の目にダメージを与えないためにも、こういった機能は極力避けるべきでしょう。

犬の目が光って見えるのは、病気の可能性もある?

犬の目が光って見えるのは、病気の可能性もある?

暗闇で犬の目が緑色に光ったり、フラッシュ撮影時に赤目になることは分かりました。
では、犬の目が光って見える場合に、病気の可能性などはないのでしょうか。

実は、犬の目の色が青みがかって見えたり、白っぽく光って見える場合、病気が隠れている可能性もあり得ます。
しかし、それは暗闇に限らず、日中などの明るい場所でも見られた場合です。

犬の目の病気は多くありますが、中でもこのような状況で見られた場合、可能性として考えられるのが以下の病気です。

明るい場所でも目の色に異変が起きた場合の考えられる病気例

  • 白内障
  • 緑内障
  • 角膜炎
  • 進行性網膜萎縮症

これらの病気では、明るい場所にもかかわらず、犬の目が青みがかって見えたり、白濁していたり、充血による赤みが見られたりします。

もし、上記のように気になる異変が見られた場合には、すぐに動物病院で診察を受けるようにしてくださいね。

犬の目の構造を理解して、愛犬の写真を撮ろう

犬の目の構造を理解して、愛犬の写真を撮ろう

いかがでしたでしょうか。
犬の目が緑や赤に光るのは、犬たちが持つ夜行性の動物ならではの目の構造が原因でした。
フラッシュなどの強い光は、光を増幅できる犬の目にとって、大きなストレスやダメージを与えかねません。

愛犬の写真撮影をしたりする際は、出来るだけ明るい環境で行うか、暗い場所であれば夜間撮影アプリなどを活用してくださいね。
犬の目の健康を大事にしながら、愛犬の可愛い写真をたくさん撮りましょう!

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